PMstyle 2025年7月~10月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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2015年7月22日 (水)

【コンセプチュアルスキル講座気まぐれコラム(3)】ロジカルシンキングの限界とコンセプチュアル思考

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Genkai

あなたは顧客から依頼されて製品を開発するプロジェクトのプロジェクトリーダーだとしましょう。どのような製品が欲しいかは顧客が決めることになっていますが、約束の期日を過ぎても決めてくれません。何度か催促しましたが、もう少し待ってくれと言われるだけです。ただし、製品の利用開始時期は顧客の事業計画に紐づいているので、変更する気配は一切ありません。

ITのプロジェクトのような受注型のプロジェクトではありがちな話ですが、この問題を解決するにはどうすればよいでしょうか?ある人はエスカレーションし、顧客の上位管理者からプレッシャーをかけると考えるでしょう。また、ある人はファシリテーションに乗り出し、決めてしまえばよいと考えるかもしれません。ひょっとすると、契約を打ち切るといった過激な対応もあるかもしれません。

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2015年7月14日 (火)

【コンセプチュアルスタイル考】第14話:5つの軸について考える(5)~現在と未来を統合する

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Tyoki

◆5つ目の軸

コンセプチュアル思考の最後の軸は長期と短期です。

この軸も概念側にある長期は悪いことだとは考えられず、長期的な思考が求められます。たとえば問題が発生したときに、目先の問題を解決すると同時に長期的にも問題を解消することが求められることがよくあります。

問題解決では、当面策と根本策という言葉をよく使いますが、当面策は問題回避のニュアンスが強く、根本策が本来の意味での問題解決になります。



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【コンセプチュアルスタイル考】第13話:5つの軸について考える(4)~森も木も見る

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Taikyoku

◆大局と分析

抽象と具象、直観と論理、主観と客観に続く4番目は大局と分析です。前回も述べましたが、これまでの3つではコンセプチュアルであること(概念側にあること)、すなわち、抽象的、直観的、主観的はあまりよいこととされません。しかし、大局はよいこととされます。これは興味深いことです。

コンセプチュアルスキルはカッツ教授の指摘しているように、職位の高いマネジャーになればなるほど重要になります。その理由は、抽象/具象とともに、この軸にあります。職位が高くなればなるほど、大局的にぱっと全体を把握するスキルは極めて重要なスキルになるからです。

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【PMスタイル考】第103話:「本質」論

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Honsitu3

◆本質論の書籍が売れている!

本質という言葉が目立つようになってきました。コトバの流行は書籍に如実に現れるといいますが、好川がやっている書籍サイト「ビジネス書の杜」で2015年1月~6月のベスト3は

【1】グレッグ・マキューン「エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする」、
かんき出版(2014)

【2】森川 亮「シンプルに考える」、ダイヤモンド社(2015)

【3】ドネラ・H・メドウズ「世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質
をつかむ考え方」、英治出版(2015)

で、すべて本質について述べた本でした。

そこで、今回のPMスタイル考は「本質」について考えてみることにします。

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2015年7月13日 (月)

【コンセプチュアルスキル講座気まぐれコラム(2)】日本型雇用とコンセプチュアルスキル

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Carr◆職務が無限定な日本、職務で雇用される欧米

日本ではホワイトカラー(総合職)の場合、働き方に「無限定性」を前提にしたマネジメントが行われています。つまり、今日までエンジニアだったとしても、明日から営業をやってくれといわれる場合があるわけです。

この背景には年功序列・終身雇用制があります。また、これを背景にして、職能制度が確立されています。

従業員は終身雇用で40年近く働くとしても、企業の方が同じ事業を40年にわたって継続できる可能性は極めて低いものです。すると、そこにやらせる仕事がない、ポストがないというジレンマが生じるわけですが、このジレンマを解消するには、別の仕事をさせるしかありません。このような状況はドラスティックな事業のリストラクチャリングを行わなくても生じます。

たとえば、自前の技術である製品を開発していた会社が、OEMに切り替えたとします。すると、その開発に従事していた従業員はOEM製品の販売に回るか、別の技術を要する別の分野の製品開発に従事するしかありません。

欧米の場合、基本的にジョブ(職務)雇用ですので、このような場合、その製品開発を担当していたエンジニアは解雇されるだけです。もちろん、それを前提にした人材流通のインフラがありますので、また同じジョブがある別の会社で働くことができるわけです。どちらが幸せなのか微妙なところですが、まだ、日本企業ではしばらく職能制度が続くと思われます。



