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2005年1月

2005年1月13日 (木)

非常事態のリーダーシップ―危機を乗り切る9つの教訓

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非常事態のリーダーシップ―危機を乗り切る9つの教訓

お奨め度:★★★1/2

先月紹介した岡村さんの

 「実践プロジェクトマネジメント―危機を乗り越える25の決断

はいろいろな人からコメントを戴いた。なかでも、危機のときにプロジェクトマネージャー(リーダー)は何をできるかということに結構関心を持っている人が多かった。この興味はある意味で、現実的であるとも思う。

好川はプロジェクトマネージャーは平時のリーダーシップと、危機のリーダーシップで、エンジンを切り替えることができなくてはならないと思っている。このようなリーダーシップエンジンの切り替えを行うためには、何よりも重要なことは危機の認識である。

危機というのは識別できなかったリスク事象が発生した状況のことを言うのが一般的だと思う(これはパラドックスであって、プロジェクトマネジメント的にはリスクではないのだが)。つまり、計画にまったくないことが起こったときのこと。これは、そもそも、発生を識別するのが難しい。マイケル・ムーアの「華氏911」の代表シーンに、911テロの状況を告げられたブッシュが7分間まったくアクションを起こさず、小学生の授業を見ているというシーンがある。実際に、ある種のコンテクストがないとこれをクライシスだとは識別できない。一台目が突っ込んだときには単なる事故だと考えてもおかしくない。かれが大統領であるという事実を除くと、これは結果論だといっても間違いではないと思う。

が、彼が大統領であるとすれば、明からリーダーシップの欠如だ。

こんなときに、どのようなリーダーシップを発揮できればよいかということのヒントになる本である。

日常的に危機に直面すると思っているプロジェクトマネージャーの方は、ぜひ、読んでみてください!

A Guide To The Project Management Body Of Knowledge: PMBOK Guide (PMBOK Guides)

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Project Management Inst :"A Guide To The Project Management Body Of Knowledge: PMBOK Guide (PMBOK Guides) ",Project Management Inst (2004)

(CD-ROMつき;こちらがお奨め)
A Guide to the Project Management Body of Knowledge [CD-ROM]

お奨め度:★★★

ご存知、PMBOK3の英語版です。

PMI東京でもシソーラスを作っていますので、もう、英語版ではなく、日本語版の方がいいでしょう。ただし、日本語には「言霊」がありますので、その点だけは要注意です。

ISOは新版(2000年版)が出たときに、移行が大きな問題になりました。PMBOKは単に標準で、審査がないからそんなことはないといっている人がたくさんいます。

が、それは、クエスチョンです。2000年版と比較すると、詳細化されています。つまり、2000年版では決まっていなかったところが決まったわけです。

ところが、これまで決まっていなかったところは、マネジメントシステムから省略してもよいとかそういう問題ではありません。自分たちで補完してなにがしかのマネジメントのツールや手法を決めています。もし、それが、3版と違ったらどうなるか、、、

当然、マネジメントシステムを修正する必要があります。

ということで、自社のマネジメントのシステムが心配だという人は、ぜひ、早いうちに読んでみてください!

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プロジェクトマネージャー・コンピテンシー開発体系―PMI標準

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プロジェクトマネジメント協会:「プロジェクトマネージャー・コンピテンシー開発体系―PMI標準」、テクノ

お奨め度:★★★

Project Management Competency Development Framework(PMCDF)の翻訳。好川も監修者の一人として参加しました。

内容的には、プロジェクトマネージャーの知識(ナレッジコンピテンス)、スキル(パフォーマンスコンピテンス)、行動特性(パーソナルコンピテンス)の3つに分けて、コンピテンシーの記述とアセスメントの方法が書かれています。

で、内容ですが、PMBOKの知識とスキルのアセスメントには見るべきものがありますが、これだけでPMコンピテンシーは表現できないだろうという感じです。もっとも、PMBOKを対象にした体系ですので、PMBOKに基づくマネジメントを成功させるコンピテンシーはこんなものかもしれないと思わないでもありませんが、、、

PMBOKガイドと同じく、常に持っていて、参照しながら使うと有効だと思いますが、そういう使い方をするには5000円は高いですね。

よくわかるPMP認定試験の合格対策

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野村隆昌:「よくわかるPMP認定試験の合格対策」、技術評論社(2004)

お奨め度:★★★★

野村さんから献本戴きました。ありがとうございました。

この本、PMP試験対策本の体裁をとっているが、PMBOKの解説書である。PMBOKの解説書というのはありそうで、意外とない。例えば、JPMFの副会長の佐藤義男さんの

