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2006年7月 2日 (日)

学習する組織のバイブルから、未来のマネジメントのバイブルへ

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ピーター・M. センゲ:「最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か」、徳間書店(1995)

お奨め度:★★★★★

組織学習のバイブル。組織がシステムであることを正視させる本。組織論の分野でも大きな影響を与えている1冊である。

この本では、学習する組織では

自己マスタリー(personal mastery)
メンタル・モデルの克服(mental models)
共有ビジョン(shared vision)
チーム学習(team learning)

の5つの原理と、これらを統合するシステム思考(systems thinking)の5つの原理が必要だと述べている。

組織論として、ひとつの理論だが、ビジネスシステムという概念で企業やビジネスを見た場合、本書のような視点で組織を捉える意味は大きく、また、発展性がある。90年代終わりからずっとビジネス、とりわけ組織に大きな影響を与えてきた1冊であるが、真価がはっきりするのはむしろ、これからかもしれない。

ビジネスマンとしては、ぜひ、読んでおきたい1冊である。

また、この本には、2冊のフィールドブックがある。

453231075x09 一冊は5つの法則を如何に適用していくかを解説した本である。

ピーター・センゲ(柴田昌治訳)「フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 企業変革を進める最強ツール」、日本経済新聞社(2003)

フィールドブックであるので、5つの原則が何を言っているのかが具体的な行動像を通じてよく分かる。もちろん、フィールドブックとして実際に使えるようなレベルのものである。

もう一冊は、5つの原則を実行するために、組織にはどのような変革課題があるかを解説し、その課題を解消するためのフィールドブックがある。上のフィールドブックとの関係としては問題解決編453231131409_1という位置づけになっている。

ピーター・センゲ(柴田昌治、牧野元三、スコラコンサルト訳)「フィールドブック 学習する組織「10の変革課題」―なぜ全社改革は失敗するのか?」、日本経済新聞社(2004)

学習する組織の構築の具体的なヒント、フィールドワークの指針も得られる貴重な本だ。必ず併せて読みたい。

(初稿:2005年3月2日)

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2006年5月11日 (木)

3つの自問

483795666101lzzzzzzz ダニエル・ピンク(大前研一訳)「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」、三笠書房(2006)

お奨め度:★★★★★

ダニエル・ピンクの最新作。3つの「自問」で大変な話題になった本の邦訳。大前研一が翻訳し、自ら、解説を書いている。

3つの自問とは、これからの成功者と脱落者を分ける自問と名づけられ、

1)この仕事は他の国ならもっと安くやれるだろうか

2)この仕事はコンピュータならもっと速くやれるだろうか

3)自分が提供しているものは、豊かな時代の非物質的で超越した欲望を満足させられるだろうか?

の3つである。

実は、ダニエル・ピンクがこのような価値観を主張したのは、この本ではなく、フリーエージェント社会である。

447819044509lzzzzzzz ダニエル・ピンク(池村千秋、玄田有史訳)「フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか」、ダイヤモンド社(2002)

個人的にはこちらの本の方が含蓄があり、面白いと思うが、ハイコンセプトでは、その価値観を具体的な6つのセンスとして表現している分、イメージが分かりやすい。6つのセンスとは

・機能だけでなくデザイン

・論理ではなく共感

・議論よりは物語

・まじめだけでなく遊び心

・個別よりも全体の調和

・ものよりも生きがい

いよいよ、日本人の文化、生き方、価値観を見直す時代がきたのではないだろうか。

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2005年8月24日 (水)

議論と内省と実践

4422100637金井壽宏「ニューウェーブ・マネジメント―思索する経営」、創元社(1993)

お奨め度:★★★1/2

金井先生が若いころの作品集。

マネージャーとしての内省、気づきを促す47の視点を提供している。

管理の基本的スタンスを自問する
唯一最善の組織やリーダーシップはない
人はなぜ変化を求め、変化を恐れるのか

など、まさに、今、問題になっていることが続々と出てくる。10年以上前にこれだけの本を書いたというのは本当に驚きである。もっとすごいことは、それに、金井先生やそのお弟子さんがいろいろと有益な意見を発し続けていることだが、、、

議論と内省と実践を通じて探してほしい「なにか」が並んでいる。これから、自分のマネジメントのスタイルを作っていきたい人は、ぜひ、読んでほしい



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2005年8月 2日 (火)

