マネジメントエクセレンス Feed

2008年11月19日 (水)

兵法三十六計とマネジメント

兵法はもともと、出版物の多いテーマだが、今年1年だけで、ビジネスをテーマにした兵法の本が3冊出ている。これはちょっと驚きだ。

兵法は、中国で5世紀くらいから民衆の間で語り継がれてきた策略の教え。中国オフショアの専門家がいろいろと「中国人は、、、」といっているのを聞くと、兵法を認識しているのかといいたくなる。

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2008年8月13日 (水)

仮説を制する者はマネジメントを制する

■仮説とは何か

マネジメントにおいて欠くことができないのは「仮説」である。マネジメントのセンスとは、言い換えれば、どれだけ適切な仮説を作れるか、そして、その仮説を使って活動しているかだと言っても過言ではない。

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2008年6月20日 (金)

これから求められる思考法と思考ツール

この10年間くらいで、ロジカルシンキングの普及など、静的で(時間の推移を考えない)定性的な思考方法というのはずいぶん、定着してきたように思うが、その限界を感じている人は多い。いくら情報を集めてきても、時間的な視点を入れず、また、抽象化しないのでは、そこから導けることは限られている。

やはり、定量的な思考方法や、数理的な思考方法、あるいは時間の視点を取り入れたダイナミックな思考法というのはビジネスには欠かすことができない。その中でもっとも関心が高いのはおそらく動的な情報を取り扱う思考法としてのシナリオプラニングと、数理的な思考法としてのゲーム理論であろう。これらについては、書籍も結構、出版されてきた。

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2008年6月15日 (日)

ワークショップを極める!

ワークショップは、「作業場」や「工房」を意味する語であるが、20世紀に入ってからは体験型の講座の意味で用いられるようになってきた。

この意味でのワークショップは「主体的な参加」し、「自発的に作業」することによる「体験の共有」に大きな特徴がある。この特徴ゆえに、
・合意形成
・問題解決
・教育学習
など、さまざまな分野でつかわれている。今では、企業やトレーニングの中で普通に用いられる手法になっている。

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2008年5月 9日 (金)

「BADLUCK」を買収したいと言ったホリエモン

4870318059夢をかなえるゾウ」で一躍ミリオンセラー作家になった水野敬也氏。こういう本が100万部売れること自体驚きだ。テレビドラマ化も決まったそうだ。TVや雑誌インタビューにも登場し、一躍時の人になった水野敬也氏の話を聞いていると、なるほどと思わせる。「夢をかなえるゾウ」はよい本というより、敢えて「よくできた本」だといいたい。

さて、このコラムで書きたいのは、「夢をかなえるゾウ」のことではない。水野敬也氏のデビュー作となる「バッドラック」という本をご存じだろうか?

4757303009悪戯好きの神が平凡な会社員アレックスを不幸にしようとする。クビ、暴力、火事、そして死…。人生最悪の一日を、しかし彼はとんでもない前向きさで笑いながら過ごしていく。

というストーリーのポジティブシンキングの本だ。この本、2005年に出版された。そして、この本には、ホリエモンこと、堀江貴文氏の

 「今年一番買収したい本」

というコピーがついている。

この本のアマゾンのレビューを見ていると非常に面白いのだが、「夢をかなえるゾウ」が出版されてから、「バッドラック」の評価が下がっている。確かに、多くの人がレビューに書いているとおり、完成度が違うのだ。僕自身、この本は読んだが、ブログにも取り上げなかった。だた、ホリエモンのコピーだけが印象に残っていた。

荒削りの宝石の価値を見抜く。まさに、慧眼である。

4757301782 残念ながら、堀江貴文氏は活動を自粛しているようで、そのあとの水野氏の「夢をかなえるゾウ」のミリオンセラーをどう思っているか知る余地もないが、「バッドラック」に将来のミリオンセラー作家のにおいを感じたとすれば、それが堀江貴文という人物の本質ではないだろうか?

はやく、すっきりして新しい活動に取り組んでほしいものだ。

2008年4月 7日 (月)

顧客満足からディライトへ!

