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2006年11月24日 (金)

創造的模倣

4479791817_01__aa240_sclzzzzzzz_v3471058 三田紀房「個性を捨てろ!型にはまれ! 」、大和書房(2006)

お奨め度:★★★★

ご存知、偏差値30台の高校生が現役で東大合格を目指す異色コミック「ドラゴン桜」の三田紀房氏の啓蒙書。三田紀房氏は、ドラゴン桜以外にも、ボクシングの世界チャンピオンがビジネス界でのチャンピオンを目指4063289095_09__aa240_sclzzzzzzz_4091846629_01__aa204_sclzzzzzzz_す「マネーの拳」というコミックスも書いている。

著者によると、コミックスではなく、もっと直接的に言いたいので本にしたとのこと。

ドラゴン桜にもマネーの拳にも共通する違和感がある。それは、「型」に対するこだわりと、組み合わせに対するこだわりだ。

世の中には成功するための型があり、成功するためには型にはまる必要があることを徹底的に主張している。これは著者の独自の主張というよりは、むしろ、多くの成功本で言われていることだ。

そして、より大きな成功をするには、その組み合わせが重要であるという2点。ここは、著者のオリジナリティだと思う。

誰もできないことをやるのは快感である。しかし、誰もできないことをやるよりは、成功していることがやっていることを「確実」にやるほうが難しい。競争するというのは結局そういうことであり、型にはまれという話は競争を恐れるな、同じ土俵で競争して勝てという王道を主張しているようにも思える。

もう、10年以上前になるが、この話を実証するような本が出版されている。

4641067813_09__aa240_sclzzzzzzz_ スティーヴン・P. シュナース(恩蔵直人、嶋村和恵、坂野友昭訳)「創造的模倣戦略―先発ブランドを超えた後発者たち」、有斐閣(1996)

お奨め度:★★★★1/2

この本は、後発企業が先発企業を逆転している例を集め、その要因を分析し、それらの要因を持つ戦略を創造的模倣戦略と呼んでいる。

・35ミリカメラ:キャノン:ニコン

・ボールペン:パーカー、ビック

・クレジットカード:VISA

・MRI:ジョンソン&ジョンソン、GE

・パソコンOS:マイクロソフト

・表計算ソフト:ロータス(さらに後発でマイクロソフト)

・ビデオ:JVC

・ビデオゲーム:任天堂

などの企業の事例を上げている。おそらく、二番手企業というイメージの企業はないだろう。むしろ、創造性の高いというイメージを持つ企業が多い。

イノベーションが注目されているが、イノベーションの議論というのは注意する必要がある。イノベータと呼ばれるのは主に、ドミナントデザインができた後で出てきた企業である。上の例を見てもそれは良く分かるだろう。

三田紀房の言い方を借りると、ドミナントデザインができた後で競争することが、成功の型にはまるということだろう。

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2006年10月23日 (月)

現場主義の真髄

476319708801高原慶一朗「理屈はいつも死んでいる」、サンマーク出版(2006)

お奨め度:★★★★1/2

ユニ・チャームを創り上げた高原慶一郎会長の現場論。自らの考え、ユニ・チャームの社員の考えなど、豊富なエピソードを交えながら、非常にインパクトの強い本になっている。

最近、現場の重要性を説く人は多い。

が、現場をイメージだけで捉えている人も少なくない。現場主義をいうからにはもっとも重要なことは、先入観を持たず、すべてを現場から得ることである。

中村先生は臨床の知という概念を唱得られた。エスノグラフィーに熱心に取り組んでいらっしゃる経営論の先生も多い。現場主義というのは、このような活動のように、現場から謙虚に学ぶことである。

臨床の知

https://mat.lekumo.biz/books/2005/08/post_73ea.html

にも関わらず、現場のイメージを「適当に」作り上げてしまっているケースは多い。コンサルティングをやっていて、「現場ではこうやっている」といわれて、実際に調査するとそんなことはないという経験は結構多い。要するに、現場マネジメントを行うような立場の人が、現場を自分の主張の道具に使っているようなケースが多いのだ。そのようなにおいのする本も多い。

この本は、そんな偽者の現場主義を喝破するようなことがたくさん書いてある。

例えば、ユニ・チャームの話で商品開発を担当している男性社員が、生理用ナプキンをつけて、生活するといったエピソードが出てくる。まさに肌で感じてているわけだ。現場から学ぶというのはまさにこういうことだろう。

この本には、このような現場重視経営のための金言があちこちにちりばめられている。すばらしい本だ。

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2006年4月28日 (金)

思い込みから抜け出そう

490324112201lzzzzzzz マリヨン・ロバートソン「なぜ「思い込み」から抜け出せないのか」、ファーストプレス(2006)

お奨め度:★★★★

日本人のビジネスの特性に言及し、「なぜ、アメリカ式の価値観の組織行動ができないか」についてエッセイ風に書いた本。

・スピードとリズム

・個とチーム(組織)

・コミュニケーションとリーダーシップ

の3つの視点から、それぞれ20程度の分析をしている。たとえば、スピードとリズムであれば

・どこかに所属していないと不安な日本人

・なぜ「セクシー」なチーム作りができないのか?

