制約にとらわれない(ファンが選ぶビジネス書7)
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ティナ・シーリグ「ティナ・シーリグのスタンフォード大学白熱講義 (DVD付き) 」、宝島社(2011)
お奨め度:★★★★
スタンフォード大学工学部のスタンフォード・テクノロジー・ベンチャー・プログラムのエグゼクティブ・ディレクターであるディナ・シーリグさんの大人気の講座「問題をチャンスに変える方法」の講座は大人気の講座を記録し、映像をつけた書籍である。昨年のビジネス書の杜年間ベストセラー第2位のディナ・シーリグさんの「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」のベースになっているベースの講義でもある。
さて、この記事を読んでいるあなたに課題を出します(20歳を読んだ人はスキップしてください)。5ドルのシードマネー(元手)をあなたのチームに渡します。あなたははそのシードマネーを使って、2時間でできるだけ多くのお金を稼いでください。計画や準備には4~5日かけても構わない。最後に各チーム3分間の課題発表のプレゼンテーションをします。
あなたならどうしますか?
あるチームはスタンドを設置して「あなたの自転車のタイヤ圧を無料で測ります。もし、空気を入れる必要があるときは、1ドルでお入れします」という看板を作ったそうだ。すると、非常に感謝された。そこで、1ドルをやめて、寄付にした。すると、1ドル以上を寄付してくれる人がいて、数百ドル稼いだそうだ。このチームは、計画の実行中に実験を繰り返すことの重要さを知ったわけである。
一番、稼いだチームは、自分たちが持っているものの中でもっとも重要なものは、5ドルでも2時間でもないことに気付いた。そして、課題発表の時間を大学生対象の求人活動をしている企業に売った。
これから、得られる教訓は、問題が起こると、解決の選択肢を極端に狭めてしまうことだ。だから可能性を解き放てば、想像以上に大きくて重要な資源があることに気づくということだ。
ディナ・シーリグさんはお金を基準に価値を教えるのはまずいと感じ、次は5ドルではなく、一握りのペーパークリップにしたそうだ。どんなアイデアが出てきたかは、この本を読んでほしい。
起業家精神は、制約にとらわれないということだけでは十分ではない。他にもたくさんある。その一つは、「自分の幸福は自分で作る」ということだ。そこで、ディナ・シーリグさんは、自分自身の力でレモネードからヘリコプターの遊覧飛行に辿りついた話を披露している。この話しもここには書かないでおこう。この本か、20歳を読めばわかる。
次に起業家にとって重要なことは、失敗の方法を覚えるということ。素早く何度も失敗をすること。ディナ・シーリグさんのクラスでは、生徒に「失敗のレジュメ」を作ってもらっているという。彼らにとって最大の失敗を、個人的なものでも、仕事上のものでもいいので、レジュメにまとめてもらっているそうだ。
次のテーマは「選ばれるのを待っていてはだめだ」ということ。ディナ・シーリグはこういう。
たいていの組織には、チャンスがほかにも無限にあって、あなたがなにか素晴らしいものに発展させてくれるのを待っている
この言葉は起業家だけではなく、企業家にも向けたメッセージである。
講義の最後のテーマは、「光輝くチャンスを逃すな」だ。
来る日も来る日も困難に直面し、問題を解決できるような方法、組織的な問題に取り組めるような方法、身に降りかかってくるすべてに対処できるような方法で、光り輝くチャンスを見つけなければならない。
まったく、そのとおりだと思う。
これまで、「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」をいろいろな形でいろいろな人に薦めてきた。特に、ミドル以降の人から面白いくらい同じ反応が返ってくる。本当に20歳のときに知っていたかった。
だが、今からでも遅くない。特に制約を考えずに思考するというのは会社の役員まで上り詰めた人にとっても、なお、重要なことだと思う。日本企業もどんどんグローバル化している。グローバル化も一つの制約を考えなかった結果だとは思う。しかし、同じことをやっていくために違う地域を選んだだけだという気もする。
空洞化した日本は震災で壊滅的な被害を受けた。今度は、同じ場所で違うことをやるという制約の外し方をしてみるのもいいかもしれない。
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