イノベーターは武士道を捨てる
ゲーリー・シャピロ(中西 真雄美訳)「ニンジャ・イノベーション」、アルファポリス (2013)
お奨め度:★★★★1/2
全米家電協会の会長兼CEOのゲーリー・シャピロ氏が、イノベーターを忍者に例えて、その心得や行動規範を読本としてまとめた本。
全米家電協会参加企業のエピソードが中心に公的機関なども含めて、詳細な本質が分かるエピソードで構成されており、すぐに読めてためになる一冊。
概要は以下のようなものである。
・目標は“勝利”
イノベーターの目標は敵を打ち負かし、任務を完遂することである
・特命チーム
イノベーターは組織としてミッションに臨むこともあるが、プロフェッショナルの集団であり、目的を実現するために組織を作る。
・闘いにリスクはつきもの
イノベーターは与えられたミッションを一つの生きる道と捉えなくてはならない。リスクをとらなければ、成功は手に入らない。
・闘いの準備
イノベーターには自制心が必要で、例え失敗しても、目標から目をそらすことがあってはならない。
・戦術
イノベーションの成功をもたらす戦略とは一つの技術である。ミッションの中で変化させられるだけの余裕を持って実行されなくてはならない。
・掟(憲章)
目標が何であれ、イノベーションに関わるあらゆる活動はビジネス倫理に基づいて行われなければならない。
・古いルールは破り捨てる
イノベーターは特権階級にはなく、成功するには自分自身が有能である以外にない。同様に組織もその雇用原則が階層にしばられていたり、異端者ばかりを集めたものであれば成功の見込みはない。
・革新なくば死すのみ
イノベーターはビジネスのやり方を変える勇気を持たなくてはならない。そのためには創造力をもち大胆にならなくてはならない。また、別のアプローチを選ぶことも考えなくてはならない。
・忍者部隊
イノベーターといえども何か大きな組織の一部である。したがって、建設的な手段に出ながらも、守備も固める必要がある。
・影の戦士
イノベーションにはステルスイノベーションもある。イノベーターは時として、ステルス(忍び)の道を選ばなくてはならないこともある。
この本の中で、武士道に触れているところがある。忍者は武士道に従わない。忍者たるイノベーターの本質はここだと思う。日本人には武士道にシンパシーを感じる人が多いが、ひょっとするとイノベーションを興すには、武士道を捨てる必要があるのかもしれない。
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