・大阪人のせっかち気質は国際ビジネスのテンポにあっている

といった感じ。個とチームでは

・内外の区別はあっても公私の区別があいまいな日本人

・テリトリアルで共同作業が苦手な日本企業

・日本の企業には本当に和があるのか

というような興味深いテーマが並んでいる。非常に深い話が気軽に読める。よい本である。

ちなみに、この本を読んでいると、なぜ、日本にはプロジェクトマネジメントが普及しにくいかがよく分かる。そんな読み方もあるだろう。

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2005年10月13日 (木)

ビジネスサプリ

477940022801lzzzzzzz ギル・バート「ビジネスサプリ」、ライブドアパブリッシング(2005)

お奨め度:★★★1/2

「ビジネス成功者から抽出した、一飲みできるサプリが52錠」

ベストプラクティスの抽出にこんな方法があるんだなと思った。いいかもしれない。サプリメントのように、仕事の合間にちょっと飲むとかするのが効果ありそう。

<効能・効果>

仕事効率、目標達成、営業能力、企画力、判断力、分析力、起業力、ビジネスセンス、負けん気、プロ意識、新規開拓力、プレゼン能力、時間有効活用、モチベーション上昇、部署内の士気高揚、その他ビジネスにおける辛さ、困難などの諸症状

だそうです。

<サンプル錠>

挨拶という基本があってこそ、いろんなサービスが生まれる。

アイディア企業ほど、基本を大事にする!!

(MKタクシー 青木定雄氏より抽出したサプリ)

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2005年8月17日 (水)

天才ファミリー・カンパニー

4344803183二ノ宮知子「天才ファミリー・カンパニー―スペシャル版 (Vol.1)」、幻冬舎コミックス(2003) 全6巻

お奨め度:★★★★

二ノ宮知子という漫画かも知らなかったし、幻冬舎がコミックスを出しているもの知らなかった。しかし、思いっきりはまってしまった。

90年代の終焉からバブルの崩壊の中で、天才高校生がビジネスを立ち上げ、成功するまでを描いたコミックス。非常に取材力と構想力があり、この時期の不良債権化、外資系企業の参入、ITベンチャーの成功などがうまく描かれている。高校生であるところがみそ。

が、それはつまみに過ぎず、人間が自立し、人間らしく生きるということがどういうことかというテーマに対して、強烈なメッセージを送っている。こちらがおそらく、メイン。

その中で、さらに、そのような生き方の中で、ビジネスとは何かということが再定義されている。この辺の構想がすごい。

読んだ後で、このタイトルの意味について考えてみたい!

ちょうど、年代的にライブドアの堀江社長と被っている。彼の動きを見ていると、まさに、このような世界に生きているんだなと思ってしまう。

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2004年9月10日 (金)

提案力をつける

B0002ylm8s09lzzzzzzz Harvard Business Review(ハーバードビジネスレビュー)2004年10月号

特集:提案力のプロフェッショナル

詳細目次はこちら(アマゾンではありません。ダイヤモンド社のサイトですので、ご注意ください)。 

好川が参考になった記事ベスト3

(1)スティーブン・デニング「ストーリーテリングの力」

「ストーリーテリング」は、聞き手に自問自答を促し、行動を起こさせるきっかけを与える古くからある手法である。ビジネスの世界でも「ストーリーテリング」は有効だと考えられるが、同じようにやっていけばよいというものでもない。この記事では、ビジネスの世界でも、有効な「ストーリーテリング」の手法について解説する。

(2)キンバリー D.エルズバック「共鳴の演出法」

プレゼンテーションにおいては、どのような聞き手も自分が信じる判断基準に照らして提案者への印象のよし悪しを判断する。そこで、プレゼンテーションのタイプをうまく使い分けて、聞き手の共鳴を生み出すようなプレゼンテーションをする必要がある。この記事ではその方法について論じている。

(3)チャーリー S.フェルド、ドナ B.ストッダード「ITターンアラウンド」

この記事では、ITはまだ歴史の黎明期であり、まだまだ、学習が不十分であるという前提のもとに、ITマネジメントに長けた企業に共通する3原則を紹介している。

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