西村 行功「戦略思考のフレームワーク―未来を洞察する「メタ思考」入門」、東洋経済新報社(2010)
お奨め度:★★★★★
戦略の策定に役立つ思考フレームワークを4層のアーキテクチャーにまとめ、それぞれについて例を交えながら解説している。4層とは
シナリオシンキング>システムシンキング>ロジカルシンキング>思考のOS
という階層である。戦略策定の視野は、現在から因果関係の明確な近い未来までであることが、多い中で、シナリオを体系の中に取り込むことによって、時間的に長い視野で戦略を策定する必要を提案している。著者はシナリオプラニングの日本の第一人者であり、90社のシナリオプラニングに携わってきた思考ノウハウを「未来を洞察するメタ思考」として公開した一冊。
ジェームズ・クーゼス、バリー・ポズナー(金井壽宏監訳、伊東奈美子訳)「リーダーシップ・チャレンジ」、海と月社(2010)
お奨め度:★★★★★
この本は、1987年に発行以来、180万部を突破し、世界でもっともよく知られたリーダーシップのテキストで、2007年に発行された第4版の翻訳がやっと出版された。「ザ・ゴール」のように著者が日本での出版を拒否していたわけでもあるまいから、23年というのはまさに、待望の出版である。この本の監訳を担当された金井壽宏先生いわく、
「もしも、英語が分かる人で10年以上リーダーシップの研究や研修に携わっていながらこの本を知らない人がいらた、その人は「もぐり」だ
とのことだ。そのくらいよく知られた、欧米では定石のテキストだ。
加護野 忠男「経営の精神 ~我々が捨ててしまったものは何か~ 」、生産性出版(2010)
お奨め度:★★★★★
日本を代表する経営学者・加護野忠男教授の久しぶりの著書。現在の日本の産業を「経営精神」に注目し、分析し、劣化の理由を考察し、さらに、その復興について提案した本。
前書きに、出版社からの、「生産性運動50周年を記念して日本企業の指針となるものを書いてほしい」という依頼によるものだと明かされているが、まさに、これからの日本企業の指針をなるものだ。経営者はもちろんだが、経営精神の具現者すべてに読んでほしい一冊。
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