組織は戦略に従う

4478340234 アルフレッド・チャンドラーJr.(有賀裕子)「組織は戦略に従う」、ダイヤモンド社(2004)

お奨め度:★★★★

「組織は戦略に従う」という言葉を知らない人はいないだろう。ドラッカーと並ぶ経営学のグル、アフフレッド・チャンドラーの言葉である。本書はその出典となった本である。

GM、デュポン、スタンダード石油、シアーズといった大企業の組織形成過程を調査し、これらの企業が第二次世界大戦後の経済成長の中で多角化戦略を展開していく際に、経営の複雑性と多様性をより合理的に管理するために機能別の組織を捨て、事業部制組織というプラクティスを導入したことを発見し、それをもって、「組織は戦略に従う」という名言を残した。

日本では、40年前に出版され、今回、ダイヤモンド社から復刊された。このような経営学の金字塔ともいえる本が読める状況になったのは喜ばしいことである。

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2005年4月18日 (月)

意志力革命

4270000635 ハイケ・ブルック、スマントラ・ゴシャール(野田智義訳)「意志力革命~目的達成への行動プログラム」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★★

この種の本としては、非常に体系的、かつ、論理的である。まず、これが第一印象。そして、読み出すと、引き込まれる。現実を踏まえた問題提起とその問題に対する具体的な解決法が述べられている。

「あくせくしながらも結果として何もしていない」状態から、自らの意志を駆使し、目的意識を伴う行動をとって有意義な結果をもたらすことが出来るようにしていく。そんなことができればいいなと思う人には必読書。

組織(経営)が目的達成するために個人が行動をするという視点から、マネージャー、リーダー、個人がどのような取り組みをすればよいかをそれぞれの視点からプログラムとして具体的に書かれている。

この構図は、プロジェクト、母体組織、メンバーで、プロジェクトの目的を達成するにはどうすればよいかという問題にそのまま適用できそうである。

成功企業十数社の具体的な事例をもとに書かれている。このような事例が提示されていること自体、ちょっとした驚きであるし、この本の魅力でもある。

個人が成長し、組織が変わらないと、個人がジレンマに陥る。その点を無視した組織の中で活動する個人の成長論というのは現実性に乏しい。この本のすばらしさは、そこの連鎖を十分に意識している点にある。

難点は、かなり、抽象度の高い記述になっている。かなり、本気で読まないと難しい。そのような本気が報われる本でもある。

あとがきもよい。この本の著者のひとりであるスマントラ・ゴシャールは、訳者の野田氏によると、稀有の経営学者だそうで、この本を世に出してすぐに他界したそうだ。野田氏は「異才」という表現を使っているが、まさにその言葉を彷彿させる本である。

そのスマントラ・ゴシャール博士の活動について、エピソードを交えて詳しい解説がされている。この解説を読むと、本書の読解の助けになるだろう。

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2005年2月28日 (月)

イノベーションのジレンマ

4798100234.09.LZZZZZZZクレイトン・クリステンセン「イノベーションのジレンマ 増補改訂版」、翔泳社(2001)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

 イノベーションマネジメントの分野では歴史的名著になった感のある本である.本書を読むと,イノベーションというのが,単に技術開発だけでは成り立たないことを容易に理解することができる.

 本書では,新しい技術の誕生により,優良企業の中で戦略的なジレンマが起こり,優良であるがゆえに小さな市場においそれと出て行くことができず,気が付いたらその市場が大きくなっており自社製品の市場を侵食しているという現象を,事例に基づき,そのメカニズムを徹底的に分析している.このような現象を引き起こす技術を著者は破壊的技術と呼んでいる.本書の中で中心的に取り上げられている破壊的技術はハードディスク技術,,掘削技術の2つである.この2つの事例については非常に詳細に書かれており,読み物としても面白い.例えば,ハードディスクでは,8インチから5.25インチ,そして3.5インチへの推移と,そのハードディスクを主に使うメインフレーム,ミニコンピュータ,パーソナルコンピュータの推移を関係付けて,ハードディスクメーカがそれぞれの時期にどのように振舞ったかを分析してある.主張自体,非常に明快で,かつ示唆に富んでいる.

 技術イノベーションを中心にして,経営革新を図ろうとしている企業の経営者,ベンチャー企業の経営者,これらの支援をするコンサルタントの方にはぜひお奨めしたい一冊である.

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