二人のピーターの対話(ファンが選ぶビジネス書3)
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ピーター・ドラッカー、ピーター・センゲ「DVDだからわかる ドラッカーのマネジメント理論~実践型マネジメントワークブック」、宝島社(2011)
お奨め度:★★★★★
第1部は、ドラッカー財団の代表であるフランシス・ヘッセルバインが司会を務め、マネジメントの父ピーター・ドラッカーと組織学習協会会長ピーター・センゲによる「変化の時代をリードする」という対談。1999年に、ドラッカーの家で行われたもの。第2部は、第1部を踏まえて行うワークブックになっている。
第1部は、対談である。本書にはこの対談のDVDが添付されており、字幕なので、ドラッカーとセンゲの生声が聞ける。本の方では30ページほどだが、翻訳というよりは、要約に近い。そのせいか、読んでいるとほとんどの部分に線を引きたくなるような凝縮された内容だ。
久しぶりに、印象に残ったセンテンスをTwitterで発信するという方法でまとめてみた。ツイートは以下のとおり。
・変化の流れを変えることはできない。できるのは変化に先んじて、変化を活かすことだ(ペーター・ドラッカー)
・企業だけではなく、どんな組織も、3年ごとに製品、サービス、方針の一つ一つについてじっくり考えるべきだ。「すでにこれをやめていたとして、いままた新たに取り組むだろうか」と自問してほしい。もし、ノーなら議論の余地はない(ピーター・ドラッカー)
・企業は問題解決を最優先するために、創造という概念が損なわれる。組織の評価システムのほとんどは誰がどんな問題を解決したかに注目する。そして、組織は問題解決に膨大な時間を割く。「問題解決が主体」と「創造が主体」の根本的な違いは大きい(ピーター・センゲ)
・どんな驚きも真剣に検討する価値がある。「計画していなかった」とか、「あるべき姿ではなかった」とか、「偶然だ」、「想定外だ」というべきではない。「これは機会だろうか」と問わなくてはならない(ピーター・ドラッカー)
・公立学校は問題に注目するが、チャータースクールは学びたい子供に注目する。学びたい子供に学ばせてあげる。それを徹底的に後押しする。そうすれば他の子供も自然とついていく(ピーター・ドラッカー)
・仕事を楽しんでいる人はイノベーションを志向し、リスクも厭わない。自分のしていることに責任を持ち、仕事が喜びであるから、信頼関係も生まれる(ピーター・センゲ)
・組織の成員がストレスを感じるのは、変化が激しいからではなく、自分たちのしていることに不安を感じるから(ピーター・センゲ) 予期せぬ根源的変化が起こっている今こそ、機会が生まれるチャンスだと理解すれば不安は消えるはずだ(ピーター・ドラッカー)
第2部は、ワークブック。ワークのテーマは以下の9つ。
Section1 リーダーシップを養う
Section2 メンタルモデルを明らかにする
Section3 計画的廃棄をシステム化する過程で、変化に対する受容力を醸成する
Section4 イノベーションと問題解決:組織的改善
Section5 予期せぬ機会を歓迎し生かす
Section6 機会と、人材やその他の資源を結びつける
Section7 信用を保つ:変化のなかの継続性
Section8 優れた人材のやる気を引き出し確保する:組織における人事方針
Section9 まとめ
2人のマネジメントの哲学者が対談するという夢のような本。ビジネス書の杜でも、ピーター・センゲの「最強組織の法則」は通算の売り上げ数でベスト5に入っていると、調べていないがドラッカーはおそらく一人の著者としては通算1位ではないかと思う。
非常によい本であるし、DVDまでついて1500円は安い。ワークを実際にやってみたが、ワークブックとして(一人で取り組んでも)十分に機能すると思う。また、グループで取り組むともっと良い。ぜひ、購入してやってみてほしい。
一つだけ、残念な点がある。なぜ、このタイトルなのだろう。原題は「Leading in a time of change~What it will take to lead tomorrow」という素晴らしいタイトルである。なぜ、これをこんなタイトルにするのだろう。
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