顧客循環力という言葉を聞かれたことがあるだろうか?一言でいえば、CS(顧客満足)とES(従業員満足)のシナジーによる顧客サービス品質のスパイラル的向上を実現する組織力といえる。

顧客満足が大切だという考え方の背景にあるのは、「サービス品質が悪い」という認識である。ゆえに、品質向上の一環として顧客満足度を把握し、向上していくことに力を注いできた。

この分野はISOをはじめとして、マネジメントが相当体系化されており、書籍などでもよいものがたくさんある。お薦めの一冊はこれだ。

4820744208 日本能率協会コンサルティング、永川 克彦、蛭田 潤、江渡 康裕、渡邊 聡「お客様に対応する業務の品質管理」、日本能率協会マネジメントセンター(2007)4820744208

顧客満足というと、どうやって計測するかが問題になるが、顧客満足の評価の指標としてもっとも一般的に使われているのは、リチャード・オリバーが提唱している「期待不確認モデル」である。このモデルは、期待(E)と実績(P)に注目し、その大きさで顧客満足を決めるものである。期待と実績を比較し、実績が期待より大きいなら、顧客満足が達成していると考えるモデルだ。実績が期待を下回っている場合には、それ自体が競争力を欠いており、実績を向上させる必要がある。これが上に述べた話である。

しかし、ここで考えなくてはならないのは、期待が低ければ、いくらリチャード・オリバーモデルで顧客満足が大きくなっても競争力にはならないことだ。

したがって、期待と実績の差を小さくすると同時に、期待そのものを大きくしなくてはならない。つまり、差を小さくしながら、期待を大きくしていくというスパイラルが求められる。

最近、顧客満足度に代わって、(カスタマー)ディライトという言葉が使われるようになってきた。JTの「私たちはディライトを提供します」という見て、ディライトって何だろうって思われた方もいらっしゃると思う。妙にインパクトのあるCMだ。別のキーワードは感動である。

たとえば、顧客満足向上のコンサルティングを専門とするJ.D.パワーなどの事例を見ていると、顧客満足の向上活動が、最終的には「感動を生み出す」活動になっていくケースが多いようだ。

クリス・ディノーヴィ、J.D.パワーIV世「J.D.パワー 顧客満足のすべて 4478375208」、ダイヤモンド社(2006)

口で感動を与えるというのは簡単だが、問題は如何に実現するかである。

この方法として、3つのキーワードがあるように思う。

ひとつ目はホスピタリティである。この分野は山ほど、本がある。昔から、

4478330247ヤン・カールソン(堤 猶二)「真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか」、ダイヤモンド社(1990)

のような名著が多い分野なのだが、この2~3年、ホテルサービスのベストプラクティスを応用しようといった趣旨の本がたくさん見られるようになってきた。たとえばこの本だ。
林田 正光「図解版 ホスピタリティの教科書」、あさ出版(2007)4860631978

また、ここに、最近、日本流の「おもてなし」本が出てきている。おもてなし本でお薦めは

4862760333 リクルートワークス編集部「おもてなしの源流 日本の伝統にサービスの本質を探る」、英治出版(2007)

である。この本は、おもてなしは「主客の立場が入れ替わることさえ許容し、主と客が共にその場をつくる「共創」の関係を持つことを基本としている」という視点を置き、うまくまとめている本だ。

二番目は感動だ。これも多い。上に紹介したJ.D.パワーの本もお薦めだが、最近、読んで「感動」した本がこれ。

4532313767 ロビン・レント、ジュヌヴィエーヴ・トゥール(フローレンス ミエット 石坂訳)「超高級ブランドに学ぶ感動接客」、日本経済新聞社(2008)

ホスピタリティにしろ、おもてなしにしろ、あるいは感動にしろ、その実現のメカニズムというのがもう一つの問題である。ホスピタリティであれば、「ホスピタリティマネジメント」といった形でいくつかのフレームワークが提案されている。たとえば、

4820117319 中村 清、山口 祐司「ホスピタリティマネジメント―サービス競争力を高める理論とケーススタディ」、生産性出版(2002)

