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2010年2月22日 (月)

社長を目指す人に勧めたいマネジメントの教科書

4478002258 新 将命「経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目」、ダイヤモンド社(2009)

お奨め度:★★★★★


経営の原理原則を30にまとめた本。社長を経験した人が語る原理原則を書いた本は山のようにあるが、この本は、新将命さんという20年以上にわたり、多くの会社で社長を経験された方が、豊富な経験の中で共通的に言えることを体系的にまとめていらっしゃるので、価値がある一冊。30の原理原則を7つのジャンルに分けている。ちょっと長くなるが、記事の最後にリストアップしておく。

読んでまず、感じたことは、30の項目の中で、社長でないとできないことと、そうではないことがあること。僕の尊敬するオーナー経営者が、社長と役員の違いは、社長には試運転期間はないことだと常々言われている。社長のための本というポジショニングになっているが、起業家を除くと、社長になってこんな本を読んでいるようでは手遅れだろうと思う。

では、この本で社長に向けたメッセージは何か。大きく構想し、現実的なバランスをとることのように感じる。たとえば、あきらめること撤退することといった現実的な選択肢を常に持っておく必要があることが強調されている。顧客にすべてを出さないことといったバランスもある。

日本の企業は現場がこのような機能を担っている。つまり、経営者は大きな絵を描くが、現実的な対応だとか、あるいは、ブレーキをかける役割を現場が担っている。このやり方はキャッチアップをしているときには合理性があるが、新しいことはできない。現場は思いっきり走り、背伸びをする。それを経営がマネジメントする中で現実的な意思決定をしていく。だからこそ、現実調和をするのではなく、原理原則が必要なのだ。これがこの本からもっとも強く受けたメッセージである。

リーダーにおいてこの本はどのような意味があるのかという点も興味深い。新さんは、この本の前に

新 将命「伝説の外資トップが説く リーダーの教科書」、ランダムハウス講談社(2008)

という本を書かれているが、この本でも書かれている項目は多い。上に社長になってこんなことを始めて考えるようでは手遅れだと書いたが、「教科書」というのはそういうものだ。社長になる前に学び、習得すべきことが書かれているわけだ。

たとえば、今、課長の職にあるとすれば、(かなりできていることがあると思うが)この30の原理原則を実践できるようになることを目標とすべきである。もっといえば、新任係長であっても目標にすべきである。

それによって、社長や役員への道が拓けてくるのではないかと思う。

【経営の30の原則】

1.厳しい環境だからこそ、語れる夢があるか
理念・ビジョンは利益につながる
情熱なき経営者はすぐに去れ
真のリードとはどういうことか
大局観をいかにして磨くか
2.その夢は、社会にとって役立つものか
倫理性なしに事業継続はない
問われているのは付加価値
利益は目的ではなく、手段である
3.夢を語れるだけでなく、目標にして示せているか
経営は「いまどこだ」「どうなりたい」「どうやる」「どうなった」
目標をどうつくるか
コミットメントをどう醸成するか
戦略をどうつくるか
うまい発信のために
4.目標を実行に移せているか
社内に自責の風を吹かせよう
優先順位はマトリックスで考えよ
胆識を養う
あきらめないとき、あきらめるとき
結果を分析して失敗から学べ
5.目標に向かってともに進める社員がいるか
会社の成長を左右するのは任せる能力
社員にも納得のいく評価・処遇のしかたを
社員満足をつくるのは経営者の役割
積極的に多様化マネジメントを
社員の採用で失敗しないためのポイント
6.心の通うコミュニケーションはとれているか
コミュニケーション力が会社を変える
会議の生産性をどう高めるか
人間関係力が成功のカギを握る
心の強さをもたらしてくれるもの
7.バトンを受け継ぐ者を育てているか
人材育成、後継者選びという最重責
学ぶ心を持ちつづける
謙虚さは真の自信のバロメーターである
改革は遠くにあるものではない




 

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