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2015年7月 9日 (木)

【PMstyle Proposition:005】ビーイング・コンセプチュアル

Conceptual6問題解決や意思決定など、いろいろな場面でロジカルシンキングだけではうまく行かないという認識が強くなっています。

問題は、+αとして何を考えるかです。キーワードとしては

センス、発想、洞察、直観、決断

などいくつかありますが、これらの要素を思考の中に取り込んでいくことにより、

「見えないものを把握し、価値を判断し、全体を描き、思考や行動をすること」

、つまり、「コンセプチュアルである」ことが求められているのです。

PMstyleではこのような流れを

ビーイング・コンセプチュアル

と呼んでおり、ビーイング・コンセプチュアルを実現する思考法を「コンセプチュアル思考」と呼んでいます。

コンセプチュアル思考とは「論理」に+αとして、センスや発想、洞察、直観、決断などを加えた思考法です。

PMsytleではビーイング・コンセプチュアルを実現するためのセミナーを開催しています。

ビーイング・コンセプチュアルの入門セミナーは「コンセプチュアルスキル入門」です。「ビーイング・コンセプチュアル」の概要を理解し、コンセプチュアル思考の中核になる「本質」の扱い方を体験するセミナーです。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆コンセプチュアルスキル入門~本質を見極め、行動するスキル ◆(7PDU's)
  日時・場所:東京:2015年 07月 30日(木)  10:00-18:00(9:40受付開始)
           銀座ビジネスセンター(東京都中央区)
        京都:2015年 08月 04日(火)  10:00-18:00(9:40受付開始)
           KYOTO de MEETING(京都市南区)   
  講師:好川哲人(エム・アンド・ティ コンサルティング代表)
  詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/conceptual_skill.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
  【カリキュラム】                     
  1.概念的に考えて、具体的な行動をする
  2.本質を見極めるスキル
  3.洞察力を高める
  4.応用力を高める
  5.コンセプチュアルが行動を変える~ケーススタディ
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2015年7月 7日 (火)

【コンセプチュアルスキル講座気まぐれコラム(1)】コンセプチュアルスキルの起源

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このコラムではコンセプチュアルスキルやPMstyleのコンセプチュアルスキル講座につ
いて不定期に、また、一話完結でランダムなテーマで情報をお届けしたいと思います。

Concept2◆作業長と工場長

初回はコンセプチュアルスキルという概念がなぜ、生まれてきたかという話をしたいと思います。

1950年代に、ハーバード大学のロバーツ・カッツ博士が工場のマネジャー(管理職)に必要なスキルの研究をしました。その中でカッツ教授が発見したのは、職位の低い管理職、たとえば、作業長においてはテクニカルスキル(業務スキル)を中心にして、ヒューマンスキルで補完をしながらマネジャーの仕事をしている。

これに対して、工場長のような上位のマネジャーにおいては、テクニカルスキルに依存する割合は低く、その代わりにもっと包括的なスキルを活用していることでした(ヒューマンスキルは職位に関係なく、一定の割合で活用している)。



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2015年6月29日 (月)

【PMスタイル考】第102話:モノづくりからコトづくりへ

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Dron◆モノづくりから、コトづくりへ

よくモノづくりから、コトづくりへと言われます。モノづくりとコトづくりはどう違うのでしょうか。

イメージ的にはモノづくりは製造業がこれまでやってきたことで、コトづくりはモノを使った付加価値づくりで、たとえばソリューションサービスのようなイメージがありますし、さらにいえばアップルに代表されるようにブランディングのようなイメージにもつながってきます。今回のPMスタイル考はこの問題を取り上げてみたいと思います。

モノづくりからコトづくりが頻繁に言われるようになってきたのは、おそらくアップルがiPod(携帯オーディオ)の展開を始めてからだと思われます。携帯オーディオではそれまではソニーのウォークマンの独壇場で、デジタル化にも早々に対応し、独壇場は続くと考えられてきました。

ところが、iPodをつくったスティーブ・ジョブズはiPodは単に携帯用オーディオとしてiPodを提供するだけなく、iTuneという仕組みを作り、音楽をオンラインで1曲ごとに購入できるサービスを展開しました。それまではCDを購入して、録音しnていたことを考えると、大変な付加価値を提供したわけで、まさにコトづくりをやってのけたわけです。

このあたりから、ハードウエアは入れ物で、ソフトウエアで競争するという方向に大きく変わってきました。ただし、ハードウエアはコトづくりの対象から完全に外れたかというとそうでもありません。この点については、あとでお話します。

表面的には、モノづくりからコトづくりへということで、ハードウエア作りからソフトウエア作りに代わったわけですが、この話はもう少し奥があります。そこを考えてみたいと思います。



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2015年6月19日 (金)

【プロデューサーの走り書き(3)】モノ的発想とコト的発想の本質的な違い

Kotoよくモノづくりから、コトづくりへといわれるが、これらはどのように違うのだろうか?

