ギブ&ギブンのための5つの法則
ボブ・バーグ、ジョン・デイビッド・マン(山内 あゆ子訳)「あたえる人があたえられる」、海と月社(2014)
お奨め度:★★★★★
ギバー(与える人)をテーマにしたビジネス小説で、2007年の刊行以来、20か国以上で出版されているベストセラー。
いわゆる成功本ではなく、自分自身や人間関係のあり方、生き方そのものを見直す機会を与えてくれる本である。
ギブ&テイクという考え方は古くからある。たまたま、この本と同時期にこれも名著の評判が高いアダム・グラントの「GIVE&TAKE」という本 も邦訳が出版された。
この本は、GIVE & TAKEの中でギバー(人に惜しみなく与える人)、テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)、マッチャー(損得のバランスを考える人)のいずれが大 きな成功を納めることができるかを調査・分析をした本だ。詳しい内容はこちらの書評を読んで欲しい。
アダム グラント(楠木 建訳)「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」、三笠書房(2014)
ボ ブ・バーグの本の原題は「THE GO-GIVER」であり、日本語のタイトルのとおり、「与える人が与えられる」、つまり、TAKEが出てこない。GIVE&TAKEではなく、 GIVE&GIVENなのだ。
この本は、そのように関係性を捉えることよにって、相手や社会に価値を与えらることで、自らも与えられ、さらに与える喜びを感じることができる。そして、その先に成功があると述べている。
この本では、GIVE&GIVENの関係を作り出すためには5つの法則があるといっている。
第一の法則(価値の法則)
あなたの本当の価値は、どれだけ多く、受け取るものをあたえるかによって決まる
第二の法則(収入の法則)
あなたの収入は、あなたがどれだけ多くの人に、どれだけ奉仕するかによって決まる
第三の法則(影響力の法則)
あなたの影響力は、あなたがどれだけ相手の利益を優先するかによって決まる
第四の法則(本物の法則)
あなたが人に与えることのできるもっとも価値のある贈り物は、あなた自身である
第五の法則(受容の法則)
効果的に与える秘訣は、心を開いて受け取ることにある
こ の本の物語は、やり手のジョーという主人公が決算期をまじかにして大口の案件を失注し、予算達成に苦慮する。そして、人脈を求めて謎の上司に頼んでピン ダーという大物にコンタクトをとる。そこで、1週間、一つずつ法則を教えられ、実行していく。その旅の中で、一つ一つの法則の意味するところをジョーは理 解していく。
そして、予算達成はもちろん、ピンダーの秘書が出してくれた「レーチェルのコーヒー」をビジネスにし、大成功を収めるというものだ。
日本には情けは人のためならずという言葉があるが、GIVE&GIVENこそ、そのような世界観である。GIVE&TAKEのギバーと、こ の本の言っているギバーは似ているようにみえるが、回ってきたものをTAKE(GET)と考えるのか、GIVENと考えるかは大きな違いがあるように思える。
その辺を考えながら読んでみると面白いだろう。
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