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2009年6月

2009年6月30日 (火)

バケツに水を注ぐ

4532312159 ドナルド・クリフトン、トム・ラス(高遠 裕子訳)「心のなかの幸福のバケツ」、日本経済新聞社(2005)

お奨め度:★★★★★

「ポジティブ心理学の祖父」、「強みの心理学の父」と呼ばれるドナルド・クリフトンが自身の40年間に渡る仕事を「ひしゃく」と「バケツ」という単純なメタファで紹介した本。メタファが単純な分、書かれていることには非常に深みがある。

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行動を中心にした問題解決のフレームワーク【ほぼ日読書日記 2009年6月29日】

僕はグローバル化信奉者ではない。経済のグローバル化は必須であるが、それと、チームだとか、組織がどうあるべきかは別の問題だ。

目的と目標の議論でいえば、グローバル化は目標であって、目的ではない。目標だけで突き進もうとするから、達成手段もあわすような議論になってしまう。

ダイバーシティを重視しろと強要するというのはパラドックスだ。何のためにダイバーシティを重視しなくてはならないのか?そこが問題。

比較ビジネス文化論としては秀作だと思うが、読み進んでいるうちに、そんな気持ちになってきた。

篠崎 正芳「世界で成功するビジネスセンス~日本企業は仕組みをチェンジ!日本人は思考・行動をアップグレード!」、日本経済新聞出版社(2009)

ただ、思考様式も変えたいと思っている人には、非常に現実的なたくさんのアドバイスが書いてある本なので、役立つと思う。

価値観の議論をしない、いいかえれば、アングロサクソンの資本主義の価値観を前提にした、グローバル化の本は、もう僕的なおなかいっぱいだけど。

もう一冊、この本を読んだ。

池上 孝一、小島 美佳「ハイパフォーマーの問題解決力」を極める」、ファーストプレス(2009)

問題解決力のフレームワークとしては画期的な本だ。基本スキルと、応用スキルに分け、思考スキルだけでなく、行動スキルなども盛り込んでいる。

今までの問題解決本は、思考スキルありきで、考えたことを如何に行動に移すかという観点で書かれているのとは根本的に異なる。ただし、基本スキル(ファンダメンタルスキル)の難易度が高い。

1 色々な立場に身を置いた「視点」を持って行動している
2 「目的意識」を踏まえて行動している
3 的確な「判断基準と優先順位」を使って行動している
4 やりきろうとする「アスピレーション」を抱いて行動している

日常的にこんな行動ができれば、そもそも、問題など生じないだろう。っていうか、そういう問題があったときに何かするのではなく、継続的に問題を解消しながら仕事を進めていくためのフレームワークだとみるべきだろう。

2009年6月28日 (日)

知的好奇心を満たされた休日【ほぼ日読書日記 2009年6月28日】

休日のほぼ1日を書けて読了。

ゲイリー・レイサム、(金井 壽宏監訳、依田 卓巳訳)「ワーク・モティベーション」、エヌティティ出版(2009)

学術書なので、おもしろいとかいうものでもないが、知的好奇心は満たされた。こういう休日の過ごし方も悪くない。

ざっくりした感想としては、モチベーション理論は、そんなに直感とかけ離れたものはないということだ。経営学、あるいは人文科学とはそういうものかもしれないが。

で、箸休めに読んだ本。

金子 英之「遺言書で鍛える6つのビジネススキル―エグゼクティブは遺言書で人生設計する」、冬舎メディアコンサルティング(2009)

本屋でタイトルを見て、直感的におもしろいと思って買ったのだが、期待外れ。っていうか、このタイトルであれば、もっとおもしろい本を作れるだろうと思った。

この編集ではあまりビジネスの参考にはならないように思う。ただ、僕ももう50なので、人生を考える上で参考にはなった。

ブルーオーシャンの手本とされる経営の本質

4532314631 井上 理「任天堂 “驚き”を生む方程式」、日本経済新聞出版社(2009)

お奨め度:★★★★1/2

今や、日本企業の中ではトヨタやソニーと並んで関心を持たれているにもかかわらず、そのマネジメントが秘密に包まれている任天堂を、取材とデータ、洞察から描いた力作ノンフィクション。

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2009年6月27日 (土)

プロデュースの極意【ほぼ日読書日記 2009年6月26日】

今日は1日セミナーの講師。終わった後で本屋に行き、10冊くらい本を買ってきた中から、仕事術系の本を3冊ほど、読んだ。

一冊目。古田マリさんの新刊。

古田 マリ「絶対「間に合う」仕事術―突発事態も切り抜ける4つのツール」、東洋経済新報社(2009)

ガントチャート、クリティカルパスに加えて、オリジナルのツール、「敷地図」、「目標管理透視図」を組み合わせて、デッドラインを死守する仕事の方法を解説している。

この前の空間思考の本

古田 マリ「仕事の設計図を描く―「空間」思考でできる人になる」、成美堂出版(2007)

