今、注目される「個を活かす組織」
クリストファー・バートレット、スマントラ・ゴシャール(グロービス経営大学院訳)「【新装版】個を活かす企業」、ダイヤモンド社(2007)
お奨め度:★★★★1/2
クリストファー・バーレットとスマントラ・ゴシャールの「The Individualized Corporation」が新装版として出版された。ちょうど、原書が出版されて10年になる。
序文には今は亡き、スマントラ・ゴシャールへの追悼もこめて、現代的な「Individualized Corporation」の意味について述べている。また、今回、翻訳を担当したグロービス経営大学院の方があとがきで、組織変革をめぐる日本の状況の変化について述べられている。
旧版は組織行動論の名作「組織行動のマネジメント―入門から実践へ」と同じシリーズで出版されているが、この時期に改めてハードカバーの立派な本として出版した出版社の英断に拍手を送りたい。
内容的には上に述べた追加があるが、基本的に変わらない。訳はかなり、洗練されているように思う。
このブログを初めてから売れた本の中で、PMBOKとこのブログの家主である好川の本を除いて一番売れている本は、スマントラ・ゴシャールの、「意志力革命」である。意志力革命に至る思考プロセスを知る上でこの本の持つ意味は大きく、今回の企画は非常にうれしい。
なお、この後に旧版の書評(2005年8月2日)をつけているので、内容はそちらを参考にしてほしい。
スマントラ・ゴシャール、クリストファー・バートレット(グロービスマネジメントインスティテュート訳)「個を活かす企業―自己変革を続ける組織の条件」、ダイヤモンド社(1999)
お奨め度:★★★1/2
戦略論の異才 スマントラ・ゴシャールが書いた組織論の本。
これからの企業のあり方を求め、20社以上の企業を調査し、たどり着いた結論が「個を活かす企業」であった。また、そのような企業を構築するためには、マネジャーの役割を新たに創出しなければならず、そこから会社と個人の新しい関係が生まれてくるというのが本書で主張されていることである。
このための具体的な方策として、ハードウエアである3S(戦略、組織、経営システム)から、ソフトウエアである3P(目的:Perpose、経営プロセス:Process、人:People)に関心を変える必要があることを具体的な例を引きながら主張している。
スマントラ・ゴシャールは2004年に他界したが、グローバル化が進んでいく中で、スマントラ・ゴシャールの主張はおおむねあたっているように思える。すばらしい先見性である。
なお、スマントラ・ゴシャールは、この後、「意志力革命」という本を書いた。これは3Pのプロセスをどのように構築していくかを具体的に議論した本である。併せて、読んでみてほしい。
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