リスクマネジメント Feed

2008年10月31日 (金)

オフショア開発の実践的ハンドブック

4883732673 幸地 司「オフショア開発に失敗する方法―中国オフショアのリスク管理」、ソフト・リサーチ・センター(2008)

お奨め度:★★★★

中国オフショア開発のハンドブック。長く「中国ビジネス入門」というオフショア開発をテーマにしたメルマガを発行し、メルマガ発行のために豊富な取材やサーベイをしている著者らしく、事例や調査データを豊富に掲載するととにも、その背景にある理論を紹介するととにも、問題の具体的な解決策を紹介している。おそらく実践を意識して書かれた本だと思うが、学習にも、読み物としてもと、いろいろなニーズに応えられそうな一冊である。

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2008年9月30日 (火)

上司との微妙な関係

4062138670_2 ジーニ・グレアム・スコット(神田 由布子訳)「ダメ上司につけるクスリ」、講談社(2008)

お薦め度:★★★1/2

ジーニ・グレアム・スコットは米国では50冊以上の本を出している評判の文筆家であり、影響を持つコンサルタントでもある。本書はジーニ・グレアム・スコットの初の邦訳。

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2008年9月15日 (月)

イノベーションが必須とされる競争社会で生き残るためのチーム

4904336089 デボラ・アンコナ、ヘンリック・ブレスマン(サイコム・インターナショナル監訳、西田 忠康、鈴木 立哉「Xチーム」、ファーストプレス(2008)

お薦め度:★★★★★

新しいチーム概念である、「Xチーム」を定義し、Xチームにおけるチームマネジメントやプロジェクトマネジメントについて体系的に述べた1冊。

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2008年5月23日 (金)

プロジェクトトラブル対応の教科書

4535600384志波浩太郎、克元亮「プロジェクトのリスクに勝つ! SEのためのトラブルシューティング」、日本評論社(2008)

お薦め度:★★★★

ITプロジェクトで起こるトラブルについて、予防と消火の両面から対処していく方法をPMBOKのプロジェクトマネジメント体系を意識しながらまとめた1冊。

本書で議論しているリスクは、

(1)計画リスク
(2)実行リスク
(3)技術リスク
(4)ステークホルダのリスク

の4つ。計画リスクでは、

・あいまいなプロジェクト目標
・開発範囲や見積もりのミス
・無理なスケジュール

の3つに起因するリスクを取り上げ、どのようなトラブルが発生するか、そして、どのように予防し、どのように対処すればよいかを事例をあげながら解説している。
実行リスクでは、

・進捗遅れ
・品質悪化
・コスト超過

の3つについて同様の解説をしている。また、技術リスクでは、

・ユーザ要件の把握ができない
・設計書の品質が悪い
・製品技術が未成熟

の3つについて論じている。さらに、ステークホルダのリスクでは、

・契約形態
・体制と役割
・コミュニケーションの問題

について議論している。

さらに、このような一般的な議論に加えて、大規模なプロジェクト特有の問題をはじめとするプロジェクトの属性に依存するリスクの取扱いについても解説している。

リスクマネジメントはSI業界においては最重要事項として認識されており、研究、実践とも相当進んでいる企業が多い。本書の個々の指摘事項や対処へのアドバイスはよく言われているものが多く、その意味でベテランのプロジェクトマネジャーが読んでもあまり新しい発見はないかもしれない。

しかし、この本は非常にうまくまとめている。ひとつは編集上の工夫により、読み物にもなるし、ある程度、ガイドブック的にも使えるようになっている。これからプロジェクトマネジメントをする人や、ある程度経験してきたことを整理したい人には適した一冊である。

もう一つは、リスクマネジメントということでひとくくりにせずに、予防と消火という2つの視点から対処をまとめているのは非常に有用だと思われる。ベテランマネジャーもこういうマインドセットを持つべきだと思うし、この点ではベテランのプロジェクトマネジャーにもぜひ、読んでいただきたい一冊である。

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2008年5月13日 (火)

価値観の共有を前提にしないコミュニケーション

4385363714 北川達夫、平田オリザ「ニッポンには対話がない―学びとコミュニケーションの再生」、三省堂(2008)