が結構、インパクトあったのに、新刊は普通。次作に期待。

二冊目。高橋浩一さんという方の「人を巻き込む仕事のやり方」。

高橋 浩一「人を巻き込む仕事のやり方」、ファーストプレス(2009)

まず、目立ったのが帯。金井先生の推薦だが、著者より遙かに大きなフォントで名前が出ている。少なくとも僕はこの帯で、また、金井先生の新刊かと思って手にとったのだから、出版社の作戦大成功。

内容はよかった。っていうか、金井先生の品質保証なので当たり前か。

三冊目。

小山 登美夫「小山登美夫の何もしないプロデュース術」、東洋経済新報社(2009)

この本が3冊の中では最もおもしろかった。

著者の小山 登美夫さんはギャラリスト。キャリーという仕事そのものも興味深いし、その中で、非常に人間観察眼に優れた著者の見識は読むに値する。人をプロデュースするというのはどういうことかを考えるに当たって非常に参考になった。

アーティストというのがどのくらいの割引要素になるか、よくわからないが、結構、ビジネスプロデュースにも通用しそうだ。

失敗をマネジメントする【ほぼ日読書日記 2009年6月25日】

今日は久しぶりのナイトセミナー。「プロジェクトマネジャーの秘密」というシリーズセミナーの第1回で、多少、ぎこちない感じもあったが、なかなか、楽しかった。

終わったあと、さすがに本を読む気にならなかったが、寝る前に1冊。

中尾 政之「創造はシステムである 「失敗学」から「創造学」へ」、角川グループパブリッシング(2009)

僕が大学院を出て入ったのは、三菱重工長崎研究所の制御研究室というところだったのだが、こういうことをよく言われていたなと懐かしかった。失敗を恐れるな、小さな創造を積み重ねよ。この考えは当時の研究開発マネジメントの基本だったような気がする。

日本の企業ってこれで結構イノベーションを起こしてきたんだよなあ。千三つを嫌う文化である組織が多いのは間違いない。ただ、それが、失敗しないようにするというのとはちょっと違う。失敗をマネジメントできるというのは、結局のところ、創造しているってことなんだと思う。失敗をマネジメントするシステムは、創造をするシステムでもある。

TRIZがまさにそうであるように、「創造はシステムである」という考え方は世界的なのではなだろうか。

2009年6月26日 (金)

戦う【ほぼ日読書日記 2009年6月24日】

22時過ぎまで、プロジェティスタ研究会。その後、メンバーの一人と夕食。ホテルに戻り、風呂に入って本を読み始めた。

渡邉 美樹「 「戦う組織」の作り方」、PHP研究所(2009)

昨年のリーマンショック以来、ビジネスの世界の価値観が情と理の間でゆらいでいるように思う。渡邉 美樹さんの価値観は成功者であることを除いても、いい感じのバランスの方(ってテレビで見て感じているだけだが)。サーバントリーダーシップの実践者である。そんなことを感じさせる本。

草食系がいわれる今、「戦う」というのはもう一度、思い出す必要があるキーワードだ。この本で渡邉さんが戦うといっているのは、「自分」と戦うという意味だろう。ビジネスにおいて戦わないというのは一つの価値観であると思う。ただ、それが自分と戦わないというところに結びついていくような風潮はいただけない。

SMAPの草彅クンは草食系かもしれないが、戦っている。

もう一冊。2~3ヶ月前にさっと読んでもう一度、読み直したいと思っていた本をやっと読む。

別所哲也「夢をカタチにする仕事力~映画祭で学んだプロジェクトマネジメント」、光文社(2009)

プロジェティスタ研究会で、ビジョンは一人歩きして、初めてビジョンという議論をしていたので、もう一度読んでみようと思って引っ張り出したのだが、やっぱり、この感覚なのだろう。プロジェクトにもシンクロニシティというキーワードが重要だなと再認識。

こういう形のマネジメントをしてみたいものだ。

2009年6月24日 (水)

影響力の武器のハウツー編はいいぞ!【ほぼ日読書日記 2009年6月23日】

いろいろとあって、次の読者プレゼントに予定している書籍「チームの生成と開発」の吉村さんのセミナーに参加。インパクトのセミナーなので、ちょっとわくわくしながら参加したが、さすがって感じでした、はい。アクティビティ(プロジェクト)は楽しめた。

それにしても、6割くらいは女性で、研修担当。チームマネジメントってそういうテーマであることを実感。

夜、ロバート・チャルディーニの「影響力の武器」の続編をやっと読んだ。

N.J.ゴールドスタイン、S.J.マーティン、R.B.チャルディーニ(安藤 清志監訳、高橋 紹子訳)「影響力の武器 実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣」、誠信書房(2009)

名著「影響力の武器」もこうなってしまうと、ハウツーものになるが、読んでいて気持ちいいのは、「仮説」として扱っていること。

日本の出版物のように、著者が言いたい放題という感じの書き方ではない。仮説の根拠も説明されているし、かりに、これがロバート・チャルディーニの著作ではなくても、十分に読む価値はあると思える。

