トヨタと任天堂、どちらがすごい【ほぼ日読書日記 2009年5月16日】
「トヨタウェイ」の著者として有名なジュフリー・ライカーのトヨタ経営大全の第2巻。上下巻2冊併せて1000ページを超える大作だが、昼過ぎから読み出したら、比較的すっと読め、夕食前には読み終えた。
ジュフリー・ライカー、マイケル・ホセウス(稲垣 公夫訳)「トヨタ経営大全 2 企業文化」、日経BP社(2009) 上巻 下巻
第1巻が出たのは、もう1年半前になるが、第1巻は、結局、完読しなかった。
ジュフリー・ライカー、デイビッド・マイヤー「トヨタ経営大全 1 人材開発」、日経BP社(2007)
上巻 下巻
1巻に比べると2巻は、文化や組織、人、プロセスというトヨタの基盤について述べた本で、共著者もトヨタに勤務していた人で、内容的におもしろい。
企業文化に関する本は、たくさん読んでいるが、この本、秀逸の出来。どんな本よりも、勉強になった。トヨタの組織はもちろんだが、組織文化とは何か、どのように構築されるかも、トヨタというベストプラクティスを通じて勉強することができた。
これは、トヨタが云々という話ではないな。ジュフリー・ライカーの力だろう。ジュフリー・ライカーは、トヨタの神話を作った人であり、大野耐一が作ったトヨタのイメージを体系的に変えた研究者でもある。
ということで夕食のあとで、もう一冊。トヨタが失速する中で、思いっきり元気なのが、任天堂。DSの最速1億台、Wiiの最速5千万台などの記録も作る一方で、史上最高の収益を上げている。
井上 理「任天堂 “驚き”を生む方程式」、日本経済新聞出版社(2009)
任天堂という会社は取材を一切、断っているらしい。僕の行った神戸大学のMBAコースには結構任天堂の人がたくさんきている。やっぱり興味深い企業なので、研究対象として必ず名前が挙がるのだが、取材を申し込んでも受けてもらえないらしい。学術研究でもそうなので、マスコミの取材は厳しいことが容易に想像できる。
実際に、特にWiiに関しては、ブルーオーシャン戦略の中に記述されているくらい。
そんな制約の中で作られた本にしてはこの本は傑作である。メディア規制が厳しいのが幸いして、取材対象は新鮮みはあるし、ストーリーはおもしろい。プレステ本とはその辺りが違う。
が、ジュフリー・ライカーの本と比べると、ノンフィクションの域の本だと思う。ベストプラクティスだとは言い難い。
ただ、任天堂のような経営をフレームワークで切れるかというとこれまた疑問で、だとすれば、物語として伝えるという方法は確かにある。ただ、そうだとすれば記述不足で、本当に知りたいことが書いていない。残念だ。取材に制限があるのだろうけど。
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