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2005年2月

2005年2月28日 (月)

イノベーションのジレンマ

4798100234.09.LZZZZZZZクレイトン・クリステンセン「イノベーションのジレンマ 増補改訂版」、翔泳社(2001)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

 イノベーションマネジメントの分野では歴史的名著になった感のある本である.本書を読むと,イノベーションというのが,単に技術開発だけでは成り立たないことを容易に理解することができる.

 本書では,新しい技術の誕生により,優良企業の中で戦略的なジレンマが起こり,優良であるがゆえに小さな市場においそれと出て行くことができず,気が付いたらその市場が大きくなっており自社製品の市場を侵食しているという現象を,事例に基づき,そのメカニズムを徹底的に分析している.このような現象を引き起こす技術を著者は破壊的技術と呼んでいる.本書の中で中心的に取り上げられている破壊的技術はハードディスク技術,,掘削技術の2つである.この2つの事例については非常に詳細に書かれており,読み物としても面白い.例えば,ハードディスクでは,8インチから5.25インチ,そして3.5インチへの推移と,そのハードディスクを主に使うメインフレーム,ミニコンピュータ,パーソナルコンピュータの推移を関係付けて,ハードディスクメーカがそれぞれの時期にどのように振舞ったかを分析してある.主張自体,非常に明快で,かつ示唆に富んでいる.

 技術イノベーションを中心にして,経営革新を図ろうとしている企業の経営者,ベンチャー企業の経営者,これらの支援をするコンサルタントの方にはぜひお奨めしたい一冊である.

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2005年2月15日 (火)

PMBOK3 日本語版

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Project Management Instytute "A Guide To The Project Management Body Of Knowledge: Official Japanese Translation"(2005.3.30)

お奨め度:★★★

PMBOK第3版の日本語版です。手元に一冊持っておきましょう!

日本語版は、2000年版に続き、また、紺をベースにしたような色調になっていますね。

ちなみにこれだけあります。なかなか、壮観です。

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PMBOK3rdSChineseLarge

PMBOK3rdKoreanLarge

PMBOK3rdArabicLarge

PMBOK3rdSpanishLarge

PMBOK3rdRussianLarge

PMBOK3rdPortugueseLarge

PMBOK3rdItalianLarge

PMBOK3rdGermanLargePMBOK3rdFrenchLarge

フランス語はフレンチブルー、中国は赤、韓国はアクア、イタリアはオリーブ、ロシアはシルバー、、、となかなか、いろを見ているだけでも楽しいかも。。。

国のイメージカラーで一番支配的なのは、たぶん、サッカーのユニフォームだと思うけど、それとは微妙に違いますね。

こうなってくる文化ですなあ。。。

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プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか

4478300593.09.LZZZZZZZ P.F.ドラッカー「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか」、ダイヤモンド社(2000)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

ドラッカーの小論文を 自己実現という観点からまとめた1冊である。

横串のテーマで見ると改めてドラッカーの知見の深さに感動するし、また、体験談をベースに書かれている部分は、ドラッカーの生き方そのものに感動を覚える。

しかし、本としてみれば少し物足りない気がする。 その物足りなさは、一つ一つの論文が深いにもかかわらず、前後に並んでいる論文との関連性が薄いという編集上の問題である。また、少し全体的に散漫な気もした。すでにドラッカーの本を何冊か読んでいる人にとって、ドラッカーの価値を高める一冊にはなりにくいだろう。

ただし、タイトルにあるように「はじめて読むドラッカー」というコンセプトなので、このコンセプトであればまあ、納得できるレベルである。

プロフェッショナル・シンキング

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児玉 光雄 「プロフェッショナル・シンキング―松井秀喜・イチローに学ぶ」、二見書房(2004)

お奨め度:★★★1/3

好川塾プロフェッショナルコース「第2期」テキスト。

ビジネス論とスポーツ論は共通点が多い。特に、組織、リーダーシップといった部分では、かなり参考になる部分が多い。この本は、児玉 光雄氏がプロフェッショナリズムについてマリナーズのイチローとヤンキースの松井を取り上げていろいろな視点から分析している。

驚くことにイチローや松井の行動は、ドラッカーが知識労働者を念頭において展開しているプロフェッショナルのイメージに極めて近い。

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか
ドラッカーの著作は抽象度が高く、それが人気のひとつらしいが、ドラッカーの主張を手軽に知るのであれば、この本はお奨めである。

もちろん、ドラッカーとは無関係に、この本で展開されているプロフェッショナル論は秀逸であり、非常に読み応えがある。

2005年2月10日 (木)

リーダシップの価値

B0007lnqzi09lzzzzzzz Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー)2005年03月号

特集:リーダーシップ・バリューの創造

詳細目次はこちら(アマゾンではありません。ダイヤモンド社のサイトですので、ご注意ください)

好川の参考になった記事ベスト3

(1)髙木晴夫、渡邊有貴「リーダーシップR&D」

リーダーの育成方法として「リーダーシップのR&D活動」というチャレンジを提唱する。優れたリーダーは、マネジメントの教科書が教える理論や知識では理解できない非合理的な意思決定を下す能力はいかなるものなのかを科学し、この優れた能力を学習する方法を見出す。