お薦め度:★★★★★

今、世界でもっとも注目を浴びているフィンランド教育を日本に紹介したことで有名な北川達夫氏と、演出家であり、演劇での経験をベースにしたコミュニケーションの教育・研究に携わっている平田オリザ氏のコラボレーション本。

教育、コミュニティ、対話などの視点から、コミュニケーションについての「対話」により、極めて深い洞察をしている。200ページほどの中に、今、日本に必要なものが凝縮されてぎっしり詰まっている。

特に、グローバルな社会では「対話力は生きる力」だといい、欧米においては、これがないと生きていけない「キーコンピテンシー」であるという。そして、「子供たちや若い世代の人たちに必要なコミュニケーション力」とは、「論理的に考えて、論理的に相手に伝える力」だとあまり前のように考えらているがそうではなく、「もっと日常的で、お互いの価値観をすり合わせていくようなコミュニケーション能力」だという。

本の作り方もたいへん、うまく、はっとさせられるようなメッセージがどんどん出てくる。2人の対話を読んでいくと同時に、このひとつひとつのメッセージを熟考しながら読んでほしい本だ。

あとがきに、北川氏がこんなことを書いている。

「もっとよく考えろ」というのは、「自分の頭で考えろ」という場合よりも、むしろ、「まわりの考えに合わせろ」という場合の方が多いのではないか

この指摘がこの本のエッセンスだといえる。「考える力」の重要性を説く人は多い。しかし、そこに託されている思いが北川氏の指摘のようになっていることは明らかである。本書でもさんざん繰り返されているように、今の社会では価値観の共有を前提とすることはナンセンスである。だとすると、いくら考えてみたところで「まわりの考えに合わせる」ことなどできないのだ。

この本は僕にとって一言一句まで舐めるように読みたい本だが、その中でもビジネスで特に重要だと思った話が2つあるので、紹介しておく。

ひとつは、重層性の話である。かつての地域社会には重層性があったという。学校では教師と保護者の関係があっても、家に帰れば保護者が自治会長である。これが重層性だ。このような重層性があると発言にはリスクが伴う。保護者がモンスターピアレントをやると、自治会のマネジメントで苦労する。こんな関係があったのだが、重層性がなくなってきている。これは、コミュニティだけではなく、会社の中でもそうだ。たとえば、組合活動が盛んだったころは重層性を実現していたが、だんだん、なくなってきた。ビジネスマンは仕事における重層性を持たなくてはならない。

もう一つは、シンパシーではだめで、エンパシーが必要だという話。

シンパシーはその人の気持ちになって考えることであり、エンパシーは「その人だったらどう感じるか」と考えること。ビジネスに情は必要だが、シンパシーでなんとかなっていた時代は終わった。企業の中にさまざまな価値観が渦巻いているからだ。こうなるとエンパシーを持てないと乗り越えていけない。

この2点を含めて、本当によい本だ。ぜひ、読んでみてほしい!

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2008年4月17日 (木)

プロアクティブマネジメントのノウハウ満載!

4534043708 村中 剛志「 「先読み力」で人を動かす~リーダーのためのプロアクティブ・マネジメント」、日本実業出版社(2008)

お薦め度:★★★★

プロアクティブという概念はプロジェクトマネジメントで真っ先に出てくる概念である。にもかかわらず、説明に苦労する。日本語では、この本でつかわれている「先読み」とか、「先手必勝」とか「用意周到」とかそんな言葉を当てている人が多いが、ピンとこないという人が多い。

この本は、それを見事に、(一般的な)リーダー向けの行動レベルで書き切っている。特に、個人レベルの話もさることながら、チームマネジメントの方法を述べた第3章は非常に参考になる。プロアクティブとは何かという以前に、この本に書いてあるようにやることがプロアクティブだと言えるようなレベルまで落とし込んであるのは素晴らしい!