改訂 PMBOKによるITプロジェクトマネジメント実践法―PMBOKガイド2000年版対応

のように適用について書いた良書はあるが、PMBOKというのがどのようなマネジメントをすることをイメージしているのかを詳細に記述した本がない。米国では、知識エリアごとに、そのような本があるところまで進んでいることを見ると、さびしい限りである。

その意味で、この書籍がPMBOKの解説が世の中にでてくるきっかけになればよいと願っている。

内容だが、少し、掘り起こし方が浅いように思う。これは書き手の問題ではなく、本の作り方の問題だろう。

プロジェクト成功への決め手―構想・企画から商談・契約まで

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井野弘:「プロジェクト成功への決め手―構想・企画から商談・契約まで」、英治出版(2004)

お奨め度:★★★1/2

井野弘さんから献本をいただきました。ありがとうございました。

ありそうで、なかった受発注というスコープまで扱った本である。書き方は、受注サイドの視点を、発注サイドの視点の両方から書かれているので、読みやすく、意欲的なオピニオン発信をする意欲作である。特に、受注側の視点をかなり具体的に、詳細に書いてあるのは特筆に値する。

好川の感想だが、問題提起は共感できるが、提案されている解決方法は情報化のテクニカルスキルへの依存はもう少し小さくし、マネジメントに依存した方が現実的ではないかと思った。

プロジェクトマネージャーが成功する法則

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好川哲人:「プロジェクトマネージャーが成功する法則―プロジェクトを牽引できるリーダーの心得とスキル」、技術評論社(2003)

プロジェクトマネージャーが成功する法則

 プロジェクトマネジメントについて説明した本は山ほどある。プロジェクトマネジメントが普及してきた証拠だろう。

 プロジェクトマネジメントには、PMBOKのような「仕組み」や、ISO9000のような「ルール」としての側面と、「プロジェクトマネージャーの仕事」としての側面がある。もちろん、プロジェクトマネージャーの仕事の多くは、「仕組み」の運用であったり、あるいは、「ルール」に則って行われる。その中で、最近、注目されているのが、単に、「仕組み」の運用た、「ルール」に則った業務を如何に上手に行うかだ。つまり、プロジェクトマネジメントではなく、「PMコンピテンシー」である。

 これには背景がある。プロジェクトには「不確実性」があるため、単に「仕組み」をつくり、「ルール」を作り、「ツール」を導入してもどうもうまく進まないことがわかってきた。よほど上手に行わないと、プロジェクトの成功はおぼつかない。現に、そこら中に失敗プロジェクトが氾濫している。

 何が必要なのか?大きく分けると3つある。一つ目は、いわゆるスキルである。スキルというのは、仕組みやルールを使いこなすためのメタな知識である。これは主に、経験により蓄積されていく。二つ目は、ものの考え方である。そして三つ目は、これらの知識や考え方を行動に結び付けていくヒューマンスキルである。これはパーソナルコンピテンシーとも呼ばれる。この3つが有機的に、プロジェクトマネジメントの知識と結びついて初めて、PMコンピテンシーは発揮されるし、プロジェクトも成功する。

 前置きが長くなったが、再び出版物に話を戻すと、「PMコンピテンシー」そのものについていは、PMIのPMCDのようにすでに出版物が存在している。ところが、どのようなことを知り、どのように考え、どのように行動すれば、「PMコンピテンシー」が高まるのかを体系的に解決した本はない。

 本書は、これを、マネジメントプロセス、戦略、手法、問題解決、パーソナルコンピテンシー、経験という6つの側面から、体系的に説明しようとしている。常に、プロジェクトマネージャーが手元に一冊置き、プロジェクトマネージャーとしての成功をおさめてほしい!

