プロダクトマネジメント Feed

2006年10月21日 (土)

偉大なる経営論

B000ion7te01 Harvard Business Review2006年 11月号

 【創刊30周年記念号】偉大なる経営論

お奨め度:★★★★★

ハーバードビジネスレビューの創刊30周年記念号。30年間に発表された名論文の中から30本が採録されている。下にリストがあるので見てほしい。経営学にまったく縁のない人でも4~5人くらいは知っている人が多いのではないかと思う。

ほとんどの論文が実践の中で使われるようになってきた概念を示したものだ。これはすごいことだと思う。かつ、この2~30年の間に新しく生まれたマネジメント手法はほぼ、網羅されている。

つまり、そのくらいハーバードビジネスレビューは実務家のマネジメントに貢献している学術論文誌である。

マネジャーという肩書きのある人、あるいは、将来マネジャーを目指している人、いずれも、この記念号はぜひ持っておき、通勤の行き帰りにでも読んでほしい。

最後に神戸大学の加護野先生の「マネジメントの古典に触れる」という提言がある。この提言も味がある。

ちなみに、東京で本屋を探したが、最初の3件は売り切れだった。よく売れているようだ。

続きを読む »

2006年7月31日 (月)

なぜ、ウィスパーに羽根がはえたのか

492511277501 和田浩子「すべては、消費者のために。―P&Gのマーケティングで学んだこと。」、トランスワールドジャパン(2006)

お奨め度:★★★★

和田さんはおそらく、日本のビジネスウーマンで最も有名な方の一人だろう。P&Gのマーケティング部門で活躍。「ウィスパー」に羽根をはやしたブランド戦略の実行で一躍有名になった。ミス・ウィスパーと呼ばれていたとか。その後、2004年のフォーチューンで世界で一番パワフルなビジネスウーマン50傑に選ばれ、世界中で有名になった。

誰にでも等しくチャンスがあることを伝えるために乗っているというまっ白なポルシェでも有名。

という和田浩子さんの自伝的な書籍。マーケティングを中心に、ブランドマネジメントのノウハウをP&Gの経験を時間を追って書かれている。

P&Gは言わずと知れた高品質の経営をしている企業であるが、この本を読んでいると、製品力がブランドを作るという王道を歩んでいることが分かる。その意味で、ブランドマネジメントでありながら、製品マネジメントの色合いが濃い。また、科学的にマネジメントされている点も印象的である。

同じ日用雑貨のビジネスでも、日本のメーカとはテーストの異なるところがあり、その辺りも興味深い部分である。

マネジメントに突拍子もないものもあまりない。その意味で、1冊そのまま、ブランドマネジメントやあるいはもう少し広くマーケティングの教科書になるような本でもある。

2006年7月26日 (水)

製品マネジメントを見直そう

479732560709 吉本敦「開発力革命―技術立国から開発立国へ」、ソフトバンクパブリッシング(2004)

お奨め度:★★★★1/2

製品開発マネジメントは実証研究を中心にアカデミックな本は多いが、意外と実務家が読める本は少なく、いきなり実用書、ノウハウ本になる。

そんな中で、自社の開発した手法に基づき、しっかりとした論理と、実践的な手法をまとめた製品開発マネジメントの好書である。本としても適度に具体性があり、分かりやすいのがよい。

この本で提案されている手法は、プロセスマネジメントである。プロセスを評価し、改善することによって、製品開発力を挙げていくというプロセスであるが、評価の視点が、従来のような局所的なものではなく、全体最適の視点からの評価になっている。

著者によると、この全体最適な製品開発プロセスの欠如が日本の製品開発マネジメントの弱点であるとのことだが、この辺りは、本来、ナレッジマネジメントでカバーしてきた部分だ。そのプロセスを形式化することの是非はもう少し議論の余地があるように思うが、おおむね、この本に書いてあることには賛同できる。

続きを読む »

2006年5月30日 (火)

製品開発力と事業構想力

447838046501 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部「製品開発力と事業構想力」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★

製品開発力と事業構想力という日本の企業に今欠けている2大要素を取り上げた論文集。

このシリーズはハーバードビジネスレビューの論文をテーマ別に編集したものであるが、このテーマでは記憶に新しいところでも破壊的イノベーション、オープンマーケットイノベーション、イノベーションファクトリなど、さまざまなインパクトを与えるコンセプト論文を掲載しているだけあり、非常によいできである。この分野で活動している人であれば、一冊持っておいて損はない本だ(もちろん、どの論文も読めば参考になる)。