本書では、まず、最初にプロアクティブ(先読み)するというのはどういうことかを業務効率やコストなど、いろいろな視点から説明している。

第2章以降は、たいへん、具体的だし、著者の持つノウハウを惜しみなく出してあり、分かりやすい。第2章は個人レベルのタイムマネジメントを具体的なツールとともに、示している。基本は段取り変えを如何になくすかにある。それを著者の独特のノウハウとツールで説明するとともに、実行する際にポイントになるところを丁寧に解説している。

第3章は冒頭にも書いたチーム編である。ここでは、3週間スケジュールとTOP5というツールを使い、チームでの情報共有によって、プロアクティブな段取りのコントロールを行う方法を説明している。さらに、原理を示すだけではなく、実践編として、実際にチームとしてそのような活動に取り組んでいく際の普及ステップまで示されており、たいへん、実践的である。

4章はミーティングマネジメントを如何にプロアクティブにしていくかについて、これまた、さまざまな工夫が紹介されている。基本的にはアジェンダ管理をプロアクティブに行うような仕組みになっている。

第5章はステークホルダマネジメントをプロアクティブに行う際の留意点。内容的には相手に求められる前に対応することが基本。レポートマネジメント、事前相談などについて述べられている。こちらは2~4章と比べると若干、Tips的である。

第6章ではリーダーのこころということで、「リードする」、「援助する」、「感謝する」という3つのこころがプロアクティブな行動を可能にするという著者の信念のようなものを書いている。

最後のまとめとして、村中さんはプロアクティブとは、思考法でも、マインドでも、リスク回避でもない。考え方、心構え、スタイル、姿勢であると書いている。結局、プロアクティブとは、個別の行動や思考、思考にたいして、これはプロアクティブ、これはリアクティブという風に考えていくものなのだろう。そういう意味で、プロアクティブとは何かという根本的なもやもやは消えないかもしれないが、すっきりするのではないかと思う。

最後に一つ、よけいなことを書いておく。この本で、プロアクティブの必要性として例に使っている例え話を僕もよく使う。野球で守備位置をバッターによって変え、常に真正面で捕球する野手と、常に横っとびで派手に捕球する野手はどちらがファインプレイをしているかという話だ。セミナーなどのつかみでこの話をすると、必ず、出てくる意見は「評価されるのは後者」とおうものだ。

もちろん、おかしいのだが、プロフェッショナルでない多くの日本組織では、この話は個人とかチームだけで切り離しできる話ではないのだ。組織もプロアクティブという「価値観」を持ち、顧客もまた同じ価値観を持っていないと、ジレンマが起こりかねない。非常に実践的な本なので、すぐにやってみる人もいると思うので、あえてその点をコメントしておきたい。特にチームマネジメントの中で実践する際には要注意だ。もちろん、その覚悟を持って実践してほしいという意味である。

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2008年3月27日 (木)

下士官にみる現場リーダーのベストプラクティス

4569654029 日下公人「現場指揮官の教訓―強い現場リーダーとは何か」、PHP研究所(2007)4569654029

お薦め度:★★★★1/2

軍事や宇宙開発において膨大な国家予算を費やして開発された技術が、やがてビジネスにおいて活用され、競争優位源泉になっているものは多い。意外と目立っていないのだが、戦争の背骨になる戦略と組織(マネジメント)に対しても膨大な投資が行われており、それもビジネスの世界で活用されているものも多い。

ところが日本の軍隊は敗戦を契機に、よくないマネジメントの引き合いに出されることがあっても、よいマネジメントの引き合いに出されることはない。

この本は、多くのエピソードに基づき、日本組織の特徴を下士官に注目してまとめた本である。

この本を読んでみると、戦争というと上意下達、指揮命令系とがビシッとしている軍隊が最適だと思ってしまうが、実際にはそうではなく、下士官という「現場リーダー」がいるからこそ、「現場が動く」という現実があり、また、現場が独自の判断で行った行動に対して上官は見て見ぬふりをするという組織が意外と強いというのがよく分かる。

確かに、戦隊をどう展開するかといった戦略は現場ではどうしようもないのだろうが、現場の見えていない組織(上官)が、戦略ありきで決めたオペレーションをその通りにやるとどうなるかは大体予想できるというものだ。

欧米の軍隊だと、にもかかわらず、そこまできちんと意思決定をすることが求められ、多くの兵士の死と引き換えに上官は地位を失うのに対して、日本は現場がオペレーションの中で現場が調整をしていく。上司は日常はあまり仕事をしていないが、失敗したら責任をとる。このような組織で勝ってきた戦局が多くあることを指摘し、今、組織が機能しなくなってきたのは、下士官の存在がなくなったからだという。

下士官をビジネス組織でいえば、係長、主任、プロジェクトリーダーといったあたりの役回りである。どのような役回りか。この本の中で、米国の研究を紹介した適切な説明がある。

