男性が女性のような発想をしたら世界が好ましい方向に変わる
ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ(ヤマザキマリイラスト, 有賀裕子訳)
「女神的リーダーシップ 世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である」、プレジデント社(2013)
お奨め度:★★★★★
最近、米国で話題になっている本が翻訳。「テルマエ・ロマエ」で知られるグローバルな漫画家ヤマザキマリさんの素敵な表紙が目立つ「女神的リーダーシップ」という本。原題は「THE ATHENA DOCTRINE」というタイトルで、ATHENAはアテネの守護神で、知恵・芸術・学芸・戦争などの女神。ATHENAのドクトリン(教義)というわけだ。内容的には大規模なグローバル調査に基づき女性的なリーダーシップの重要性について述べた本である。
この本は、世界中のGDPの65%を占める13か国でその人口構成を反映する6万4千人という大規模な調査を行い、生まれた発見を述べている。そこには日本や米国も含まれていますし、フランスやイギリス、中国やブラジルなども入っている。
その結果は衝撃的で
「男性的価値感はもう通用しない」
というもの。数字でいえば、
「男性が女性のような発想をしたら世界が好ましい方向に変わる」
と 考えている人が、全体で66%、日本だけに限れば79%に上る。この結論は125のリーダーの資質をグローバルサンプルの半数である3万2千人に女性的、 男性的、どちらでもないに分けて貰い、次にその属性を示さずに、残りの半数に重要性を聞き、それを突き合わせて出てきた結果だ。
この結果によると、理想的なリーダーに必要な資質の多くは女性的だとみなされている。たとえば、
計画性
表現力
合理性
柔軟
忠実
忍耐強い
などです。
男性的な資質だとみなされ、重要性が高いと考えられている資質には
決断力
逆境に強い
分析的
自立的
積極的
がある。確かに納得性はある。
さらに本では、統計的データ以外に各国のエスノグラフィーが掲載されている。これがこの本のメインで、実に興味深く、読めば納得性の高まる内容になっている。
こ の本の調査結果はダイバーシティマネジメントに別のアプローチの可能性を感じさせる。確かにジェンダーダイバーシティは重要だが、リーダーに関していえば 女性であることは本質ではないのかもしれない。つまり、男性リーダーが女性的なリーダーシップを身につけることで特にグローバルビジネスで必要なダイバー シティを確保するというアプローチもありかもしれない。
そう思って読んでみるとなかなか味のある本だ。
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