個人的には、この本に採録されている中では、第6章のステファン・トムクとエリック・フォン・ヒッペルの「R&Dを顧客に転嫁する事業モデル」が一番好みである。

ただ、製品開発力と事業構想力といいながら、事業構想力の方に比重がかかっている。それだけ、この分野のクオリティペーパが多いということなのだろうが、ちょっと寂しい部分もある。

==========

banner_04人気ランキング投票! → クリック

続きを読む »

サントリー版プロジェクトX

488399444901 峰如之介「なぜ、伊右衛門は売れたのか。」、すばる舎(2006)

お奨め度:★★★★

マーケティングを念頭において書かれた本だと思う。メーカ(サントリー)の独自性(ブランド、企業規模)を背景にしたマーケティング戦略を点kないし、それがあたった商品である。マーケティング戦略はこう作れという意味では参考になる本である。ただ、戦略そのものは、あまり、適用できる企業はないだろう。

むしろ、この本は商品開発マネジメントの本としてすばらしい本である。特に参考になる点は

・困難に直面するたびに、プロジェクトの目的に立ち返り、次の行動を決めている

・リスクをうまくマネジメントしている(リスクをうまくとっている)

の2点。プロジェクトXを見てもそうだが、開発モノとして胸を打つためには、この2つの要素は必須である。やはり、読み終えて感動を覚える本である。

もう一つ、すばらしいと思うのは、サントリーという会社のプロダクトマネジメントの姿勢である。この本ではあまり出てこないが、商品開発開発プロジェクトがこのような活動をするためには、相当しっかりとしたプロダクトマネジメントをやっていると思われる。その辺りの仕組みを想像しながら読んでいくのも一興である。

2006年5月12日 (金)

プロダクトストラテジー

4822244423マイケル・E・マクグラス(菅正雄, 伊藤武志 訳)「プロダクトストラテジー~最強最速の製品戦略」、日経BP社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

戦略、マーケティングマネジメント、技術マネジメントのバランスがよく取れたプロダクトマネジメントの本。米国のビジネススクールの定番テキスト。

マイクロソフト、IBM、デル、インテル、シスコ、アップル、ゼロックスなどグローバルなハイテク企業は、どうやって競争力のある製品を生み、育てたのかという切り口で、ベストプラクティスとなる戦略パターンを提示している。

製品戦略に留まらず、タイミング、計画立案、コンティンジェンシープラン、マーケティングや資金面での検討事項、などといった製品戦略に付随する様々なプロセスについても言及されているので、非常に実践的な内容になっている。

テキストとして書かれているので、それなりに知識がある人が読むと、説明が冗長であり、まどろっこしい部分があるが、初心者が最初に読み、なおかつ、それなりに深い知識を得るには絶好の本である。

特に、戦略、マーケティングマネジメント、技術マネジメントのバランスについて適切な知識が得られると思うので、プロダクトマネジャーになる人にお奨めしたい本である。

続きを読む »

2005年9月20日 (火)

イノベーションのジレンマ、いよいよ完結

427000071601クレイトン・クリステンセン、スコット・アンソニー、エリック・ロス(宮本 喜一訳)「明日は誰のも のか イノベーションの最終解」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★

イノベーションのジレンマ」の完結編。

前作のイノベーションへの解では、あまり、インパクトのある破壊的イノベーションのソリューションを提示できなかったように感じたが、あれから2年が経過し、相当しっかりした理論になったというのが第一印象。

単にプラクティスではなく、具体的なプロセスの構築などについても言及しており、「イノベーションのジレンマ」を打ち破る方法としてやっと具現性を持ってきた。特に、非マーケット要因の分析の部分はすばらしいと思う。

今回から、出版社が変わっており、Harvard business school pressの本として、ランダムハウス講談社が翻訳を手がけた。この翻訳は前作2冊の翻訳より、翻訳として堅いように思う。僕には若干読みづらかったが、エンジニアなどが読むにはよいのかもしれない。訳者の宮本さんは、同じ出版社から出版された「トム・ピーターズのマニフェスト」や「ジャック・ウェルチ わが経営」(日経ビジネス人文庫)の翻訳をしていらっしゃる方であるが、こちらと較べると、おそらく、出版社の方針だろう。

