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2005年1月

2005年1月31日 (月)

企業とは何か

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P.F.ドラッカー(著), 上田 惇生 (翻訳) 「企業とは何か」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★1/2

ドラッカーが「マネジメントの発明をした」といわれる根拠になっている本である。1946年に原著が出版され、その後、1993年に復刊されている。この本は1993年版の翻訳。

内容については、触れないが、マネジメントの原型がここにある。企業やマネジメントの常識が書いてある。という言い方は正しくない。この本が下敷きになり、マネジメントや企業という概念ができたのだ。

その意味で、プロジェクトマネージャーのように、最先端のマネジメントの知識より、原理原則を知っておいた方がよい人たちにはお奨めできる。

おそらく読み手によって、そこから得られるものが違う本だろう。

さて、実はここからが言いたいこと。

ダイヤモンド社は非常によい本を取り上げ、翻訳し、日本に紹介している。その意味では敬意を表する。しかし、このような世界的名著を平気で絶版する。出版ビジネスのことはよく分からないが、読者として言えることは、その本を読む機会を永久になくすということだ。

ただ、最近はアマゾンを初めとして古本の販売体制が整ってきたので、比較的保存状態のよい本が手に入るようになった。つい先日も、
チームマネジメントの金字塔ともいえる

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ジョン・R. カッツェンバック (著), ダグラス・K. スミス 「「高業績チーム」の知恵―企業を革新する自己実現型組織」、ダイヤモンド社(1994)

をアマゾンのユーズドで購入したが、新品同様だった。ただし、2900円の本が4700円もした。

本の価値の議論はさておき、後世に読み継がれる本は、売れなくても絶版(永久品切れ)してほしくないもんだ。

2005年1月24日 (月)

PM Magazien第1号

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PM Magazine第1号、翔泳社

お奨め度:★★★

日本初のプロジェクトマネジメント専門誌。プロジェクトマネジメント時代への扉を開くことができるか。注目!

プロジェクトマネージャー養成マガジンと提携企画あり!

2005年1月13日 (木)

プロジェクトマネジメント成熟度モデル―レベル1からレベル5までの評価基準

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ハロルド カーズナー (著), 野崎 通 (翻訳), 井門 良貴 (翻訳):「プロジェクトマネジメント成熟度モデル―レベル1からレベル5までの評価基準」、生産性出版(2003)

お奨め度:★★★


今月はカーズナーのプロジェクトマネジメント成熟度モデルを取り上げてみました。成熟度モデルそのものがまだ、未成熟であり、本格的に議論されるようになるには、PMIのOPM3を待つことになると思いますが、その中で、このカーズナーの本は標準云々ではなく、非常に実践的で、PMOの導入などの際には大変参考になる1冊です。

プロジェクト・リスクマネジメント―リスクを未然に防ぐプロアクティブ・アプローチ

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ポール・S. ロイヤー (著), 峯本 展夫 (翻訳):「プロジェクト・リスクマネジメント―リスクを未然に防ぐプロアクティブ・アプローチ」、生産性出版(2002)

お奨め度:★★★★

リスクマネジメント月間ということで、この本を取り上げたいと思います。

プロジェクト・リスクマネジメント―リスクを未然に防ぐプロアクティブ・アプローチ

この本、あまり話題になりませんが、むちゃくちゃいい本です。実践的ですし、体系的でもあります。PMBOKを導入するのであれば、必読本でしょう!

PMBOKというプラットホームの上に咲いた花のひとつでしょうね。

先制型プロジェクト・マネジメント―なぜ、あなたのプロジェクトは失敗するのか

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長尾 清一 :「先制型プロジェクト・マネジメント―なぜ、あなたのプロジェクトは失敗するのか」、ダイヤモンド社(2003)

お奨め度:★★★★1/2

極めて実践的な本。プロジェクトマネジメント全般を扱っているが、たとえば、SIプロジェクトで言えば、2~3億のプロジェクトのマネジメントをするのであれば知っておかなくてはならないことが網羅的に書かれている。

長尾さんは米国での生活が長かったらしいが、そのせいか、極めて合理的な考え方に基づいたプロジェクトマネジメントの考え方(戦略)を、単に抽象的な方法論だけではなく、実行レベル(ツール)で何をすべきかというところまできちんと書いている。ベースはPMBOKである。

自分のプロジェクトマネジメントに問題を感じたときには、この本を読んでみれば、きっとブレークスルーが生まれるだろう。

プロジェクトを必ず成功させる『正解』は存在しない、プロジェクト現場から見て『プロジェクトをいかに失敗させないか』

という長尾さんの意見に必ずしも賛成ではないが、このコメントに対する現実的な解を提供している1冊として評価できるし、米国的なボリューム感のある書籍で満足度は極めて高い。プロジェクトマネージャーの人には座右の1冊にしてほしい。

プロジェクトはなぜ失敗するのか―知っておきたいITプロジェクト成功の鍵

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伊藤健太郎:「プロジェクトはなぜ失敗するのか―知っておきたいITプロジェクト成功の鍵」、日経BP社(2003)

お奨め度:★★★1/2

この本の出来そのものは、議論のあるところだと思います。失敗談というのは、プロジェクトマネジメントの話を聞けば、必ず、一つや二つは聞けますし、この本にある話もどこかで聞いたことのある話が結構あると思われる話しが多いと思います。

が、これを書籍という形で体系化したところを評価したいです。

そして、なにより、今の段階で失敗モノを出した出版社の姿勢に敬意を表します。プロジェクトマネジメントの成熟度の議論をしていくには、この種の本が不可欠です。ちょっと評論家的な意見になりましたが、この本の類書でどんどん失敗モノが出てくることを願っています。

