プロジェクトチーム崩壊を防ぐ極意
伊藤健太郎「プロマネはなぜチームを壊すのか 知っておきたいプロジェクトのヒューマンスキル」、日経BP社(2007)
お奨め度:★★★★
PM書籍のベストセラー「プロジェクトはなぜ失敗するのか」の伊藤健太郎さんの待望の新作。
本の内容とは直接関係のない話題から入る。前作でも感じたのだが、伊藤さんの本はこの日経BPのシリーズが本当によく似合う。このシリーズには
デマルコの一連のシリーズ https://mat.lekumo.biz/books/2005/07/post_0be1.html
ジム・ハイスミスのアジャイルPM https://mat.lekumo.biz/books/2005/06/post_8e2b.html
ヨードンのデスマーチ https://mat.lekumo.biz/books/2006/06/post_7e70.html
など、日本のプロジェクトマネジメントに影響を与えた本がずらっと並ぶ。伊藤さんの本も間違いなく、その一冊だ。このシリーズの特徴は、深いことを、簡潔・平易に書いてあり、非常に考えさせることだ。
さて、今回のテーマは、チームマネジメント、リーダーシップ、ヒューマンスキルという伊藤健太郎さんの得意分野である。結構、深い持論がやさしく簡潔に書かれていて、納得しながら読める。かなり、ポイントが絞られているので、セミナーを受講しているような感じで、すっと頭に入ってきて、かつ、残る。
同時期に峯本さんもプロジェクトマネジャーのプロフェッショナル責任に関する書籍「プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル」を出版されたが、伊藤さんの本もまず、「責任」から話が始まる。非常に現実的で、現場ベースでの責任論が展開されている。納得。
次にチームマネジメントの話が続く。ベースは行動規範と動機付けの話だが、両者の関係の説明が薄いので、なにがいいたいのか、少し、わかりにくい部分がある。でも、個々に書いてあることは納得性が高い
そのあと、組織のサポートのあり方の章があり、最後にプロジェクトマネジャー像が述べられている。硬い話だけではなく、問題形式で説明されているので、楽しく読める。
この本、ぜひ、PMPの人に読んでほしい。PMBOKの形式的な知識に魂が入るだろ。
目次
第1章 チームのパフォーマンスとプロマネの「責任」
第2章 チームの特徴と本質について考える
第3部 言葉のパワーとメンバーのモチベーション
第4章 チームとしてのパフォーマンスを向上させる
第5章 組織が提供すべきサポートとは
第6章 「本物」のプロジェクトマネジャーになる
付録 現場の生の声
モチベーションが上がった言葉----信頼関係が言葉にパワーを与える
モチベーションが下がった言葉----チームを壊すその「ひと言」
部下に対して不満を感じるとき----上司には上司の見方・考え方が
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