あいまいさを排除したプロジェクトマネジメントの教科書
中嶋秀隆、津曲公二「 [改訂版]実践! プロジェクト・マネジメント」、PHP研究所(2008)
お薦め度:★★★★
著者の中嶋秀隆さんが代表を務めるプラネット株式会社が展開するプロジェクトマネジメントの10ステップを簡潔に解説し、各ステップの勘どころと、10ステップを成功させるために必要なポイントについて解説した1冊。
第2章では10ステップについて説明している。10ステップとは
ステップ1 目標を明確にする
ステップ2 作業を分解する
ステップ3 作業を分担し、所要期間を見積もる
ステップ4 作業の依存関係を調べ、クリティカル・パスを見つける
ステップ5 スケジュールを作る
ステップ6 負荷をならす
ステップ7 予算を作る
ステップ8リスクに備える
ステップ9進捗をコントロールする
ステップ10事後の振り返りをする
の10ステップで、PMBOKをベースにしたプロジェクトマネジメントの体系として定評があり、世界的に広く活用されているもの。
第3章ではこの各ステップの勘どころを述べている。たとえば、ステップ1に対しては、
あいまいなものはあらかじめ排除する
というテーマを掲げ、
・一人で考える
・なかなか決めてくれない上司への対応
・しがらみのあるサプライヤーを切る方法
・言葉の行動へ与える影響
・問題と課題の使い分け
などについて述べている。
第4章では、10ステップを成功させるためのポイントとして
・スケジュール案に必要な4つのステップ
・逆線表の問題
・人の話をよく聞くには
など、10ポイントを説明している。
さらに、5章ではプロジェクトマネジメントの標準と資格制度について、最後の章では新しい流れとしてクリティカルチェーンプロジェクトマネジメントについて簡潔に説明している。
150ページ強の本の中に、これだけの内容を盛り込んでいることに驚くくらい、多くの内容(プロジェクトマネジャーとして最低限知っておきたいこと)が盛り込まれているにも関わらず、消化不良感がないのは、表現の簡潔さ、編集のうまさだと思う。書籍を作るというプロジェクトにおいて、まさに、10ステップの第1ステップの
あいまいなものはあらかじめ排除する
という勘どころを実践し、著者が実践で有効であると本当に確信を持つアドバイスのみを書いたことを思わせる一冊である。
【目次】
第1章 なぜ、プロジェクト・マネジメントが必要なのか;
第2章 プロジェクト・マネジメント「標準10のステップ」;
第3章 「標準10のステップ」の勘所;
第4章 プロジェクト・マネジメント成功のための10のポイント;
第5章 プロジェクト・マネジャーになろう!;
終章 プロジェクト・マネジメントの新潮流
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