(2)マイケル・マコビー「転移の力:フォロワーシップの心理学」

フロイトが発見した「転移」により、自分のリーダーシップがかえって部下の反発を招いている。部下たちは、上司やリーダーを父親もしくは母親、兄弟姉妹と見なすのだ。リーダーが心得ておくべき知識として、この転移のメカニズムを解説している。

(3)ティモシー・バトラー、ジェームズ・ウォルドルー「「対人関係力」のマネジメント」

延べ7000人以上の専門職社員を対象にした心理テストの結果、対人関係力として、「影響力」「チーム・リーダーシップ」「人間関係の円滑化」「対人関係面での創造性」の4つがあることが明らかになった。これらについての解説と共に、マネジメント法を論じている。

2005年2月 9日 (水)

仕事で「一皮むける」

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金井壽宏「仕事で「一皮むける」 、 光文社新書
お奨め度:★★★★

主に大企業で働くさまざまな分野のビジネスマンに、インタビューにより「一皮むけた」経験を問い、ライフヒストリー風にまとめた本である。

「豊かなキャリア形成へのメッセージ~経営幹部へのインタビュー調査を踏まえて~」という(社)関西経済連合会が実施したプロジェクトでのインタビューが元になっている本。

小泉首相ではないが、「人生、いろいろ、キャリアもいろいろ」であると改めて実感させられる本だ。読んでいて、一皮むけた経験というのは後で考えてみればというのが多いような気がする点が若干気になるが、読んでいて元気をもらえる本であることは著者の思いがうまく実現できているように思う。

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2005年2月 4日 (金)

ソフトウエア企業の競争戦略

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マイケル A.クスマノ(著)、サイコム・インターナショナル (翻訳)「ソフトウエア企業の競争戦略」、ダイヤモンド社(2004)

お奨め度:★★★★1/2

この本については、pmsytle「塾長の眼」の方で取り上げたので、こちらをみて。訳者の方がコメントをつけてくださっています。

僕はお会いしたことがない方です。ブログをやっていて、こんなこともあるんだなと楽しくなりました。

ソフトウエア企業の競争戦略

クスマノ博士の集大成かもしれませんね。世界で最高のプロジェクトマネジメントの研究者はクスマノ博士ではないかと思う。

日本の状況についてはこれもいくつかよい本がある。

まず、ソフトウェアの開発をサービスとする業界についてはこれ。

4502378305 ソフトウェア産業研究会「ソフトウェアビジネスの競争力」、中央経済社(2005)

ソフトウエア産業研究会という研究会の報告書。ビジネスモデル、人材に対する中長期的な戦略、政府調達の役割、知的財産権の活用などの側面から、今後のあるべき方向を示している。

もう少し実務よりなのが、これ。

4757210647 前川徹「ソフトウェア最前線―日本の情報サービス産業界に革新をもたらす7つの真実」、アスペクト(2004)

特に生産性に関して相当に深い議論がされている。プロジェクトマネージャーの方は一度読んでみるとよいだろう。必ず、参考になる。

と、同時に、この本ではそのような現場を踏まえて、戦略にも言及している。

プロ論

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B-ing編集部「プロ論」、徳間書店(2004)

お奨め度:★★★1/2

ファーストインプレッション 微妙な本である。

この本は、リクルートの雑誌「B-ing」の巻頭インタビューを2000年から2004年まで集めた50編のインタビュー記事から構成されている。メンバーはというと

秋元康、安西水丸、石橋貴明、井筒和幸、糸井重里、今井彰、 おちまさと、乙武洋匡、金子勝、香山リカ、カルロス・ゴーン、北川正恭、北村龍平、木村剛、邱永漢、清宮克幸、小谷真生子、齋藤孝、櫻井よしこ、佐々淳行、佐藤可士和、笑福亭鶴瓶、重松清、白石康次郎、鈴木光司、高橋がなり、高橋源一郎、田原総一朗、堤幸彦、野口悠紀雄、中島義道、中村修二、成毛眞、野口健、日比野克彦、藤子不二雄A、藤巻幸夫、古舘伊知郎、堀紘一、三木谷浩史、宮内義彦、柳井正、横山秀夫、平尾誠二、 養老孟司、松本大、本宮ひろ志、森島寛晃、和田アキ子、和田秀樹

こんな感じになっている。微妙だといったのは、さすがにどの方も日本を代表するプロフェッショナルであり、言葉は心に突き刺さる。

が、その人の活動を知っているのと知らないのでは、面白さが違うことに気がついた。一人の割いているページは5~6ページだが、知っている人だと、本当にその人の本質をうまく抉り出したインタビューをしていると感動する。知らないと(もちろん、50名すべて名前だけなら知っている人は少なくないと思うがそのレベル)、ああ、この人、こんな子といっているんだで終わってしまう。

この本の構成は、最後に「成功の哲学」というフレーズが掲載されている。ちなみに好川の印象に残ったフレーズをいくつか上げておく。誰の言葉かは、本を読んでのお楽しみ、、、

 今を自分らしく生きない人には、次の道は開けない

 必ず自分の頭で考えてみる。それがオリジナリティを生む

 誰かの役に立つと思えたとき、その仕事は面白いものになる

 先が見えなくたってまずは一歩を踏み出してみること

 プロになる近道は好きなことを仕事にすること

 目標をしっかり定めていれば、チャンスは必ずやってくる

おまけ。最近、話題の中村修二先生は

仕事は会社のためではなく、自分のためにするものだ

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