などがある。しかし、あまりとっつきやすいものではなかったが、最近、「満足循環」という概念を中心にまとめた本が出版された。

4054036783 志澤秀一「ディズニーに学ぶ満足循環力―「お客様満足」+「社員満足」の秘密」、学習研究社(2008)

志澤秀一氏は東京ディズニーランドの立ち上げから人材育成にかかわってこられ、今はコンサルタントとして活躍されている方だ。

この本では、ディズニーランドにおいて、育成プログラムのバックボーンとなっている理論を紹介されている。この本で述べられているのは

(1)すべてのゲストはVIPという個性化されたメッセージの発信と、その実現の
ために必要なプロフェッショナルな仕事の定義
(2)期待を上回るサービス提供ができるような仕込みをする
(3)期待を上回るサービスを実現し、評価を受ける
(4)社員は評価に満足し、さらなる向上を図るモチベーションとする
(5)会社は発展し、より明確な個性化されたメッセージを発信する
(6)リピートが増え、さらに大きな満足をえる

というCSとESの循環(スパイラル)を作れといことだ。最近、顧客満足というより、カスタマーディライトの実現のためにESの果たす役割の議論が盛んになっているが、結局、この満足循環につきるのではないかと思う。

顧客満足は百歩譲れば現場でできるかもしれない。しかし、ディライトは千歩譲っても経営と現場の協調がない限り実現できない。それをわかりやすく説明してくれている本は、まさにこれからの経営者も現場リーダーも必読の一冊だといえる。

この本を読んでいると、どうしてもディズニーランドは特別だという人も少なくないだろう。よく聞く話で、東京ディズニーランドやJTBを目指す人は、入社試験に落ちても業界他社は受験しないという話がある。どの程度信憑性があるかはしらないが、納得できる話ではある。そこで、もう少し、一般化された話を求めている人もいるかもしれない。そんな人には、この本をお勧めしておく。

最後に、従業員満足に対して、より体系的なアプローチを探している人には、この本をお薦めしておきたい。

4818526142 吉田 寿「社員満足の経営―ES調査の設計・実施・活用法」、日本経済団体連合会出版研修事業本部(2007)

2008年3月 2日 (日)

松岡正剛と物語編集

「遊」の時代から松岡正剛氏のファンである。とんでもない編集人である。どんな著作を読んでもうっとりするような物語を楽しむことができる。

2000年に自らの方法論を伝えるイシス編集学校を設立された。いつか参加したいと思っているのだが、知人で何人か参加している人の話を聞くにつけ、深みにはまりそうな気がして、躊躇している。

そうこうしているうちに、この学校で教えていると思われる編集の本質を垣間見せる本が出てしまった。この本だ。

4478003866 松岡正剛「物語編集力」、ダイヤモンド社(2008)

この本は、物語の5大構成要素としている

ワールドモデル(世界構造)
キャラクター(登場人物)
シーン(場面)
ストーリー(スクリプト・プロット)
ナレーター(語り手)

の5つを各章とし、[破]師範(番匠)と講評をするととにも、学衆がつくりあげた27篇の物語エチュードが紹介する作りになっている。物語エチュードは、アリスとテレス賞(コンテスト)入賞作のなから選び抜かれた作品だそうだ。

12人の師範は、

今井歴矢/奥野博 /太田眞千代/森美樹/林十全 /野嶋真帆/小池純代/高柳康代/田中俊明/古野伸治/倉田慎一/赤羽卓美

の12名。すごいメンバーである。

ちなみに、[破]というのは[守]の後の応用コース。詳しくはこちらを参照してほしい。

http://es.isis.ne.jp/

物語、ストリーテリングの有用性について書いた本は少なくない。たとえば、このブログでも紹介したことがあるが、

4478732809 田坂 広志「企画力 「共感の物語」を伝える技術と心得」、ダイヤモンド社(2004)

4837921795 平野日出木「「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法」、三笠書房(2006)4837921795

など、とてもわかりやすく、印象深い本である。また、最近、翻訳された本で、

4495376012 ジョン・ブラウン(高橋正泰、高井俊次訳)「ストーリーテリングが経営を変える―組織変革の新しい鍵」、同文館出版(2007)4495376012

