現代の管理職に求められるものと、その達成方法を学ぶ

お奨め度:★★★★★
管理職のあり方について書いた本は多いが、この本は、管理職に求められるものがどのように変わってきたか、そして、その変化にどのように対応していけばよいかを解説している。
ダグラス・コナン、メッテ・ノルガード(有賀 裕子訳)「リーダーの本当の仕事とは何か――わずかな瞬間で相手の抱える問題を解決する3つのステップ」、ダイヤモンド社(2012)
お奨め度:★★★★★+α
米国大手食品メーカー、キャンベルスープのCEOとして、急降下していた業績と従業員のやる気を回復させ大きく成長させた評判の著者が、自ら実践して鮮やかな効果をあげた「タッチポイント流リーダーシップ」の本質を語った1冊。
ケン・シーガル(林 信行監修・解説、高橋 則明訳)「Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学」、NHK出版(2012)
お奨め度:★★★★★+α
facebookページ:「「シンプル」に忠誠を尽し、複雑さと戦う」
アップルの「Think Different」キャンペーンにたずさわり、iMacを命名した伝説のクリエイティブ・ディレクターであるケン・シーガルが初めて明かす、ビジネスとクリエイティブにおける「シンプル」という哲学。多数あるアップル本、ジョブズ本とは一線を画しているのは、ケン・シーガルのデルなど他の企業における経験の紹介がスパイスのように効いている点だ。
井上潤吾「守りつつ攻める企業 ―BCG流「攻守のサイクル」マネジメント」、東洋経済新報社(2011)
お奨め度:★★★★★
イノベーションマネジメントの入門書としてぜひ読んで欲しい本。BCG(ボストンコンサルティンググループ)に所属する著者がBCG流のフレームワークをベースに、一般的に書いているので、ツールがなくても使えるフレームワーク。
ポール・スローン(若林 暁子訳)「ポール・スローンの結果を出せるリーダーのイノベーション思考法」、北辰堂(2012)
お奨め度:★★★★★+α
facebook記事:「イノベーションをマネジメントするために、マネジメントをイノベーションする」
「ウミガメのスープ」で有名な水平思考の大家、ポール・スローンのイノベーションマネジメントの本。原題は、「The Innovative Leader - How to inspire your term and drvive vreativity」である。イノベーションに関する本は増えてきたが、マネジャーレベルでイノベーションのマネジメントを実践方法をまとめた本はあるようでない。内容も、ポール・スローンの面目躍如といったところ。イノベーションの概念的な議論から一歩抜け出し、実践に移したい人には、ぜひ読んで欲しい一冊だ。
ピーター・シムズ(滑川 海彦、高橋 信夫訳)「小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密」、日経BP社(2012)
お奨め度:★★★★★
facebook記事:「素早し失敗、素早い学習を繰り返す」
シカゴ大学のエコノミスト、デビッド・ガレンソンによるとイノベーターには、「概念的イノベーター」と「実験的イノベーター」の2種類がいるという。概念的イノベーターは非常に大胆に新しいアイデアを追求し、多くは若くして業績を上げる。著者は概念的イノベーターの典型としてモーツァルトを上げている。天才であるが、天才はそうそういるわけではなく、多くのイノベーターは実験的イノベーターである。実験的イノベーターは実験を好み、試行錯誤を繰り返す中で徐々にブレークスルーをしていく。彼らは、ゴールに向かうときに、失敗や挫折を恐れずに執拗に努力をする。その代表はエジソンであり、音楽家でいえば、徐々に自分の形を作っていったベートーベンである。
この本は実験的イノベーターがどのように成功をおさめるかを分析している。成功した実験的イノベーターの手法を紹介している。試行錯誤といっても、行き当たりばったりということではなく、むしろ、分析的であり、戦略的である。
鈴木 博毅「「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ」、ダイヤモンド社(2012)
お奨め度:★★★★
facebook記事:なぜ、日本は同じ過ちを繰り返すのか
一応、組織論の名著「失敗の本質」の入門本と謳った本。「失敗の本質」は、MBAで授業で課題図書になっていたので、かなり読み込んだ。実は、この本をさっと読んで、失敗の本質を引っ張り出してきてもう一度、読んでみた。なぜかというと、そんなことを書いてあったかと思わせる箇所が結構あったからだ。
結論としては、そういう箇所はあるが、それはそれとして、指摘されているジレンマ、また、その指摘のために取り上げているビジネスにおける事例は面白く、日本軍の行動と、現在の企業の行動を比較して「変わらない」という発見は貴重なものだと思う。
坂根 正弘「言葉力が人を動かす―結果を出すリーダーの見方・考え方・話し方」、東洋経済新報社(2012)
お奨め度:★★★★★
facebook記事:「結果を出すコミュニケーション」
坂根正弘氏は、21世紀に入ってからコマツの業績をV字回復させ、真の意味でグロ
ーバルな企業に育て上げた名経営者である。その坂根会長が、自らの経験に基づいて展開するコミュニケーション論。コミュニケーションという言葉から、多くの人は対人的なコミュニケーション(マンツーマン、あるいはチームコミュニケーション)を思い浮かべると思うが、この本でいうコミュニケーションは組織的なコミュニケーションである。組織的コミュニケーションは、対人的なコミュニケーションほど意識されないが、リーダーは組織的コミュニケーションに熟達し、組織を動かさなくてはできなくては仕事ができない。そのような問題意識を持っている人にぜひ、組織的コミュニケーションの達人の書いた本書をぜひ読んでいただきたい。
ヴィニート ナイアー(穂坂かほり訳)「社員を大切にする会社 ―― 5万人と歩んだ企業変革のストーリー」、英治出版(2012)
お奨め度:★★★★★+α
facebook記事:「世界でもっともモダンな経営」
HCLテクノロジーズ(以下、HCLT)の2005年からの対話を中心にした企業変革の道のりを、トップリーダーであるヴィニート・ナイアー自身が振り返った一冊。HCLTの変革の特徴は、「従業員第一、顧客第二」というビジョンにある。
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