==========

banner_04人気ランキング投票! → 

続きを読む »

2005年7月 1日 (金)

情報家電の事業戦略の分析

4641162425 伊藤宗彦「製品戦略マネジメントの構築―デジタル機器企業の競争戦略」、有斐閣(2005)

お奨め度:★★★

製品開発マネジメント論というと、自動車が定番になっているが、もうひとつ、日本の優位性の高い分野がこの本で扱われているデジタル機器、いわゆる情報家電分野である。

カーナビ,デジカメ,携帯電話,EMS・ODM企業を取り上げ、どのような戦略がとられ、どのようなオペレーションが行われているかがよく分析されている。

ただ、あくまでも感覚なのだが、何か抜けているような気がする。おそらく、技術サイクルマネジメントなのだと思うが、実際のところ、よく分からない。また、時間があれば、ゆっくり読んでみよう!

2005年6月13日 (月)

アジャイルプロジェクトマネジメント解説の決定版

4822282295 ジム・ハイスミス(高嶋優子、小野 剛、平鍋健児訳)「アジャイルプロジェクトマネジメント 最高のチームづくりと革新的な製品の法則」、日経BP社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

製品開発プロジェクトマネジメントの研究は日本でも自動車業界を中心に進んでいるが、基本的にはリーン開発に焦点が当たっている。

つまり、如何に早く開発するかである。最近は、ここに、マルチプロジェクトマネジメント、プログラムマネジメントなどが加わり、投資の最適化により、戦略的な製品を如何に、早く市場に出すかという議論も多くなってきている。

自動車のような商品は開発リードタイムが極めて重要であった。リードタイムを短くすることによって競争力を保つとともに、ユーザニーズの短縮化に対応する意味があった。つまり、ユーザニースの変化が激しくなる中で、如何に変化する前にたくさん売るかである。

この辺の議論は

4641067929 延岡健太郎「マルチプロジェクト戦略―ポストリーンの製品開発マネジメント」、有斐閣(1996)

に詳しい。

しかし、もっとユーザのライフサイクルが早くなると、ライフサイクルの短縮だけでは対応できなくなる。最初から、途中で仕様が変化することを前提に、プロジェクトを進めていく必要がある。このようなプロジェクトマネジメントの手法がAPM(アジャイルプロジェクトマネジメント)である。

APMはソフトウエア分野では大いに注目されているが、一般的な製品開発の分野にも適用できることがこの本を読むとよくわかる。

製品開発担当者、必読の一冊です!

2005年2月28日 (月)

イノベーションのジレンマ

4798100234.09.LZZZZZZZクレイトン・クリステンセン「イノベーションのジレンマ 増補改訂版」、翔泳社(2001)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

 イノベーションマネジメントの分野では歴史的名著になった感のある本である.本書を読むと,イノベーションというのが,単に技術開発だけでは成り立たないことを容易に理解することができる.

 本書では,新しい技術の誕生により,優良企業の中で戦略的なジレンマが起こり,優良であるがゆえに小さな市場においそれと出て行くことができず,気が付いたらその市場が大きくなっており自社製品の市場を侵食しているという現象を,事例に基づき,そのメカニズムを徹底的に分析している.このような現象を引き起こす技術を著者は破壊的技術と呼んでいる.本書の中で中心的に取り上げられている破壊的技術はハードディスク技術,,掘削技術の2つである.この2つの事例については非常に詳細に書かれており,読み物としても面白い.例えば,ハードディスクでは,8インチから5.25インチ,そして3.5インチへの推移と,そのハードディスクを主に使うメインフレーム,ミニコンピュータ,パーソナルコンピュータの推移を関係付けて,ハードディスクメーカがそれぞれの時期にどのように振舞ったかを分析してある.主張自体,非常に明快で,かつ示唆に富んでいる.

 技術イノベーションを中心にして,経営革新を図ろうとしている企業の経営者,ベンチャー企業の経営者,これらの支援をするコンサルタントの方にはぜひお奨めしたい一冊である.

==========

banner_04人気ランキング投票! → クリック!

続きを読む »

PMstyle 2025年5月~8月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

アクセスランキング

カテゴリ

Powered by Six Apart

Powered by Google

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google