米国のビジネスパースンは1マス、つまり、自分の職務という「縦のライン」で、かつ、1等級分の仕事しかしていない。日本のビジネスマンは自分の職務に隣接する多種類の仕事をしているばかりか、自分の所属等級を含めて上下に三マス分の仕事をしている。つまり、九マス分の仕事をしていることになる。

隣接の仕事はさておき、上下三マスということろがミソである。少なくとも自分の領域では、自分の上と自分の下の役割も兼ねる。多能工ならぬ、多層工である。

これが日本型マネジメントの本質である。もちろん、これは「ホンネ」の部分の話であって、この本の著者も指摘しているように「タテマエ」では上のマスは上司がやっていることになっていなければならないことは言うまでもない。このあたりのヒューマンスキルをどのように軍隊の中で作り上げていたかも紹介している。

その意味で、日本型組織のベストプラクティスを紹介した非常に貴重な1冊だといえる。係長、課長クラスのマネジャーにぜひ読んでいただきたい。

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2008年2月11日 (月)

メンタルヘルスと経営学の統合

4478003378 佐藤隆(グロービス経営研究所監修)「ビジネススクールで教える メンタルヘルスマネジメント入門―適応アプローチで個人と組織の活力を引き出す」、ダイヤモンド社(2007)

お薦め度:★★★★

メンタルヘルスマネジメントは検定試験もでき、社会的に関心が高まってきている。書籍出版も増えてきたが、この本はちょっと変わっている。

まず、構成が
・基礎編
・状況把握編
・ソリューション編
の3つにわかれている。

基礎編では、メンタルヘルスの基礎知識ということで、今、世の中で起こっていること、メンタルヘルスとはどのようなものか、この本のスタンスである適応アプローチとは何かといったことが解説されている。また、ストレスとは何かということについても説明されている。どんな本にも書かれているような内容だが、マネジャーやリーダーが何をすべきか、何を知っておくべきかという点にも言及されており、ちょっと一味違っている。

次は状況把握編で、自己のストレス特性や状況の把握、組織のストレス状況の把握方法について説明されている。

この本のメインは次のソリューション編である。この本のスタンスは上に書いたように適応型アプローチで、これは、世の中の変化についていけずストレスが発生している状態を、変化に適応するように変えてやるというアプローチだ。

この変化への適応に関して、

・セルフケア
・リーダーシップ
・人的資源管理

の3つの視点から、マネジメントとしてどのようなことができるか、どのようなことをすべきかについて体系的に述べられている。また、そのための施策についてもオリエンタルランドやTISなどの事例を紹介している。

最初はもっとプロアクティブなアプローチが書かれていると期待しながら読んだのだが、結局は組織による定期的なチェック、および、その結果からの全体的な傾向の把握、そして、個人も組織もコーピング(ストレス対処行動)というところを中心に対処をしていくという受け身のマネジメントという印象がぬぐえない。問題の性格上仕方ないかもしれないが、マネジメントとしては、まだまだ、大きな課題があるようにも思う。

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2008年1月 3日 (木)

専門家はコンピュータに勝てるのか?

4163697705 イアン・エアーズ(山形浩生訳)「その数学が戦略を決める」、文藝春秋社(2007)

お薦め度:★★★1/2

山形浩生さんの訳書を紹介するのは、これで2冊目だと思うが、実は結構読んでいる。テーマや著者で読むというよりも、山形さんが目をつけて翻訳をする本というので読んでいる。

山形さんを有名にしたのはたぶん

ポール・クルーグマン「クルーグマン教授の経済入門」、メディアワークス(1998)

ではないかと思うが、僕が山形浩生にはまったのは、これではなく、

エリック・スティーブン レイモンド 「伽藍とバザール―オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト」、光芒社(1999)

である。

昨年もこの本以外に、2冊ほど読んだ。

ジョージ・エインズリー「誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか」、NTT出版(2006)

ポール・ポースト「戦争の経済学」、バジリコ(2007)

とにかくインパクトが大きい。新しいトレンドを鋭く見つける。この本もそうではないかと思う。

さて、前置きが長くなったが、この本は「絶対計算」について書かれた本である。絶対計算という言葉はあまりなじみがないが、要するに、回帰分析やニューラルネットワークによって、実績として残っているすべてのデータを分析し、それから統計的法則を導き出す「数学」である。

