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2012年12月 1日 (土)

会議を再定義する

4862761216マーヴィン・ワイスボード、サンドラ・ジャノフ(金井 壽宏監訳・解説, 野津 智子訳)「会議のリーダーが知っておくべき10の原則――ホールシステム・アプローチで組織が変わる」、英治出版(2012)

お奨め度:★★★★★

会議の持つ役割を見直し、会議の方法をホールシステムアプローチを導入することによって変革する方向性を示した一冊。特に、会議を仕切るリーダーは読んだおきたい本だ。


一昔前は、会議はものごとを決める場所(であるべき)だという認識が強かったように思うが、今は、コミュニケーションのすべてが会議で行われるようになってきた。

原因はいくつかあるが、大きいのは、ビジネスのスピードが速くなってきて、また、グローバルな体制で仕事をすることが多くなり、会議以外のコミュニケーションの機会を作ることは現実的ではなくなってきたことだろう。

こうなってくると、会議の運営一つで、仕事やプロジェクトの成否が決まってしまうという状況になる。

もっといえば、日常的な会議に、業務の遂行だけではなく、組織開発の役割も担わなくてはならないようになってきた。

従来の会議の方法を前提にして、これらを実現しようとするのは至難の業であるが、逆に、発想を転換し、会議ですべて実現しようと思えば、意外と知恵はあるものだ。ホールシステムアプローチがその有力な方法である。

ホールシステムアプローチの本を読んでも、局面を切り取った対話セッションの進め方の理解はできるが、業務のコンテクストを背景にして、具体的に会議をどのように設計すればよいかは意外と想像しにくい。もし、そんな悩みがあれば、この本はお勧めだ。ある意味で、今の時代にあった究極の会議術である。会議の再定義をした本だといってもよいだろう。

10の原則とは、

(1)ホールシステムを集める
(2)コントロールできることをコントロールし、できないことは手放す
(3)全体”象”を探究する
(4)人々に責任を持ってもらう
(5)コモングラウンドを見つける
(6)サブグルーピングを極める
(7)不安と仲良くなる
(8)投影に慣れる
(9)信頼できる権威者になる
(10)YESを意義深いものにしたいなら、NOと言えるようになる

である。説明はかなり具体性はあるが、やはり概念的である。どれだけ、実践に落とせるかは、人によってばらつくだろう。ひょっとすると、この後はこの本を読んだリーダーが再定義すればよいということかもしれない。

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