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2005年12月

2005年12月11日 (日)

現場改革は難しい

447845048x09lzzzzzzz 黒瀬邦夫(野中郁次郎監修)「富士通の知的「現場」改革」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★

野中先生の提唱されるナレッジマネジメントは、現場の改革が必要である。最近、「現場力」というのが経営のキーワードになっている節がある。背景には、「組織学習」があるようだが、現場を変えるには気の遠くなるような時間が必要である。

米国でCMMレベル5に認定されているIT企業の役員が、CMMレベル5に認定されたが、まだ、現場が変わったとは思っていないといっていた。トヨタのような現場を作るには、まだまだ、継続的な取り組みが必要だとしみじみといっていた。そのくらい、現場を変えるには時間と根気に対するトップマネジメントのコミットメントが必要である。

この本は富士通が10年近く取り組んでいるナレッジマネジメントによる現場変革の活動を紹介した本である。トップが十分に野中流のナレッジマネジメントを理解し、根気よく取り組んでいる様子がよくわかる。

ただ、読み進むうちに、これだけの時間をかけて、ここまでしか到達しないのかという思いが強くなった。富士通の取り組みがまずいということではなく、これが上に述べた難しさであろう。自分の中堅企業のコンサルタントとしての経験に照らし合わせると、これだけの大きな企業が10年でこれだけ変わったと見るべきかもしれないという感もある。

現場改革の難しさを知る上では、非常に参考になる1冊である。ただし、かなり、広報的な書き方をし、生々しさを除いてあるので、その辺りは想像しながら読む必要がある。

2005年12月 7日 (水)

ドラッカー 365の金言

447830073909lzzzzzzz P.F.ドラッカー(ジョゼフ・マチャレロ編、上田 惇生訳)「ドラッカー 365の金言」ダイヤモンド社(2005)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

The Daily Drucker!

つい最近、逝去したドラッカー先生の言葉から375点を選び出した金言集(ドラッカー逝去:https://mat.lekumo.biz/pm/2005/11/post_911d.html)。

ドラッカー先生の名言集は2003年に一度、出版されている。

P.F.ドラッカー(上田 惇生訳)「仕事の哲学」、ダイヤモンド社(2003)
P.F.ドラッカー(上田 惇生訳)「経営の哲学」、ダイヤモンド社(2003)
P.F.ドラッカー(上田 惇生訳)「変革の哲学」、ダイヤモンド社(2003)
P.F.ドラッカー(上田 惇生訳)「歴史の哲学―そこから未来を見る」、ダイヤモンド社(2003)

これを全部買っているでの、迷ったが、装丁がきれいだし、選ばれている言葉も好きなものが多かったので、結局買った。ドラッカーファンであれば持っておきたい1冊。

365なので、タイトルのごとく、デイリーなのだが、結局、買った日に読んでしまった(笑)。ドラッカーの言葉はメールマガジンを書くときに本当にインスピレーションを与えてくれる。いい本が出た。447833103009lzzzzzzz447833102209lzzzzzzz447833104909lzzzzzzz447833105709lzzzzzzz

2005年12月 4日 (日)

プロジェクトマネジメント定番テキスト

Enterprisepmハロルド・カーズナー(伊藤健太郎訳)「戦略的エンタープライズ・プロジェクトマネジメント」、生産性出版(2005)

お奨め度:★★★★

組織がプロジェクトをより成功させていくためにどのようにプロジェクトマネジメントを導入、活用していくのがいいのかを、3M、サンマイクロシステムズ、ヒューレットパッカード等のベストプラクティスとケーススタディを通して示している。米国では、大学院におけるプロジェクトマネジメントのテキストとして広く活用されている著名な書籍。

ちなみにと取り上げられているケーススタディは

Clark Faucet社
非協力的な文化の中でプロジェクトを実施する上での問題提示
Photolite社(A)
プロジェクトマネジャーがメンバーの選定を行う上で考慮する事項の検討
Photolite社(B)
ライン業務とプロジェクト業務を行う従業員の評価についての検討
Photolite社(C)
プロジェクトマネジメント組織で働く従業員を公平に評価する方法についての検討
Photolite社(D)
マトリックス型組織における新評価方法についての検討
Continental Computer社
事業部横断的なプロジェクトマネジメントのキャリアパスの検討
Goshe社
新事業部の格上げでの問題点を多角的に検討
Hyten社
公式のプロジェクトマネジメントの導入に関する検討

であり、テーマを見ても、非常にポイントをついていることがわかる。

問題は価格。なんとこの本、21000円する。高いなあ~と思う人は、とりあえず、原書という手もある。もっとも、こちらも10000円するが、、、

047147284001lzzzzzzzAdvanced Project Management: Best Practices on Implementation」、John Wiley & Sons Inc(2004)

この本はすばらしいと思う。いちゃもんをつけるわけではないということをお断りした上で、一つ、面白い話を紹介したい。

いろいろと差し障りもあると思うので、名前は伏せるが、昔、DECにいて、今は、HPでプロジェクトマネジメントのミッションについている人が、この本でもベストプラクティスとして取り上げられているヒューレットパッカード(HP)について、今のHPのプロジェクトマネジメントはDECの作り上げたものが基盤になっているという話をされていたのを思い出した。真偽のほどははっきりしないが、この本に書かれているかなりの部分は、DECでは既に実現されていたようだ。

この様子は、DECの80年代について書かれたエスノグラフィーである

482224467901_pe_scmzzzzzzz_ ギデオン・クンダ(金井壽宏監訳、樫村志保訳)「洗脳するマネジメント~企業文化を操作せよ

を読んでみるとよくわかる。とても、面白いことだが、プロジェクトマネジメントも組織レベルで考えた場合、組織文化が重要なキーになる。ちなみに、ハロルド・カーズナーもこの点を強く主張している。

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2005年12月 1日 (木)

すごい考え方

480612296301lzzzzzzz ハワード・ゴールドマン(松林博文訳)「すごい考え方」、中経出版(2005)

お奨め度:★★★★

ハワード・ゴールドマンの代表作。

言葉にこだわり、普段、何気なく使っている言葉が、思考を制限し、人生に悪い影響を与えていることを指摘し、どのように表現すれば、考え方が変わっていくかを指南してくれる本である。

例えば、「誰かが悪い、自分は正しい」といつも言っていないかを考える。すると、責任転嫁をしないという考え方が身に付く。

ある意味で行動習慣を身につけることで思考習慣が変わるという話に似ているが、言葉に注目するというのは振り返りが容易で、とてもよいと思う。

読んでみると、確かにそういう面はあるなと思わせる本である。

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