はかなり、マネジメント手法として突っ込んだ本である。もう物語が有用であることは定着してきたといってよいのかもしれない。

ただ、これは物語が語れる、書ける、編集できるという前提で有用であるという話であって、物語を語ることは非常に難しい。経験があってもケースを作るのは難しいが、これも同じ難しさだ。

実際にコンサルティングの中で物語を入れてみると、効果があることに驚かれると同時に、うまく物語を使うことが難しいことを痛感する。

僕がイシス編集学校に行きたいと思っているのは、この壁を感じているからだ。

この分野の本がかけるのは、ひょっとして日本で松岡正剛しかいないのかもしれないが、今回の物語編集力はその一端を垣間見せてくれる。こんな本がもっと出ないかなと思う。

それから、松岡正剛ファンの人は、この本を読んだ後で、比較的明確で、広範なテーマについて書いた本、たとえば、

4122043824 4122045592 松岡 正剛「花鳥風月の科学」、中央公論新社(2004)

松岡 正剛「ルナティックス - 月を遊学する」、中央公論新社(2005)

などを合わせ読むと、編集という概念がすっきりとするのではないかと思う。お薦め!

2008年2月14日 (木)

女性化しているビジネスマン

4478731209 エイドリアン・メンデル(坂野尚子訳)「女性(あなた)の知らない7つのルール―男たちのビジネス社会で賢く生きる法」、ダイヤモンド社(1997)

お薦め度:★★★★1/2

原書:How Men Think: The Seven Essential Rules for Making It in a Man's World

珍しく、10年以上前に出版された本を紹介したい。今、企画中のセミナーのために読みなおして、意外な感想をもったからだ。

内容は、ビジネスは男中心のゲームであり、女性はそれを理解しないためにずいぶんと損をしているというもの。あまり記憶が確かではないが、この本を最初に読んだのは1999年だと思うが、米国でもそうなんだと、結構、新鮮な衝撃を受けた覚えがある。

改めて何を感じたかというと、米国の状況はよくわからないが、日本ではビジネスでの女性の活躍は当り前のことになってきた。おそらく、最初にこの本を読んだ頃には、活躍する女性は目立っていた。しかし、今は目立たない。たとえば、仕事がら、大手の企業の部長クラスとお会いすることが多いが、女性は珍しくない。

そして、その人たちは女性独特の世界を作り上げているかというとそうではない。もちろん、女性ならではのものの見方、考え方はあると場面場面である思うが、大きな流れは男性が作ったビジネスのルールに従って堂々と自らの地位を築き上げている。これは、この本が啓蒙していることでもある。

この本ではビジネスというゲームには7つのルールがあるとしている。

ルール1:できるふりをする
ルール2:自分を強く見せる
ルール3:つらくても継続する
ルール4:感情的にならない
ルール5:アグレッシブになる
ルール6:戦う!
ルール7:真のプレイヤーになる

という7つだ。そして、このビジネスゲームを楽しむには、女性には3つの欠点があるというのがこの本の指摘。その3つとは

欠点1:失敗を恐れすぎる
欠点2:消極的すぎる
欠点3:優先順位をつけられない

の3つ。

さて、なぜ、この本を紹介したか。上に述べたように女性がこのビジネスゲームのルールに適応してきたのに対して、キャリアの浅い年代を中心に、ビジネスマンが女性化してきたのではないかと思う。

この本の中に男女の行動特性の違いを説明するためにこんな実験が紹介されている。

ハインズ夫人は病気で特別な薬を飲まないと死んでしまうかもしれない。しかし、その薬はとても高い。夫にハインズ氏には薬を買うお金がなく、薬屋さんも安くは売ってくれない。

この状況で「ハインズ氏は薬を盗んでもよいでしょうか?」という質問を男の子と女の子に別々にこの質問をした。

多くの男の子は「大切なものは何か」という問題に置き換え、命よりも大切なものはない以上、ハインズ氏は薬を盗んでもよいという結論を導ける人が多いそうだ。したがって、問題解決ができる。

