アイディアを実行に移す思考法
ポール・スローン(ディスカバー・クリエイティブ訳)「イノベーション・シンキング」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)
お奨め度:★★★★1/2
著者のポール・スローンは日本では水平思考のゲーム学習書「ウミガメのスープシリーズで著名なコンサルタントだ。
ポール・スローン、デス・マクヘール(クリストファー・ルイス訳)「ポール・スローンのウミガメのスープ―水平思考推理ゲーム」、エクスナレッジ(2004)
ポール・スローン、デス・マクヘール(大須賀典子訳)「ウミガメのスープ(2)~腕を送る男」、エクスナレッジ(2005)
ポール・スローン、デス・マクヘール(大須賀典子訳)「ウミガメのスープ(3)~札束を燃やす強盗」、エクスナレッジ(2006)
ポール・スローン、デス・マクヘール(西尾 香猫訳)「ウミガメのスープ(4)~借金を踏み倒せ」、エクスナレッジ(2007)
水平思考は論理的な段階を踏むことにより、問題に対する新しい見方を発見することで、日本語でいえば、視野が広いといわれる人が身に付けているような思考方法だ。ポール・スローンのウミガメのスープはこれをドリル形式で身につけようとするシリーズで、自分に必要だと思う人はぜひ取り組んで見られるとよい。
さて、そのポール・スローンが新機軸として提唱しているのが、イノベーション・シンキングである。単純にいえば、水平思考を活用することによって、新しいアイディアを採用し、実行に移していく方法がイノベーションシンキングである。
この本では、まず、パート1で、イノベーションシンキングのために必要な水平思考のスキルを10個に整理している。以下の10個だ。そして、それぞれについて、そのようなスキルを養うためのゲームを示している。
スキル1 前提を疑う
スキル2 探り出す質問をする
スキル3 見方を変える
スキル4 奇抜な組み合わせをしてみる
スキル5 アイデアを採用し、応用し、さらに改良する
スキル6 ルールを変える
スキル7 アイデアの量を増やす
スキル8 試してみて、評価する
スキル9 失敗を歓迎する
スキル10 チームを活用する
次にパート2では、イノベーションシンキングを行うことのできるチーム構築のためにビジョンを描き、伝える方法を具体的に述べている。また、その仮定でありがちな誤ちについて指摘し、その解消方法を示している。
1冊よめば、イノベーション・シンキングのトレーニングができるような構成になっているので、イノベーションの必要性を感じている人にはお奨めした一冊だ。
目次
0 いま必要なのは、イノベーションを起こせる思考力。 ただの創造力ではだめだ! パート1 水平思考10のスキル スキル1 前提を疑う スキル2 探り出す質問をする スキル3 見方を変える スキル4 奇抜な組み合わせをしてみる スキル5 アイデアを採用し、応用し、さらに改良する スキル6 ルールを変える スキル7 アイデアの量を増やす スキル8 試してみて、評価する スキル9 失敗を歓迎する スキル10 チームを活用する パート2 イノベーションのための組織づくり 1 あなたの会社の革新度は? 2 ビジョンをつくって伝える 3 ビジョン実現へのステップ ステップ1 権限を与える ステップ2 コミュニケーションを通じて恐れを減らす ステップ3 予備プランを用意する ステップ4 環境を整備する ステップ5 目標に集中する ステップ6 イノベーションの技術を使う 4 ありがちな誤りーー創造力を押しつぶす12の悪習 悪習その1 アイデアを批判する 悪習その2 ブレーンストーミングを軽視する 悪習その3 問題を抱え込む 悪習その4 イノベーションに効率を求める 悪習その5 過労を美とする 悪習その6 計画にないことをしない 悪習その7 失敗した人を責める 悪習その8 新しい事業にすぐに結果を求める 悪習その9 すべてをアウトソーシングする 悪習その10 内部から昇格させる 悪習その11 通常のラインに革新プロジェクトを委ねる 悪習その12 訓練しない 付録1 チームの創造力を高めるゲーム 付録2 水平思考パズルの答え
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