3つの自問
ダニエル・ピンク(大前研一訳)「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」、三笠書房(2006)
お奨め度:★★★★★
ダニエル・ピンクの最新作。3つの「自問」で大変な話題になった本の邦訳。大前研一が翻訳し、自ら、解説を書いている。
3つの自問とは、これからの成功者と脱落者を分ける自問と名づけられ、
1)この仕事は他の国ならもっと安くやれるだろうか
2)この仕事はコンピュータならもっと速くやれるだろうか
3)自分が提供しているものは、豊かな時代の非物質的で超越した欲望を満足させられるだろうか?
の3つである。
実は、ダニエル・ピンクがこのような価値観を主張したのは、この本ではなく、フリーエージェント社会である。
ダニエル・ピンク(池村千秋、玄田有史訳)「フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか」、ダイヤモンド社(2002)
個人的にはこちらの本の方が含蓄があり、面白いと思うが、ハイコンセプトでは、その価値観を具体的な6つのセンスとして表現している分、イメージが分かりやすい。6つのセンスとは
・機能だけでなくデザイン
・論理ではなく共感
・議論よりは物語
・まじめだけでなく遊び心
・個別よりも全体の調和
・ものよりも生きがい
いよいよ、日本人の文化、生き方、価値観を見直す時代がきたのではないだろうか。
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目次
★訳者解説 大前研一
これからの日本人にとって必読の教則本
[はじめに]「専門力」ではない「総合力」の時代!
第1部「ハイ・コンセプト(新しいことを考え出す人)」の時代
1 なぜ、「右脳タイプ」が成功を約束されるのか
・私たちは「どこ」へ向かって走っている?
・「二つの脳」の驚くべき役割分担
・はじめて明かされた「右脳」の神秘
・いまだまかり通る「とんでもない誤解」
・「細かいこだわり」か「全体像」か
・「人の顔」から一瞬ですべてを読み取る能力
・バランスのとれた「右脳プラス左脳思考」とは
2 これからのビジネスマンを脅かす「3つの危機」
・原因は「豊かさ、アジア、オートメーション」
・第一の危機「過剰な豊かさ」がもたらす新しい価値観
・第二の危機次から次へと湧き出す「競争相手」
・第三の危機そんな脳では、すべて「代行」されてしまう!
・この「ジリ貧パターン」からは、医者や弁護士でさえ抜け出せない
3 右脳が主役の「ハイ・コンセプト/ハイ・タッチ」時代へ
・「体力頼み」から「左脳の勝負」へ、そしてこれからは
・今の仕事をこのまま続けていいか3つのチェックポイント
・「MBA型」人材か「MFA型」人材か
・ペーパーテストや面接では計りきれない能力
・あなたの「最大のエネルギー」はいつ出るか
第2部 この「六つの感性」があなたの道をひらく
・これから求められる「六つの感性」とは?
1 「機能」だけでなく「デザイン」
・「実用性」↑↓「有意性」
・これが新しい時代の「教養課程」
・「有名デザイナー製のトイレブラシ」が示している事実
・デザインとはビジネスであり、ビジネスとはデザインである
・未来を「設計」できる人
2 「議論」よりは「物語」
・誰でもすぐにタダで検索できる時代の「情報の価値」
・『英雄の旅物語』という永遠不滅の「成功パターン」
・ヒューレット・パッカードも3Mもゼロックスも始めたこと
・「思わず買ってしまうワイン」の秘密
・治療に大きな成果を上げている「物語医学」
3 「個別」よりも「全体の調和」
・バラバラの断片をつなぎ合わせてみる力
・「見たまま」を絵に描く人、「頭の中」を絵にする人
・「これから成功する可能性大」の3タイプ
・「境界」を自分で超えていく人
・何か「発明」できる人
・巧みな「比喩」が作れる人
・「先見の明に優れた人」の共通項
・「全体像」をつかむ能力
4 「論理」ではなく「共感」
・まずは1分間、この話を読んでください
・エクマン博士の大実験
・「いつわりの笑顔」と「心の奥底からの笑顔」
・患者の生死を分けた担当医の「話を聞く力」
・「コンセプトの時代」には、“中性的な思考”が不可欠
5 「まじめ」だけでなく「遊び心」
・「遊び心」があると右脳が活性化する
・米軍が「テレビゲーム」を作ってやらせる意図
・トレンドをつかみ、関連性を描き、全体像を理解する格好の手段
・「心の知能指数」が高い人は、脳をバランスよく使える
・「笑いクラブ」の実践エクササイズ
・「満足のいく人間関係」が持てる人の習慣
6 「モノ」よりも「生きがい」
・私たちを突き動かす「最強のエンジン」
・「仏教」と「科学」が目指している同じゴール
・仕事場にも「精神性」を持ち込んだ企業が伸びる
・「愉快な人生」よりも「良い人生」を
・「迷路」があなたをもっと自由にする
[あとがき]これからの成功者と脱落者を分ける3つの「自問」
ダニエル・H・ピンク
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