マネジメントに心理学を使う
中西 晶「マネジメントの心理学―会社を元気にする方法」、日科技連出版社(2006)
お薦め度:★★★★
職場のぎすぎすを指摘した本が目立つようになってきた。
このブログでも、
といった記事でその系統の本を取り上げてきた。
この記事で紹介するのは、本屋さんで偶然見つけた本で、古い本だが、こんな本があったのかと思った1冊。
著者の中西晶先生は、リスクマネジメントの分野で
中西晶「高信頼性組織の条件―不測の事態を防ぐマネジメント」、社会経済生産性本部(2007)
の著者。この本は、たぶん、リスクマネジメントを本格的な組織論の視点から議論した唯一の本ではないかと思う(クライシスマネジメントの本は結構あるが、リスクマネジメントの本は少ない。これから内部統制の強化のために重要!。また、紹介記事、書きます)。
その背景になっているのがこの本であることがわかった。この本は非常に広範なマネジメント領域を「心理学」で横串にし、関連させながら解説している。取り上げられている内容は
・モチベーションマネジメント
・リーダーシップ
・不祥事を招く意思決定とその実行
・リストラクチャリング
・組織文化の改善
・個と組織の関係
・組織学習
など。各項目とも内容は事例に基づく部分が多く、組織で働く人の心理的な動きがよく分かるので、楽しみながら読める。また、その心理を使ってマネジメントをする視点についても書かれているのは、入口だけだがヒントになる。さらには、そのような解説の中で、古典的なマネジメント理論についても触れているので、経営学の勉強にもなる。
ということで一粒で3回おいしい本。マネジャーに読んでほしい一冊。
【目次】
はじめに 元気な会社をつくるには―マネジメントの心理学
第1章 マネジメントの誕生―古典的管理論と人間関係論
第2章 「やる気」を出すマネジメント―モチベーションの科学
第3章 リーダーシップの本質―影響力の発揮
第4章 なぜ会社は不祥事を起こすのか―意思決定とその実行
第5章 「リストラクチャリング」の本当の意味―組織の構造と形態
第6章 会社の体質改善―組織文化と組織変革
第7章 ヒトが育つ会社、会社を育てるヒト―個と組織の関係
第8章 賢い会社をつくる―組織学習と知識創造
おわりに 認められる会社をめざして
コメント