内容そのものよりも、思考プロセスの方が楽しめるかもしれない。

ついでに、日記を書けなかったので、さかのぼっておく。

6月22日(月曜日)に東京に来る新幹線で読んだ本。

杉野 幹人、内藤 純「コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術」、東洋経済新報社(2009)

非常に参考になった。コンテンツに対して、コンテキストだというのは若干違和感があるが、そんなことはどうでもよく、思考法としておもしろい。ロジックを超えるということで、いろいろな思考法が提案されているが、本命の一つではないかと思う。3Sというフレームも使えそうな気がする。

それから、もう一冊。鈴木有香さんの「コンフリクトマネジメント」が新装になった。鈴木有香さんはセミナーが抜群によいという話を聞くが、この本はイマイチだったという感想を述べる人が多い。理論とトレーニングが中途半端なのだと思うが、今度の本は、かなり、トレーニングの要素を強化している。その意味でセミナーに近づいたのかもしれない。お奨めです。

鈴木 有香「人と組織を強くする交渉力-コンフリクト・マネジメントの実践トレーニング」、自由国民社(2009)

それから、さらにさかのぼり21日の日曜日。いま、話題にブラックスワンの上下巻を一気に読む。おもしろかった。こういう本がミリオンセラーになるって、どういう国なんだろうと思った。日本でそんなにたくさん売れるような気はしないなあ。

ナシーム・ニコラス・タレブ「ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質」、ダイヤモンド社(2009)

2009年6月20日 (土)

無駄を学問する【ほぼ日読書日記 2009年6月19日】

渋滞学」で有名な西成先生の最近の本を読んだ。

西成 活裕「無駄学」、新潮社(2008)

渋滞学を読んだ時には、よくここまでと思ったが、比べると、ご本人も書かれているように、まだ、未成熟。

ただ、視点はとてもよいと思う。トヨタ方式のように無駄の排除で改善というのは基本的に深掘りしていくアプローチであるが、水平思考的なアプローチで改善するというのは有効なのではないだろうかと思った。

次作に期待。

日記には書かなかったが、新しい学問体系として実に興味深いものに、「希望学」がある。2~3ヶ月前から、東大出版会から、配本のような形で出ている。東京大学社会科学研究所による4年間にわたる全所的プロジェクトの成果の発表だそうで、すでに、3冊出ていて、第4巻も予約できる。

東大社研編著(玄田 有史、宇野 重規編)「希望学1 希望を語る」、東京大学出版会 (2009/4/4) (2009)

4千円もする本なので、あまりお奨めはしないが、なかなか、考えさせられる論文が多い。また、第三巻では、釜石でフィールドリサーチをしている。これも興味深い。
・希望と変革――いま、希望を語るとすれば
・希望研究の系譜――希望はいかに語られてきたか
・アジアの幸福と希望――「国民の幸福」戦略と個人の新たな選択
・データが語る日本の希望――可能性、関係性、物語性←これが特にお奨め
・「希望がない」ということ――戦後日本と「改革」の時代
・労働信仰の魔法とそれを解く法――希望の意義と危険性
・経済学からみた希望学――新たな地平を開くために
・ハンナ・アーレントと「想起」の政治――記憶の中にある希望
・社会科学において希望を語るとは――社会と個人の新たな結節点

時代的にこういうことを考える時代なのだろうなと痛感する。経営学でも希望というのは、取り扱ってもいいテーマだ。ポジティブ心理学にも通じる。

2009年6月18日 (木)

「ビジネス」と「スピリチャル」の融合【ほぼ日読書日記 2009年6月18日】

ある本からの抜粋。

目の前の仕事に全力投球し、一生懸命やった結果として、「負荷」という「重り」が「やりがい」という「目標」に変化し、仕事が楽しくなってくるのです。

どうだろうか?なかなか、いいこと言っているなという感じだろうか。では、これはどうだろう?

21世紀型のリーダーの資質とは、「どれだけ多くの人を指導し、大きな組織を束ねたか」ではなく、「どれだけ、たくさんのリーダーを輩出し、育てることができたか」

牽引するリーダーシップから、サーバントリーダーシップという感じだ。では

本来の営業とは、「あなたの想いのエネルギーを、モノやサービス、商品に乗せて、より多くの人に投げかけ、分かち合うこと」に他なりません

はどうだろう?はて?、なんだろう?って感じか。では、

21世紀のメインテーマは「ビジネス」と「スピリチャル」の融合です

と言われるどう感じるだろうか?

実は、これは知る人ぞ知る、経営コンサルタントはづき虹映さんの新しい書籍

はづき 虹映「スピリチュアル・コーチング」、ビジネス社(2009)

殻の抜粋である。買ってきてさっと読んだが、ひょっとしてホンモノかもと思った。

ちなみに、

伊勢白山道「内在神への道」、ナチュラルスピリット(2008)

の著者の伊勢白山道さんのブログ「伊勢ー白山 道」はたいへん有名なブログであるが、結構、ビジネスマンの読者が多いというブログ記事を読んだ記憶がある。

「ビジネス」と「スピリチャル」の融合というテーマに共感している人は少ないないのだろうか?

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