影響力の武器
ロバート・チャルディーニ(社会行動研究会訳)「影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか」、誠信書房(1991)
お奨め度:★★★★★
1週間くらい前にこの本がアマゾンのビジネス書ランキングベスト10に入っていてびっくりした。見ると、なんと50人以上の★★★★★が並んでいるが、いま、15年以上前の本がなぜと思った。反面、そうかと思った部分があるので、ビジネス書の杜で取り上げた。おそらく、このブログで取り上げている本の中ではもっとも古いものだと思うが、時代に関係なく、★★★★★である。
この本を読んだのはもう10年以上前である。MBAに行っているときに、マーケティングの講義の課題図書になり、レポートを書いた。MBAの2年間で読んだ本はおそらく100冊くらいになると思うが、その中でも印象深い1冊である。
セールスマン、募金勧誘者、広告主など承諾誘導のプロの世界で、「承諾」についての人間心理心理学の視点から、人に影響を与えるにはどうすればよいかを体系立てて説明している。
この本では、豊富な実験結果や実例に基づいて、影響力を受けるパターンを以下の6つに整理している。
・返報性
人間は他人から何かを与えられたら自分も同様に当たる様に努力する
・一貫性
人間は自分の言葉、信念、態度、行為を一貫したものにしたいと考える
・社会的証明
人間の多くの振る舞いは、他人を模倣する傾向にある
・好意
人間は自分が好意を感じている知人に対してイエスと言う傾向がある
・権威
人間は権威者に対して思考せずに服従する傾向がある
・希少性
人間は機会を失いかけるとその機会をより価値のあるものとみなす
これらの6つのパターンを活用して、人に影響を与えようというのがこの本の主張。
リーダーシップ、ファシリテーションなど、人に影響を与えることが注目されている今の時代に、そんなに難しくなく、かつ、きちんとした理論を身につけるには絶好の一冊だといえる。
目次
第1章 影響力の武器
第2章 返報性―昔からある「ギブ・アンド・テーク」だが…
第3章 コミットメントと一貫性―心に住む小鬼
第4章 社会的証明―真実は私たちに
第5章 好意―優しい泥棒
第6章 権威―導かれる服従
第7章 希少性―わずかなものについての法則
第8章 手っとり早い影響力―自動化された時代の原始的な承諾
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