ゲアリー・ケラー、ジェイ・パパザン(門田 美鈴訳)「ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果」、SBクリエイティブ(2014)
お奨め度:★★★★★+α
バランスを取らずに、一点集中を行うことのご利益と、一点集中の方法について述べた一冊。
個人の仕事の方法にも、チーム(組織)としての仕事のやり方にも通用する方法であり、読んでいる限り、バックボーンとなるロジックがあり、「私はこういうやり方でうまく行っています」式の啓蒙書とは一味違う良書。
アダム グラント(楠木 建訳)「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」、三笠書房(2014)
お奨め度:★★★★★+α
対人行動の基本関係をギバー(人に惜しみなく与える人)、テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)、マッチャー(損得のバランスを考える人)の3つのタイプに分けて、事例と心理学実験などを通じて、仕事におけるタイプと成果の関係を分析した一冊。米国でウォートン校史上最年少の終身教授になった著者のデビュー作として米国を始め、全世界で話題になった書籍の翻訳。
監訳者の楠木先生が「情けは人のためならず」を実証実験し、理論化された本だと述べられているがまさにそんな感じの本である。「情けは人のためならず」に共感できる人にはお奨めしたい。
ジョン・クプレナス、マシュー・フレデリック(美谷広海訳)「エンジニアに学ぶ101のアイデア」、 フィルムアート社(2013)
お奨め度:★★★★★
いろいろな分野のエンジニアリングの101の方法論を通じて、エンジニアのものの見方と発想を学ぶ。モノ作りにもイノベーションにも効く常識、理論、実践は、エンジニアの人以外にもたくさんの思考のヒントを与えてくれる。エンジニアはもちろん、ビジネスマンにお奨めの一冊。
ケビン・ワーバック、ダン・ハンター(三ツ松 新監訳、渡部典子訳)「ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義」、阪急コミュニケーションズ (2013)
お奨め度:★★★★★
ビジネススクールで初めてゲーミフィケーションの講義を取り入れたウォートンの教科書。MBAプログラムの体系と関連付けながらゲーミフィケーションの説明がされており、ゲーミフィケーションを取り入れた仕組みの構築に役立つ一冊。
ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー(池村千秋訳)「なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践」、英治出版(2013)
お奨め度:★★★★★
ハーバード大学で、成人学習、職業発達論を研究するロバート・キーガン教授の『Immunity to Change』の翻訳書。2009年の刊行以来、免疫システムという変わった概念による変革アプローチの本として評価されている。
変化が必要だと思っても、85%の人が行動すら起こさないとされるが、この本のアプローチによると多くの人や組織は変革できると主張している注目の一冊。変革の必要性を感じている人はぜひ、読んでみよう!
レイ・フィスマン、ティム・サリバン(土方 奈美訳)「意外と会社は合理的 組織にはびこる理不尽のメカニズム」、日本経済新聞出版社(2013)
お奨め度:★★★★★
マクドナルド、HP、マッキンゼー、P&G、ザッポスなどの企業、ボルチモア市警、サモア政府などのパブリックセクター、アルカイダなどを例にとり、採用、報酬、組織文化、イノベーション、マネジメントにおける不合理の本質を、組織経済学の観点から解き明かした一冊。一つのテーマについて、民間企業とパブリックセクター、宗教団体というふうに2つ以上の性格の異なる組織を比較し、同じことが言えるという仕立てになっており、興味深く読める。そして、911で組織が評価されたアルカイダは本当に理想の組織なのかという検証をしている、
楡 周平「象の墓場」、光文社(2013)
お奨め度:★★★★★+α
世界的なエクセレントカンパニーであるコダックをモデルにしたと思われるグローバル企業ソアラ社の日本法人を舞台にした小説。資本主義、企業文化、価値感、イノベーション、技術、組織と人などについて非常に深く考えさせられる一冊。
小説と調査に基づく学術書を比較すべきではないことは重々承知しているが、クレイトン・クリステンセン先生の「イノベーションのジレンマ」以上のインパクトがあった。
特に、小説(ストーリー)という形でしか書けないと思われる全体の構造が見事に書かれており、現場で起こる現象がなぜ起こっているかを、断片的なステレオタイプの指摘ではなく、コンセプチュアルに把握できる。イノベーションや変革に携わっている方すべてに強くお奨めしたい。
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