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2007年10月12日 (金)

人材開発は愚直に!

4478312192_3 井上久男「トヨタ 愚直なる人づくり―知られざる究極の「強み」を探る」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

トヨタの競争優位源泉はひとにある。これは多くの人が認めていることだろう。実際にトヨタウェイの多くはひとの考え方、行動習慣などを示すものである。

トヨタ本は多く出版されており、ひとに何を求めるかはあるん程度、ぼんやりとした輪郭くらいは見えている。しかし、どうやってそのひとをどのように育てているかということになるとほとんど分からない。組織に文化があり、ひとはその文化に染まっていくことにより、トヨタウェイを身につけた人材が生まれていくという風に思われ勝ちであるが、そんなに単純ではない。

精神的な部分があまりにも語られるので、表に出ないが、トヨタ流を実行するためには、かなり、高いスキルレベルが必要である。心技体である。

この本は、朝日新聞の元記者が、深く組織に入り込み、50人以上の 取材により、トヨタの教育システムを克明に紹介している。この本を読んで分かるのは、ひとというのはコストをかけないと育たないということだ。タイトルに「愚直」とあるが、二兆円の利益を上げる企業グループでさえ、人材育成に王道はないということがいやというほどよく分かる。

トヨタの教育システムが他社の参考になるかは若干疑問だが、少なくとも人材開発は愚直にやらなくては効果がでない。何の信念も持たず、短期的な成果を求めるような企業では人材は育たないことはよく分かるだろう。

同時に、経営とは難しいものだなと思わせる一冊でもある。

その意味で、そのことを実感している人材開発担当者よりも、トップマネジャーに読んでほしい本だ。

目次

序章 トルコ工場の復活に見るトヨタの本質
第1章 矛盾を包含するトヨタという会社
第2章 社内に張り巡らされる組織ネットワーク
第3章 現場を支えるモノづくりのエリートたち
第4章 世界に通用するマネジメント教育
第5章 柔軟かつ愚直な人事制度
第6章 協調と競争を生み出す関連会社とのネットワーク
第7章 世界企業の新たな課題 人づくりのグローバル化
第8章 トヨタはローマ帝国か

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