本家のコンピテンシーマネジメント
ヘイコンサルティンググループ 「正しいコンピテンシーの使い方―人が活きる、会社が変わる!」、PHP研究所(2001)
お奨め度:★★★★1/2
コンピテンシーの提唱者とされるハーバード大学の行動心理学者のデビット・マクレランドが、コンピテンシーの商用利用を目的に、その同僚のバーナードと一緒に「マクバー」という研究所を作り、それが、ヘイグループと合併して本格的なビジネスが始まったという経緯がある。
その意味で、ヘイグループはコンピテンシーの本家であるという自負を持っているコンサルティングファームであるし、実際に業界的にも顧客にもそのような認識がある。
本書はそのヘイグループが、おそらくは現在のコンピテンシーという言葉や概念の氾濫を見て一石を投じる目的で出版した書籍であろう。他のコンピテンシーの解説本には書かれていないようなことがたくさん書かれている。その意味で、目からウロコの落ちる1冊である。
本書の流れは初心者向けのコンピテンシー解説本である。ところが、本書(というよりはヘイグループ)のスタンスはコンピテンシーを経営レベルの改革手法として位置づけている。このスタンスに立ち、他の手法、BPRやIT、あるいは、EVAやBSC、あるいはラーニングオーガニゼーションなどとの関係付けを明確にしている。ここが本書の特徴である。このほかにも、誤った扱いをしやすいコンピテンシー項目の持つ意味などを具体的な事例に基づいて紐解いており、すっと読めるが非常にインプリケーションの多い本である。
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目次
第1章 混乱するコンピテンシーの理解と運用
第2章 なぜいまコンピテンシーなのか
第3章 企業のパフォーマンスを上げるコンピテンシー
第4章 コンピテンシー活用の基本コンポーネント
第5章 人事戦略へのコンピテンシー導入
第6章 コンピテンシーの向上は可能か
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