そのドキュメント、本当に必要ですか?
石黒 由紀「ドキュメントハックス-書かない技術~ムダな文書を作り方からカイゼンする」、毎日コミュニケーションズ(2007)
お奨め度:★★★★
GTD(Getting Things Done、デジタル時代のストレスフリーな仕事術)本として作られた本のようだが、ドキュメントを書きながら仕事を進めることに関して、常識の枠を超えた本質的な指摘が多く、たいへん、「ため」になる本。
著者が指摘しているように、ドキュメントは何が必要かという点から必要性の分析がされ、作成されている。しかし、その作成プロセスに注目すれば不要な(他のコミュニケーションで代替できる)ドキュメントは多く、そこをうまく組み立てていることにより、「ドキュメントによるコミュニケーション」として本当に必要なドキュメントだけを作成するようにできる。それによって、作成するドキュメントの質も上がるし、情報共有の質もあがるというのがこの本の主張。特に、2章で、品質を上げるためにゴール共有をするという視点から、ドキュメントの必要性を分析している部分は共感できる。
デジタル時代の特徴のひとつは間違いなく、ドキュメントの量である。バーチャル組織、多様な人間の共同作業などで、間違いなく、ドキュメントがストレスになっている。この本はそのようなスタイルの仕事をしている人の救世主ではないかと思う。
GTD本としてTips集的な書き方になっていると感じるが、ぜひ、続編としてコミュニケーション全体を睨んだ体系的な本を書いてほしい。
目次
まえがき
第1章 ドキュメントを活かす ―― 働くドキュメント
第2章 品質とプロセス ―― ゴールを共有する
第3章 企画・設計のハックス ―― ゴールを決める
第4章 執筆のハックス ―― ドキュメントを実態化する
第5章 チェック・修正のハックス ―― 達成度を確認する
第6章 運用・メンテナンスのハックス ―― 使ってもらう・読んでもらう
あとがき
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