最初の4章程、いやというほど、絶対計算により、人間より適切な判断ができたという事例を挙げている。象徴的なものとして、ヴィンテージワインの価格予測、最高裁判事の違憲判断の予測、野球選手の実績評価など、結構、どぎつい例を挙げた上で、まずは、マーケティングの分野での実績に触れている。

・アマゾンのリコメンド
・お見合いサイトのマッチング
・カジノ

などである。次に取り上げられているのは、政策決定において、ある政策が政策目標の実現に役立つかどうかを判断するのに、絶対計算が役立ち、防犯、貧困対策などでの実績を紹介している。

さらには、医療の世界でも同じことが起こっていると紹介している。

この本が興味深いのは、この後で、なぜ、人間はうまく判断できないのかを分析した部分。結論は、主観の混入により、統計でいうところの信頼区間がうまく設定できないことが原因だという。ここで面白いクイズがある。( )を埋めるというクイズ。

1.マーチン・ルーサー・キング牧師の死亡時年齢は( )歳から( )歳
2.ナイル川は全長何キロ?( )キロ~( )キロ

といったクイズが10問ある。これにたいして、まったくわからないというのはダメ。たとえば、1.であれば、1歳から200歳とすれば必ず正解になる。これが信頼区間だ。これに対して、正答を9個以上含む範囲を挙げた人は1%。99%は判断にバイアスが乗っていることになるという。

つまり、正解があるところをはずして、そこでいろいろな分析をするので、人間はうまく判断できないのだという。絶対計算は信頼区間を広くとり、手当たりしだいに分析していくので答えを見逃さないというのだ。

ただ、どんな問題でもそのような分析を行おうとすると、無限の因子が出てきて、不可能であることが多い。そこで、その信頼区間の絞り込みは人間(専門家)が行うべきであり、それを適切にできるためには、仮説立案が重要であると結論する。

そして、人間にそのような役割をさせるための教育のあり方にまで言及している。

日本ではビジネスの中にこのような絶対計算を取り入れることに遅れているが、そろそろではないかと思う。一度、このような世界を知っておくことはどのような仕事をしていても意味のあることだろう。

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2007年12月 5日 (水)

プロジェクトXの経営学

462304873x 佐々木 利廣「チャレンジ精神の源流―プロジェクトXの経営学」、ミネルヴャ書房(2007)

お薦め度:★★★★1/2

プロジェクトXにはまっています。なぜから、こういう連載を始めたからです。

プロジェクトXにみるスポンサーシップ

プロジェクトXというと、そのネーミングからか、プロジェクトマネジメントの視点から取り上げられることが多い。しかし、プロジェクトXというのはプロジェクトマネジメントについて問われるべきものではなく、「プロジェクトのマネジメント」について問われるべきものである。つまり、経営組織がプロジェクトをどのように行っていったかをテーマにしているものは極めて多い(もちろん、純粋なプロジェクトものもあるが)。

ということで、八重洲ブックセンターにいきプロジェクトXの本を探していたら、面白い本があった。これがこれ。

まとめ方も面白く、NHKのプロジェクトXはなぜ、面白いかという視点からまとめている。まとめたのは、京都産業大学の先生たち。分析視点は
・新規事業創造
・製品開発と企業間協調
・イノベーションと産業発展
・新市場の開拓とマーケティング戦略
・経営の国際化と組織学習
・組織間の異種協働
・リーダーシップとリーダー・フォロワーの関係
の関係。この視点の設定はたいへん、面白いし、参考になった。NHKのストーリーがプロジェクトにフォーカスしているので、その背後や環境をうまく抽出する視点だからだ。

ただし、分析は、教科書のような分析なので、経営学の教科書かと突っ込みたくなるような内容。もう少し、突っ込んでほしかった(実際に教科書として使っているようなので、そのためかもしれない)。

ということで、試みは評価したいし、この本を読んでプロジェクトXを見ると、見方が変わると思う(実際にやってみたらそうだった)。その意味でも意味があると思う。本当は★3つ半くらいにしたいのだが、★1個はその点でのおまけ。

また、プロジェクトマネジャーが、自分の置かれている立場を確認するためにも読んでほしい1冊である。

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