プロジェクトマネジャーの人間術
Steven W. Flannes、Ginger Levin(PMI東京支部/吉沢 正文監訳)「プロジェクト・マネジャーの人間術」、アイテック(2007)
2005年に米国で発刊された「Essentail People Skills for Project Management」の翻訳。PMI東京支部の有志が翻訳している。
プロジェクトマネジャーの役割を
・リーダー
・マネジャー
・ファシリテータ
・メンター
の4つとし、これらの役割を果たすのに必要なピープルスキル(人間術と訳している)を
・対人コミュニケーション
・動機付け
・コンフリクトマネジメント
・ストレスマネジメント
・トラブル
の視点から、ツールとして解説している。また、最後にキャリアとそれに伴う人間観という視点でどういう心構えでキャリア形成していくべきかを論じている。
本書の特徴は
(1)プロジェクトマネジメントプロセスに人間術を対応させている
(2)キャリアステージを強く意識した手法を提案している
の2つだろう。書かれている内容は、簡潔ではあるが、独自性が強く、非常に本質をついているように思える。その意味で、ハウツーものというよりも、教科書としてプロジェクトマネジャーが内省のインプットとして使うとか、あるいは、組織でプロジェクトマネジャーの教育やワークショップの教材として使うといった使い方が適しているように思える。
また、明確に書かれていないが、この本に書かれていることはプロジェクトマネジメントのスキルがあることを前提にしているように見える。その点でも、初心者がハウツーものとして読む本ではないように思う。典型的な対象読者を一つ上げると、「PMPを取って、実践しようとしてもなかなかうまくいかなくて困っている人」だ。日本ではPMPホルダーのマジョリティだと言われてるが、米国でこのような本が出版されていることは興味深い。
目次
第1章 プロジェクトマネジメントにおける人間術の重要性
第2章 プロジェクト・マネジャーの四つの役割
第3章 対人コミュニケーション・ツール
第4章 動機付けの技
第5章 コンフウリクト・マネジメント
第6章 プロジェクト・マネジャーのストレス・マネジメント
第7章 チームを襲う緊急事態
第8章 キャリア・マネジメントと人間観
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