「でぶスモーカー」症候群への対処法とカオス【ほぼ日読書日記 2009年9月11日】
今日はPMAJのPMシンポジウム2009で、SIGのセッションがあったので、お手伝い。その後、このシンポジウムでプロデュース能力の講演をされていた佐々木尚彦さんと落ち合い、少し、話をした。
佐々木さんと別れ、東京から京都へ移動。移動中に2冊。
デービッド・メイスター(紺野 登解説、加賀山 卓朗訳)「脱「でぶスモーカー」の仕事術」、日本経済新聞出版社(2009)
「でぶスモーカー」症候群というのを指摘している。これは、「正しいとわかっていても実行できない」症候群である。「でぶスモーカー」症候群を乗り越えるには、仕事の目的を明確にして、内発的な動機を引き出すしかないというのは、大賛成!そのような仕事の仕方を、「でぶスモーカー」症候群の状態に応じて相当精緻に解説している。今年読んだ本で、一番、よかった。
もう一冊は、コトラーの本。
ジョン・キャスリオーネ、フィリップ・コトラー(齋藤慎子訳)「カオティクス―波乱の時代のマーケティングと経営」、東洋経済新報社(2009)
大学の時、ゼミの先生の専門が非線形システムだったので、門前の小僧なんとかで興味を持ち、仕事をし出してからもなんとなく、このテーマの本は読んでいる。その中で、この本はもっとも実践的である。やはり、リーマンショックを期にパラダイムが替わったのかもしれない。
この本が提唱しているのは、リスクと不確実性を察知するための早期警報のしくみ、それらに対応するためのシナリオプランニングのしくみを企業の中に戦略として埋め込むこと。この仕組みをカオティクスだと言っている。
おもしろいのは、このような仕組みを、短期的な収益と結びつけるのではなく、組織がカオス的な挙動ができるようになるための仕組みとして位置づけていること。おそらく、今後、MBA方式のように極度に管理された経営ではなく、このような経営の方法が必要になってくる。MBAマネジメントは、不確実性に対して、人で対応しようとしているが、おそらくリーダーシップではもう対応できないと思う。リーマンショックはリーダーシップの限界を思い知らされた。そこで、一つのソリューションとして従来の日本型経営に関心が生じているが、これも違うと思う。
そのような混迷した状況で一つの答えを見せてくれている本だと思う。
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