2009年 今年の3冊
ビジネス書の杜では、毎年、「このビジネス書がすごい」(ビジネス書の杜Award)という企画をやっています。その年に出版された本から、主宰者の好川哲人がもっともよかったと思う本を1冊選ぶ企画です。
過去の3年間では、
2008年 「プロデュース能力」
2007年 「影響力の法則」
2006年 「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」
を選んでいます。
さて、今年のトレンドは「事業仕分け」に代表される「透明化」。
この企画はブログ主宰者好川哲人の個人的なチョイスなのですが、少しでも透明化をしようと考え、今年は趣向を変えて、「今年の3冊」を発表し、その中から、ビジネス書の杜Award2009を決めることにしました。
その準備として、5日間に渡り、以下の7つのカテゴリーで、それぞれ、カテゴリーの3冊を選んで、発表してきました。計21冊です。
●戦略・マネジメント
●技術マネジメント・研究開発マネジメント
●リーダーシップ
●意志決定・思考法
●オペレーションマネジメント・プロジェクトマネジメント
●ビジネス
●セルフマネジメント
計21冊の中から、今年の3冊として選んだのは
・「 「決める」マネジメント」
の3冊です。「減らす」、「決める」、「賢い部下」というのは、今、ビジネスに求められているキーワードではないかと思います。
無駄を「減らす」。これは、事業仕分けに国民が「熱狂」したころから考えても、待望されているものでしょう。「減らす技術」の著者のレオ・バボータさんは、禅を背景にした思想を持っておられます。以前、顧問をしていた中小企業の会社の社長さんが、「日本人には禅スピリットがあるので、無駄の撲滅が上手」だと言われていました。確かに強い中小企業は、やっていることがシンプルですね。大企業もそろそろ、考えてみる必要があります。
この本を選んだのは、「その前に、一人一人が考えてみましょう!」というメッセージです。
方針を「決める」。長らく日本にはなじまないものでしたし、今でもあまりなじまないのかもしれません。新しいマネジメントの手法に飛びつく傾向のある日本人ですが、いつも、「決める」ことができないで導入に失敗しているような印象があります。
決めることに関する方法論を解説した本も日本では異様に少ないです。今年は、レバレッジシリーズで有名なビジネス書ベストセラー作家・本田直之さんが、「意思決定力」の本を出されましたが、本田さんの本にしては、あまり、売れていないそうです。「決める」ことをそんなに求めていないのでしょう。
でもマネジャーのもっとも重要な仕事は決めることであるのは間違いありません。
リーダーシップ・パイプラインという概念があります。ロミンガー社の仮説で、リーダーの育成手段の7割は経験、2割が薫陶(力のあるひととの関係)、1割が座学だという仮説です。意志決定は、おそらく薫陶による育成がもっとも重要なスキルです。つまり、後に続くリーダーを育てるには、決める姿を見せるというのは極めて重要だということです。
この本を選んだのは、「決めることができるマネジャーになりましょう!」というメッセージです。
最後、フォロワーシップ。日本ではトップより現場が強い。これを具現化する方法は、一人一人がフォロワーシップを持つしかありません。特に、現場のトップの経営に対するフォロワーシップは極めて重要だと思います。
そのようなフォロワーになるには、勇敢さがひつようです。この本を選んだのは、「勇敢なフォロワーになりましょう」というメッセージです。
ということで、3冊を選んだのはこんな理由です。
今年のベスト1は、年明けに発表します!
書籍愛好家としては、来年も、たくさん、よい本が出版されることを祈っています。
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