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2009年12月 8日 (火)

飲み屋で組織の愚痴を言っている役職者に読んでほしい本

447800577X  アイラ・チャレフ(野中 香方子訳)「ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書」、ダイヤモンド社(2009)

お奨め度:★★★★★

フォロワーシップの提唱者、ロバート・ケリーの「The Power of followership」(邦訳:「指導力革命!~リーダーシップからフォロワーシップへ」)に並ぶフォロワーシップの定番本。ロバート・ケリーの本は、フォロワーシップの概念の説明に重点が置かれているが、この本はフォロワーシップのあるべき姿として原題にもなっている「勇敢なフォロワーシップ」を描き、そのようなフォロワーシップを発揮するための方法をさまざまな視点から、リストとして提示している。読めばそのようなフォロワーシップ行動ができるような気がしてくる一冊だ。

この本の基本的なスタンスは、リーダーシップとフォロワーシップの対等性である。優れたリーダーシップの経営における重要性は万人が認めるところだが、フォロワーシップもリーダーシップに負けず、重要である。ただし、それは普通の上司と部下の関係ではなく、「勇敢な(Courageous)フォロワーシップ」であった場合の話だ。勇敢なフォロワーシップは、次の5つの勇気の上に成り立つ。

・責任を負う担う勇気
・役割を果たす勇気
・意義を申し立てる勇気
・(リーダーの)改革に関わる勇気
・良心に従って行動する勇気

組織は、共通目的とリーダーシップとフォロワーシップからなる。その中で、フォロワーシップの価値は、リーダーと組織がその価値感という脈絡の中で共通の目的を追求することを、如何に完璧に手助けするかによって決まる。そのためにはリーダーと対等な立場にあることを認識し、

・責任を負う
・リーダーに仕える
・意義を申し立てる
・変革に関わる
・道義的な行動を起こす

という5つの活動を行う必要がある。

責任を負うとは、組織に対して責任を感じ、自分で考え行動することである。このためには、まずは自身のアセスメントを行い、

・アセスメント結果に対して、率直なフィードバックをえられるように努力する
・アセスメントとフィードバックにより個人的な成長を目指す
・自己管理を行う
・自分の身を守る
・自分の仕事や自分が使える人々を大切にする
・指示を待たずに自発的に行動すようとする意欲を持つ
・組織の文化に影響を与える
・組織のルールを把握し、その枠組みのなかで目的を果たす
・発想をかえる
・プロセスを改善する

といったことに取り組んでいかなくてはならない。

次に、リーダーに仕えるという立場からは、

・リーダーに影響を与える
・リーダーのエネルギーを浪費させない
・コミュニケーション手段を構築する
・リーダーへのアクセスを確保する
・リーダーへのゲートキーパーとして責任を持つ
・リーダーへの衝撃を和らげる
・リーダーを守る
・リーダーから守る
・リーダーの代役を務める
・リーダーの個性を宣伝する
・創造的なリーダーのアイディアを評価する
・選択肢を準備する
・リーダーと仲間の関係をファシリテートする
・危機管理をする
・リーダーが病気になったとき組織をまとめる
・リーダー同士が対立したときに、問題を大局的にみる
・組織やリーダーのアセスメントを受けさせる

といった手段を通じて、よりよい関係を構築していくことが必要である。

意義を申し立てるという立場からは

・リーダーに耳を傾けさせる
・リーダーを適切な思考プロセスに向かわせる
・リーダーが自分の望む結果につながる効果的なフィードバックをする
・情報をインプットする
・間接的に意義を申し立てる
・集団思考から脱却を促す

といったことをしなくてはならない。しかし、最終的に意義が通らなくても、結論には従わなくてはならない。その際にも、可能な限り、工夫を凝らして、自分が正しいと思える方向に動いていくように努力をする必要がある。

さらに、勇敢なフォロワーはリーダーの変革に積極的に関わっていく必要がある。その場合、変革の中心的な役割を果たし、リーダーが変わっていく触媒にならなくてはならない。触媒として機能するためには、

・リーダーに理解を示す
・言動と否認の正当化をほぐしていく
・変革の手段を確認する
・外部のアドバイザーを巻き込む
・リーダーを支える環境を整える
・変革の手本を示す
・共感の手本を示す
・虐待行為を抑制する
・現実的な期待をする

といったフォロワーとしての行動をしなくてはならない。

最後の道義的な行動を起こすという立場からは、自分の組織からの離脱も含めて、服従しないために戦う必要がある。

このようなフォロワーシップについて、本書の最後に、リーダーとして、フォロワーシップの育成について述べられている。そのためには、自分にとっての「勇敢なフォロワーシップ」の重要性を十分に認識した上で、フォロワーからの働きかけに対して

・支援を受け入れる
・建設的な意義を正当に評価する
・建設的な意見を募る
・苦情ではなく、コミュニケーションの文化を築く
・保護された伝達ルートをつくる
・正しいことを識別する

などの対応をする必要があると述べている。

この本の一番のポイントは、リーダーとフォロワーは役割だと氏、フォロワーシップを平社員と上司の関係だけに限定せず、組織のあらゆるレベルで通用するものだとしている点にある。たとえば、課長の部長に対するフォロワーシップ、部長の社長に対するフォロワーシップというのが成り立つわけだ。

この点が今、フォロワーシップが求められるもっとも理由だと思う。特に、ミドルマネジャー、ジュニアマネジャーの弱さが組織の弱さになっている組織が多い。そのような人たちがこの本を読んで、適切なフォロワーシップを発揮されることを望みたい。


 

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