ところが女の子は、薬を盗んだら、人との関係にどう影響するかを考える。そして、財産と命を比較するのではなく、薬を盗まずにハインズ夫人を助ける方法はないかと考え始める。当然、そんな方法はなかなか、見つからない。銀行でお金を借りてこのジレンマを解消しようとする。

つまり、男の子はものを盗んではならないというルールは受け入れた上で、ルールの抜け道を探す。この場合だと、捕まったとしても裁判官が理由をつけて無罪にする方法はないかと考える。

女の子はルールをそのまま受け止め、場合によっては使えないと判断し、ルールを無視してしまう。このケースだと銀行は返済能力のある人にのみお金を貸すというルールを無視する。

このエクスサイズを読んでいると、男女をとわず、ビジネスマンが女性かしているのではいかとつくづく思うのだ。

ルールがあるからビジネスである。男女とも、本書を読んでもう一度、原点に戻ってはどうだろうか?

ただし、ビジネスのルールそのものが変わってきたと指摘する人もいる。たとえば、週刊東洋経済2008年2月9日号では、「働きウーマン~世界は女性を中心に回りはじめた! 」という特集を組んでいる。これを読んでいると、男性の作ってきたビジネスゲームのルールが変わってきたので、それに対するしがらみのない女性が台頭してきたと感じなくもない。

その意味でこの本でメンデルが示しているルールそのものが変わってきているような気がしないでもない。あるいは、近い将来変わるような気もする。

4063289990 この特集号で表紙に使っている「働きマン」の主人公・松方弘子は思いっきり男キャラで、それに時々女性目線が入って活躍するという話なので、今、求められているのは、まさに、そんな人材なのかもしれない。

その点も含めて、ルールがあるからビジネスなのだというこの本の指摘そのものは普遍性のあるもので、ゆえにゲリラはゲリラで、ゲリラがビジネスを支配することはないだろう。そして、そのルールに対して適合できるものが生き残るという指摘も、またただしいと思う。その意味でも、読んでみる価値のある一冊だ。

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2008年2月 4日 (月)

シンプルだから強い

北欧が注目されている。

ビジネス誌でも特集が組まれ、いろいろな点で注目されているようだ。昨年、出版された本で、北欧出身でライフバランスのコンサルティングをやっている著者が書いた

4072568341 ランディ・ノイス(椿正晴訳)「北欧流スローライフ・コーチング」、主婦の友社(2007)

を読んでみて、なぜかわかった。一言でいえば、生活も仕事も質が高いのだ。一昨年くらいからデザイン・マーケティング業界で「ひとつ上」というのが流行語になったが、まさにひとつ上のなのだろう。

北欧企業というとノキア(フィンランド)、IKEA(スウェーデン)、ボルボ(スウェーデン)、ABB(スイス)などが頭に浮かんでくる。これらの企業は、

4860290690 オッレ・ヘドクヴィスト、可兒 鈴一郎「ノルディック・サプライズ―北欧企業に学ぶ生き残り術」、清流出版(2004)

で取り上げられているので、興味があれば読んでみるとよいだろう。

いずれも、グローバルな大企業であるが、特徴はレバレッジの効いた経営にある。ゆえにシンプル、機能美、・・・といった言葉が思い浮かぶ。北欧の一つの面は、大きな政府だが、シンプルで効率的な考え方ができるからこそ、大きな政府が可能になるのだと思う。

北欧は、アメリカ信奉のアンチテーゼだという人もいるが、やはり、何か、生活や文化に根ざした独特の思考法なりがあるのではないかと思う。いろいろと本を探していると、こんな本があった。

4478760969 フレドリック・ヘレーン(中妻美奈子監訳、鍋野和美訳)「スウェーデン式 アイデア・ブック」、ダイヤモンド社(2005)

たとえば、こんな話が載っている。アインシュタインが、「博士と私たちのようなその他大勢の違いはなんでしょうか?」と聞かれてこう答えた。

たとえば、干し草の山から針を探さなくてはならないとします。あなた方はたぶん、針が1本見つかるまで探すでしょう。私は針が全部、見つかるまで探し続けると思います」

こんな話がエッセイとして30書かれた本だ。この本を1冊読み終わると、ノキアやIKEAの企業イメージが頭に浮かんでくるので不思議だ。きっと、何かDNA的なものがあるのだと思う。