たとえば、「荷物を積んだドローン」というモノと、「ドローンで荷物を運ぶ」というコトはどう違うのだろうか?

「荷物を積んだドローン」というモノは客観的なものであり、それを見ている人間の主観に関係ないものだ。ところが、「ドローンで荷物を運ぶ」というコトはドローンという客観的なモノだけではない。そこに何らかの形で関わる「わたし」がいて、主観が入ることで初めて「ドローンで荷物を運ぶ」というコトが生まれるのだ。「荷物を運ぶ」というのは「わたし」がそう思っているだけであって、あくまでも主観であることに注意をしてほしい。第三者にはドローンを飛ばして楽しんでいるだけにみえているかもしれない。

言い換えると、「荷物を積んだドローン」はモノであり、誰がみても「荷物を積んだドローン」なのだが、コトはそれを経験している人間の主観も含んでおり、「荷物を運ぶ」という主観が相俟って「ドローンで荷物を運ぶ」ということになる。これが、モノとコトの本質的な違いだといえる。

さて、このように考えたときに、重要なポイントは、モノは個人の主観を排除した分析的な視点でも見えるが、コトは見えないということだ。

そのように考えると、個人の主観を排除した分析的な視点では、モノは見えても、コトは見えない。従って、コトづくりにおいては、「わたし」(あるいは人間)が主体となり、何と何を結び付ければ、顧客に対して新しい関係性(コト)を生み出すことができるのかを考えなくてはならないことだ。

ここでポイントになるのがコト的な価値としてのコンセプトである。

コトづくりの天才というと必ず出てくるスティーブ・ジョブズは、iPodを創ったときにシンプルな卓越したデザインのハードウエア(モノ)を作り上げると同時に、「どのレコード会社のミュージシャンの曲もネットワークからいつでもデジタル情報のまま取り込んで楽しむことができる」というコトの価値を見出し、創り上げた。これが、iPodの成功要因になった。

この例がおそらく、コトづくりの威力を世の中に知らしめた例であると同時に、コンセプトの重要性を知らしめた例だといえる。

この例から分かるように、コトづくりは主観だけではなく、モノという客観とコトという主観のバランスを取ることが求められる。

2015年6月18日 (木)

【PMstyle Proposition:004】「センス」としての「コンセプチュアルスキル」

SensePMsytleではコンセプチュアルスキルの定義を

周囲で起こっている事柄や状況を構造的、概念的に捉え、事柄や問題の本質を見極めるスキル

だとしている。これは、提唱者であるロバーツ・カッツの定義を採用したものである。

ところが、この定義、「よく分からない」ということで、あまり評判がよくない。何かと、聞かれることが多くなってきたので、記事にしておく。

実はコンセプチュアルスキルを持ち出す前から、コンセプチュアルスキルに関する活動はしていた。

「センス」

である。

センスの定義もあるようでないのだが、例えば、一橋大学の楠木建先生によると、スキルではカバーできないものということになる。楠木先生は、会計やファイナンスはスキルでカバーできても、戦略策定はセンスでしかできないとおっしゃっている。

確かにその通りであるが、僕はもう少し広くというか、構造的に考えている。スキルによる活動のクオリティを上げる、あるいは成果を大きくするのがセンスだ。会計には会計なりのセンスが必要であり、戦略策定には戦略策定なりのセンスが必要だ。

コンセプチュアルスキルは、カッツの言葉でいうと、テクニカルスキルやヒューマンスキルによる業務の質を向上させるものである。

カッツは職位が上がるとコンセプチュアルスキルの重要性が増してくるといっているが、本質的には、職位が上がると上流で業務をしなくてはならない。上流の業務をするにはコンセプチュアルスキルが必要だということだ。

まあ、これをセンスだと言ってしまうと実も蓋もないので、あまり言わないようにしている。

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