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2007年8月

2007年8月 8日 (水)

組織行動論を学ぼう

4502390003 開本浩矢(編著)「入門組織行動論」、中央経済社(2007)

お奨め度:★★★★

現場でマネジメントをしている人からどのようなマネジメントを勉強すればよいですか?と聞かれることがある。できれば、MBAコースで学ぶことを一式身に付けるに越したことはないが、時間の制約もある。その中で一冊というと、やはり、組織行動論を選ぶ。

組織行動論には、ステファン・ロビンスの書いた定番的な名著がある。

4478430144 ステファン・ロビンス(高木晴夫、永井 裕久、福沢 英弘、横田 絵理、渡辺 直登訳)「組織行動のマネジメント―入門から実践へ」、ダイヤモンド社(1997)

ただ、この本、この分野の専門家であればともかく、他の分野で活動する人が読みこなすには難しい。

その点で、開本先生が、神戸大学の新鋭の学者で書かれたこの本は、学部レベルの学生を対象にしたくらいの書き方がされており、社会人が入門書として読むのに適した本である。

この本で取り上げられているトピックスは

モチベーション
組織コミットメント
キャリア・マネジメント
組織市民行動
組織ストレス
チーム・マネジメント
リーダーシップ
コミュニケーション
組織文化
組織変革
組織的公正
ダイバーシティ・マネジメント
プロフェッショナル・マネジメント

といったトピックスで、章によって若干、内容が偏っているのではないかと思う部分もあるが、おおむね、基本的なことがバランスよく、取り上げられている良書である。

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2007年8月 6日 (月)

日本初のリカバリーマネジメント本

4822262111 長尾清一「問題プロジェクトの火消し術―究極のプロジェクト・コントロール」、日経BP社(2007)

お奨め度:★★★★

長尾清一さんの書かれた

447837449x09lzzzzzzz先制型プロジェクト・マネジメント―なぜ、あなたのプロジェクトは失敗するのか

は今でも、このブログで最も支持されているプロジェクトマネジメント本である。その長尾さんの待望の新著が出版された。リカバリーマネジメントをテーマに書かれたこの本だ。

全般的には、リカバリーマネジメントを問題解決だと捉え、単に思考するだけではなく、問題解決を実行するためにどのような行動が必要かを具体的に、かつ体系的に書かれた本で、前著に劣らず、非常によい本である。

ただ、前著もそうだったが、書かれていることを理解できたとしても、実践するのは大変に難しいと思う。本としての書き方が悪いのではない。ましてや、内容がまずいわけではない。書き方は非常に丁寧であり、これでもかと思うくらい実践的に書かれている。

難しいのだ。それでも前著は、プロジェクトマネジャーとして一定の資質を持つ人であればかなりの部分は訓練や経験をつめばできると思う。その意味でも非常によい内容だと思った。プロジェクトマネジメントは難しいのだ。安直にできるものではない。

今回の本に書かれていることは半分できればよいのではないかと思う内容だ。そのくらい、リカバリーマネジメントというのは難しい。この本を読んで、何ができればトラブルに対処できるようになるかを知り、精進をして欲しい。

2007年8月 3日 (金)

日本型組織をコーチングで動かす

4532111471 本間 正人「グループ・コーチング入門」、日本経済新聞社(2007)

お奨め度:★★★★

コーチングを組織文化として定着させることを前提に、そのためのコーチング手法としてのグループコーチングを解説した一冊。

コーチングの有効性は徐々に認識されるようになってきたが、あくまでも個人に対する働きかけであり、経営に対しては、個人を介して効果があるというところに留まっている。その中にはエグゼクティブコーチングという、より、経営に強い影響を持つ人に対する手法もあるが、本質的にこの構図が変わっているわけではない。

これが、コーチングに関心を持ちながら、今一歩、取り組みをためらる理由になっている。

本間さんがいうように、コーチングが組織文化として定着すれば、経営に対して直接的な効果がある。もっと、本質的には、個々に対するコーチングよりも、グループに対するコーチングの方が日本型の経営には適しているのではないかと思われる。

この手法は、特にプロジェクトマネジャーがプロジェクトチームを指導していく方法として適しているように思う。この本は、グループコーチングを大変わかりやすく、ポイントを指摘しながら書かれている。また、最後にわかりよいケーススタディが示されており、読めばある程度のことはできると思う。

プロジェクトマネジャーの方は必読の一冊だ。

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2007年8月 1日 (水)

自分で考え、行動する力が身につく

4478000492 渡辺 健介「世界一やさしい問題解決の授業」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★

マッキンゼーで仕事をし、ハーバードビジネススクールで学んだ渡辺健介さんが、中高生にもわかるというコンセプトで書いた問題解決の本。

マッキンゼー流の数々の問題解決フレームワークを、中学生の行動などを中心に説明している。このため、とりあえず、論理的な思考だけできれば、読める。

ただし、誰でも読めるかというとちょっと違うように思う。例えば、「仮説」だとかは、かなり、奥のあるコンセプトがあるので、やはり、内容的には中高生には難しいように思う。少なくとも、さっと読み流して何か得るものがあるような類の本ではない。

それは、そうとし、社会人が真剣に問題解決の勉強をしたいときに読む本としてはたいへん、優れた本である。コンパクトにまとめられているし、すべてがわかりやすい例で示されている。

そして、フレームについては図できちんとした形で説明されている。

問題解決法の本は分厚いものが多いが、これは理論と例題を組み合わせているからだ。この本のように理論そのものの説明を例を使って行うことでかなりコンパクトに収まるということでは、慧眼の一冊である。

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