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2007年8月13日 (月)

日本のプロジェクトマネジメントオフィス

4883732460_2 仲村薫編著「PMO構築事例・実践法―プロジェクト・マネジメント・オフィス」、ソフトリサーチセンター(2007)

お奨め度:★★★★

日本では初のプロジェクトマネジメントオフィスに関する実践的な解説書。

アルテミスの仲村薫さんの編著で、仲村さんがまず、PMOの基本事項の解説をし、事例を各事例企業の人が書くというスタイルをとっている。取り上げられている事例は

・オムロン パスネットプロジェクト
・日立製作所 情報通信グループ
・三菱電機インフォメーションシステムズ
・NEC
・A社(失敗事例)
・自動車メーカ(マルチプロジェクトマネジメント)
・医薬品企業(開発管理)
・日本IBM研究開発部門

である。

次に、PMOの重点活動ということで

・プロジェクトマネジャーの育成
・ポートフォリオマネジメント

の2項目について、詳細な解説を事例を交えて行っている。解説はわかりやすく、また、事例が入っているので明確なイメージができる。

やっと日本人の書いたPMOの本が出てきた。それも、日本らしく、事例という形。

これまで、訳本では、仲村さんの翻訳された

4820117408_2 トーマス・ブロック、デビッドソン・フレーム(仲村 薫訳)「プロジェクトマネジメントオフィス―すべてのプロジェクトを成功に導く司令塔プロジェクトオフィスの機能と役割」、生産性出版(2002)

や、PMI東京の永谷事務局長がプロジェクトマネジャーを勤める翻訳チームが翻訳した

4885387086 ジョリオン・ハローズ(PMI東京訳)「プロジェクトマネジメント・オフィス・ツールキット」、テクノ(2005)

などの良書があったが、やはり、日本の組織に米国のPMOの流儀をそのまま持ち込むことは難しい。

その意味で、この仲村さんのまとめられた本は特別な意味があるのではないかと思う。

半年くらい前に、米国で出版事業をやっている知人から、プロジェクトマネジメントに関する出版点数に対してPMOの本がないのはどういうことだと聞かれたことがある。異様に感じるといっていた。ちなみに、米国ではプロジェクトマネジメントの本が500冊、PMOの本が50冊程度出版されており、このくらいの割合が普通ではないかといっていた。

これを契機に、日本でもPMOの本がどんどん、出てくることが望まれる。

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2007年4月16日 (月)

エンドユーザに待望のプロジェクトマネジメント解説書

4822262081_01__sclzzzzzzz_v234144_5 KPMGビジネスアシュアランス「ユーザーのためのプロジェクトマネジメント実践講座―計画からベンダー選定、進捗管理、本番移行、評価まで全33講座」、日経BP社(2007)

お奨め度:★★★1/2

情報システム導入プロジェクトのポイントを33の講座の形で解説した一冊。情報技術に関わる話から、プロジェクトマネジメントの方法、プロジェクトマネジャーの育成、PMOまで網羅的にポイントを抑えており、ユーザ企業には待望の一冊。

どのようなポイントについて解説されているかは、目次を見て欲しい。

ただし、全般的にベンダー側の視点から、ユーザが個のような対応をすればプロジェクトがうまく行くという色合いが濃い。情報化プランの策定についても、コンサルティングベンダーの考え方が色濃くでているように思う。

一般的に情報化プロジェクトは、ビジネスプログラムの一プロジェクトとして実際されることが多いが、プログラム中のプロジェクトのマネジメントとは若干ずれがある。

その点をよく理解した上でよめば、まさに待望の一冊になるだろう。

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2007年1月12日 (金)

マーケティングにおけるギャップに悩む人必読

4820118455_01__aa240_sclzzzzzzz_v4983141 石川昭、辻本 篤編「新製品・新事業開発の創造的マーケティング―開発情報探索のマネジメント」、生産性出版(2006)

お奨め度:★★★★

編著であるが、研究開発から製品開発、事業開発までバランスよくまとめられており、初心者が読むにも適した製品開発、事業開発のテキスト。

第2章では、戦略実行のための研究開発のあり方について解説されている。特に、マーケティングのさまざまな活動と研究開発活動をどのように関係付けていくかを丁寧に解説している。

第3章では、研究開発における意思決定について解説されている。テーマの選定および、継続中止などの評価と判断をどのように行うかを解説している。

第4章では、マーケティングにおける情報活動について解説している。

第5章では、研究開発活動における情報活動について解説している。

6章以下は、これらの解説を事例によって解説している。「からだ巡礼(TM)」、Webリコメンデーションシステム「教えて!家電」、ロボットの開発などの特徴のある事例を取り上げて解説しているので、とても面白い。

最後に9章では最近注目されている、クレームベースの製品開発について解説している。

経営戦略と研究開発、研究開発と製品開発のギャップに悩んでいる人にはとても参考になる一冊である。

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2006年10月21日 (土)

偉大なる経営論

B000ion7te01 Harvard Business Review2006年 11月号

 【創刊30周年記念号】偉大なる経営論

お奨め度:★★★★★

ハーバードビジネスレビューの創刊30周年記念号。30年間に発表された名論文の中から30本が採録されている。下にリストがあるので見てほしい。経営学にまったく縁のない人でも4~5人くらいは知っている人が多いのではないかと思う。

ほとんどの論文が実践の中で使われるようになってきた概念を示したものだ。これはすごいことだと思う。かつ、この2~30年の間に新しく生まれたマネジメント手法はほぼ、網羅されている。

つまり、そのくらいハーバードビジネスレビューは実務家のマネジメントに貢献している学術論文誌である。

マネジャーという肩書きのある人、あるいは、将来マネジャーを目指している人、いずれも、この記念号はぜひ持っておき、通勤の行き帰りにでも読んでほしい。

最後に神戸大学の加護野先生の「マネジメントの古典に触れる」という提言がある。この提言も味がある。

ちなみに、東京で本屋を探したが、最初の3件は売り切れだった。よく売れているようだ。

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2005年1月13日 (木)

プロジェクト成功への決め手―構想・企画から商談・契約まで

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井野弘:「プロジェクト成功への決め手―構想・企画から商談・契約まで」、英治出版(2004)

お奨め度:★★★1/2

井野弘さんから献本をいただきました。ありがとうございました。

ありそうで、なかった受発注というスコープまで扱った本である。書き方は、受注サイドの視点を、発注サイドの視点の両方から書かれているので、読みやすく、意欲的なオピニオン発信をする意欲作である。特に、受注側の視点をかなり具体的に、詳細に書いてあるのは特筆に値する。

好川の感想だが、問題提起は共感できるが、提案されている解決方法は情報化のテクニカルスキルへの依存はもう少し小さくし、マネジメントに依存した方が現実的ではないかと思った。

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