 なお、本書は、プロジェクトマネージャー養成マガジンという著者が発行するメルマガがベースになって構成されている本である。メルマガと併せて読むとより一層効果的であるので、ぜひ、メルマガも購読してほしい。

 プロジェクトマネージャー養成マガジン(無料)
 プロジェクトマネージャー養成マガジン・プロフェッショナル(有料)
【目次】
1章 プロジェクトマネジメントとは
1-1 なぜプロジェクトマネジメントなのか
1-2 プロジェクトとプロジェクトマネジメントとの関係
1-3 開発マネジメントとプロジェクトマネジメント
1-4 プロジェクトマネージャーの仕事と役割
2章 プロジェクトのマネジメントプロセス
2-1 プロジェクトマネジメントプロセス
2-2 CPCCのマネジメントプロセス
2-3 プロジェクト組織の構成

3章 プロジェクトマネージャー論
3-1 プロジェクトマネージャーとは
3-2 マネージャーと管理者の違い
3-3 プロジェクトマネージャーに必要なスキル
3-4 プロジェクトマネージャー自己開発プロセス
3-5 プロジェクトマネージャーに必要なコンピテンシー

4章 プロジェクトマネージャーの戦略的思考
4-1 企画・計画の戦略① プロジェクトシナリオを考える
4-2 企画・計画の戦略② プロアクティブにリスクを考える
4-3 計画の戦略 スコープ
4-4 計画・コントロールの戦略① 費用対効果
4-5 計画・コントロールの戦略② 仮説検証プロセス
4-6 コントロールの戦略 プロジェクトのクオリティ
4-7 終結の戦略 プロジェクトマネジメントの成熟度
4-8 ステークホルダマネジメントの戦略 プロジェクトマネジメントにおける
顧客満足
4-9 チームマネジメントの戦略 チームビルディング
4-10 コミュニケーションマネジメントの戦略 プロアクティブコミュニケーション
4-11 統合戦略 プロジェクトワークプレイス

5章 プロジェクトマネージャーが知るべき手法
5-1 WBSとマイルストーンで作業を具体化する
5-2 WBSでスケジュールをつくる
5-3 PERT分析で所要期間を見積もる
5-4 クリティカルパスでプロジェクトの遅延を防ぐ
5-5 EVMSで進捗を管理する
5-6 リスクをマネジメントする
5-7 プロジェクト憲章でプロジェクトの目的を共有する
5-8 コストの見積もりと予算の配賦の方法
5-9 クリティカルチューンで計画を管理する

6章 プロジェクトマネージャーのための問題解決法
6-1 プロジェクトにおける問題解決とは
6-2 問題はプロジェクトの中で解決するか
6-3 MECEでモレなくダブリなくリスクを洗い出す
6-4 ロジックツリーで問題を分析する
6-5 システム思考で複雑な問題を解決する
6-6 トレンド分析でプロジェクトの状態を把握する
6-7 フィッシュボーンダイアグラムで原因を分析する
7章 プロジェクトマネージャーの行動スキル
7-1 できるプロジェクトマネージャーに必要なコンピテンシー
7-2 コンピテンシーモデルを理解する
7-3 プロジェクトマネージャーのリーダーシップ
7-4 サーバントリーダーシップ
7-5 ファシリテーションとしてのミーティングマネジメント
8章 プロジェクトマネージャーのレッスンズラーンド
8-1 プロジェクトにおける失敗の整理
8-2 ケース1 コミュニケーション不足
8-3 ケース2 プロジェクトマネージャーの選定
8-4 ケース3 顧客から追加の要求が発生
8-5 ケース4 プロジェクト目的があいまい
8-6 ケース5 見積もりの感覚
8-7 ケース6 あいまいな進捗報告
8-8 ケース7 管理ミス

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いかにプロジェクトを成功させるか

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DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部編 、「いかにプロジェクトを成功させるか」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★1/2

ハーバードビジネスレビューのセレクション。

いわゆるプロジェクトマネジメントのノウハウものではお目にかかれない、読み応えのある議論がずらりと並ぶ。文句なしにお奨めしたい本。特に、" I PMO "を目指す方は、必読書!

まえがき――リアル・プロジェクト・マネジャーの不在
第1章 なぜプロジェクトの迷走を止められないのか
第2章 楽観主義が意思決定を歪める
第3章 チームEQの強化法
第4章 アイデアの具現者が企業を動かす
第5章 時間的制約は創造性を高められるか
第6章 リターン・マップ:時間対効果の最適化
第7章 デザイン・ストラクチャー・マトリックス法
第8章 大プロジェクトは小さく管理する

特に第1章、第6章、第8章がお奨め。これ以外にも、DSM(デザイン・ストラクチャー・マトリクス)の解説は、DSMが有名な技法であるにもかかわらず、あまりお目にかかれない。これもお奨め。

プロジェクトの成功とは何かがよく分からない人にもお奨めです!

プロジェクト思考を極めたいなら、これを1冊熟読してみてはどうだろう。もちろん、好川のセミナーへの参加も忘れてはならない(笑)

プロジェクト思考を極める 

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