1 針を探す
2 はてなタクシー
3 世界初の創造性テスト
4 メタファーで表現する
5 エジソンのアイデア・ノルマ
6 組み合わせの妙
7 いつものやり方
8 アイデアは潰されやすい
9 満腹病
10 メキシコ・オリンピック
11 バグを探す
12 囚人用ベビーフード
13 混ざらないものを混ぜる
14 失敗するほどいい
15 裸の王様
16 「絶対」はない
17 「もし・…・・」と考える
18 アイデアメーション
19 「メトロ」の裏話
20 考える人、考えない人
21 青いライトと赤い車
22 創造性の4B
23 発想のもと
24 それ、捨てるんですか?
25 暗黙の掟
26 チャレンジャーになる
27 テレポーテーション
28 「イエス」より「ノー!」
29 将来のシナリオ
30 素晴らしき未来

この本が訴えているのは、リラックスがアイディアを生むということだ。これが、スローライフにフィットしているのかもしれない。とりあえず、このあたりから北欧を感じてみよう。

2008年1月 1日 (火)

「主客一体」がビジネスの基本

2008年第1号です。本年もよろしくお願いいたします。 今年のスタートはこの本から。

リクルートワークス編集部「おもてなしの源流 日本の伝統にサービスの本質を探る」、英治出版(2007)

お薦め度:★★★★1/2

リクルートワークスが「おもてなし」とは何かを考えるために、旅館、茶道、花4862760333街、祭など「おもてなしの場」を調査し、その道の第一人者の話を聴いた連載「おもてなしの源流」を書籍化したもの。ワークスの連載のときから興味深く読んでいたが、改めて、書籍化され、まとめて読んでみると本質がはっきりしてくる。

欧米流のサービスは主と客が分離され、その関係構築に主眼を置く。これに対して、この本があぶりだしている日本のもてなしは、主客の立場が入れ替わることさえ許容し、主と客が共にその場をつくる「共創」の関係を持つことを基本としている。

これは旅館、茶道、花街、祭など、いずれにおいてもその傾向がはっきり見られる。そして、このスタイルを評価し、それを求めて欧米の人々がやってくるという。

非常に興味深い話である。

本書はサービスマネジメントの本として位置づけられているのだと思うが、これらはおそらく、すべてのビジネスにおける主客関係の基盤になっていると思われる。

たとえば、メーカに頼んでものをつくることを考えてみてほしい。メーカとユーザが協力することは比較的あたりまえだととらえられてきた。そうして初めて、ユーザは自分たちが役立つものを手に入れることができると考えらてきたのだ。

これに対して、欧米では、まず、契約ありき。契約で主客と明確にし、それぞれの領分をきちんと守ることによって、メーカは良いものを作ることができ、ユーザは役立つものを作ることができると考えられてきた。

この根底には、専門性に対して社会的な敬意を払い、たとえスポンサーといえどもその専門領域に手を突っ込むべきではないというプロフェッショナリズムがある。

今、日本もまさにこの方向に向かっている。

職人というと、自分の技術に自信を持ち、顧客はそれを対価として受け入れてくれるようなイメージがある。しかし、これは誤ったイメージではないかと思う。鮨屋で「おれの握ったすしが食えねえのか」の世界があるというが、京都のある(有名)鮨屋の店主にそんなのは職人ではないという話を聞いた。職人とは、「相手に悟られないように相手のニーズを聞き出し、そこに洞察を加えて客を満足させることができる」ものだという。ゆえに、無愛想な客と愛想のよい客で、出す鮨の品質が違うのもやむなしだそうだ。だから、客も作法をわきまえている必要があるし、品質を維持するためにわきまえない客は断る。だから、一見さんは断るのだという。これは花街にも通じる話だ。

少なくとも日本流のプロフェッショナルとはこれ、つまり、客と一緒に場を作れる人ではないのか?

そんなことを考えさせてくれる一冊である。

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