熊とワルツを~リスクを愉しむプロジェクト管理

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トム・デマルコ (著), ティモシー・リスター (著), 伊豆原 弓:「熊とワルツを~リスクを愉しむプロジェクト管理」、日経BP社(2004)

お奨め度:★★★★1/2

話題には事欠かない本ですが、出版元である日経BP社のニュースに面白いエピソードが載っていました。この本は、ずっと「Risk management」という仮タイトルで進んできて、最後に「Walting with Bears」というタイトルになったそうです。

出版そのものも、このタイトルのとおり、熊とワルツを踊るようなリスクをとっているという解説がされていました。

好川の個人的な感想として、デマルコほどのビッグネームの新著ですので、このようなタイトルをつけることは、ローリスクハイリターンの戦略だと思うのですが、まあ、日本の出版社の感覚でいえば、信じられないことなのでしょうね。それはよく分かります。

なぜ、こんなにしつこくタイトル論議をしているかといいますと、この本は内容をとやかくいうより、タイトルにすべてが集約されていると思ったからです。熊に追いかけられているのではないのです。「熊とワルツを」踊るのです。これこそ、この本でデマルコが言いたいことのすべてです。

 PMBOKのリスクマネジメントを丁寧に読むと、実に、体系的なまとめ方がされています。それでいくと、「熊とワルツを」というのは積極的な受容戦略なのですが、この本は単にそのことを言っているだけではありません。

デマルコの今までの本もそうですが、彼の大家たるゆえんは、どうすればプロジェクトが成功するかの一点に絞り、理論的、行動、心理などのあらゆる要因を統合的に論じている点です。この本も例外ではありません。リスクという観点から、プロジェクトの成功法則が書かれています。リスクを楽しめることこそが、プロジェクトの成功法則になるといっており、それは、リスク戦略の妥当性を超えた議論だといえるでしょう。

とにかく、読んでみてください!

ちなみにこの本を読まれるのであれば、

ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解

ピープルウエア 第2版 - ヤル気こそプロジェクト成功の鍵

を一緒に読まれることを強くおすすめしたいと思います。思想的な背景を理解しておいた方が、得られるものが10倍、100倍大きいと思うからです。

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チームが絶対うまくいく法

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デイヴィッド・ストラウス (著), 斎藤 聖美 (翻訳):「チームが絶対うまくいく法~コラボレーション、リーダーシップ、意思決定のコツ」、日本経済新聞社(2004)

お奨め度:★★★★

 日本語で読めるチームマネジメントの本では一番よいと思います。

 プロジェクトマネージャーの知識のある人がチームマネジメントの本を読むと、最初のところで、そんなこと知っているで終わることが多いようです。これは当たり前の話で、組織論で議論されているチームマネジメントの初歩的なこと、特に、チームマネジメント計画に相当する部分はほとんどプロジェクトマネジメントにはメソドロジーとして組み込まれれているからです。PM手法が弱いのは運用ですが、そこに多くを割いている本はあまり多くありません。逆にいえば、プロジェクトマネジメント手法がきちんとしていることの証だともいえます。

 この本は計画より、運用(コントロール)に重点が置かれています。その意味で、間違いなく、多くのところで役に立ちます。

 また、意識して書かれているわけではないと思いますが、PMBOKのチームマネジメントとの対応が比較的はっきり分かります。その点でも、PMBOK派の人にはお勧めできます。

デッドラインを守れ!組織の絶対絶命を救う、究極の時間戦術

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ダン・キャリソン (著), 野津 智子 (翻訳):「デッドラインを守れ!組織の絶対絶命を救う、究極の時間戦術」、ダイヤモンド社

お奨め度:★★★★

タイムマネジメントを(プロジェクト)組織の問題だと捉え、誘拐、火星探査、航空機納品といった非常に時間的制約の厳しいな問題に対してどのように対処をしていったかを事例分析から描き出している。

この本の著者のダン・キャサリンは

アメリカ海兵隊式最強の組織

という本の著者でもあるが、この本も主に、組織的なメカニズムに焦点を当てている。

オビにアメリカ版プロジェクトXだと書いているが、NHKで取り上げているプロジェクトXとはずいぶん質が違う。ミッションクリティカルなテーマが多い。

ただし、プロジェクトXがやはり、プロジェクトXでしかないように、ここに描かれていることもかなり特殊な世界であることは間違いない。その中でも、日常的なプロジェクトでも考えさせられるようなレッスンズラーンドはちりばめられているのは、やはり、著者の力量だろう。

実践プロジェクトマネジメント―危機を乗り越える25の決断

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岡村 正司 (著), 日経コンピュータ編集 (編集):「実践プロジェクトマネジメント―危機を乗り越える25の決断」、日経BP社(2004)

お奨め度:★★★1/2

日本のIT業界では、プロジェクトマネジメントのイメージというのはあまりよくない。「権限」が与えられない割には、現場の全「責任」をとらされて苦労が大きい。ひところで言えば、こんなところだろう。

この本を読んでみれば、この構図は本質的な問題ではないことがよく分かる。著者の岡村さんは、IBMでワールドワイドで5本の指に入るプロジェクトマネージャーだと言われている。それゆえにできるのか、だからできるのかという点は気になるところだが、いずれにしてに、如何に、プロジェクトマネージャーの決断が重いものであるが、よく分かるだろう。

また、もう一つ、プロジェクトマネージャーが現場で苦労しているのは、「決断しようとしない」ことに起因していることもよく分かる。決断をすることが引き起こすと、決断することにより発生する責任。このはざまでさまよっているのが日本のプロジェクトマネージャーではなかろうか。

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