PMstyle 2024年4月~6月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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PMスタイル考 Feed

2020年5月11日 (月)

【PMスタイル考】第169話 能動的なレジリエンスを呼び起こす

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◆はじめに
 
コロナウィルスもだんだん、性格が分かりつつあるが、2か月くらい前には非常に不気味なもので、いつまで影響が続くか分からないような感じだった。そのころに、どういうスタンスを取ろうかと考えているときに、ふと思いだしたのがレジリエンスだった。
 
それで、何本かレジリエンスに関する記事を書いたのだが、それに対して反応はレジリエンスって、結局、置かれた境遇を如何に乗り切るかということだろうという反応が多かった。これは「もとに戻る」のがレジリエンスだという思い込みがあるからだ。
レジリエンスという英語の意味には、回復、復元、再起といった意味以外に、跳ね返り、弾力という言葉がある。レジリエンスに取り組む分野にもよるのだろうが、少なくともビジネスにおけるレジリエンスは跳ね返りや弾力といった意味の方が強い。
 
そこで、今回のPMスタイル考は、跳ね返りや弾力をイメージしたビジネスのレジリエンスという概念について思うところを述べてみたい。キーワードは倍返しだ。

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2020年4月24日 (金)

【PMスタイル考】第168話 プロジェクトにおけるパーパスの探し方

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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◆はじめに
 
第157話で「パーパス・ドリブンのプロジェクトマネジメント」という記事を書き、その中でパーパス(存在意義)について概要を説明した。
 
【PMスタイル考】第157話:パーパス・ドリブンのプロジェクトマネジメント
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2019/09/post-7444.html
 
パーパスの話をすると、雰囲気は分かるがどんなメリットがあるのかということをきかれることが多い。また、プロジェクトマネジメントにおいてパーパスと目的はどう異なるのかという疑問を投げられることも多い。
 
今回のPMスタイル考はこのあたりを明確にしながら、もう少し、パーパスについて掘り下げて考えてみたい。

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2020年3月27日 (金)

【PMスタイル考】第167話 失敗に対する認識を改める~機会コストが失敗コストを上回る時代

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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◆はじめに
 
メールマガジン「PMstyle+」も本号で300号になるので、PMstyle考にもなにか少し大きな話を書いてみようと思ってたどりついたのが、失敗の話である。
 
日本でもアジャイルプロジェクトマネジメントが注目されだしたあたりから、失敗に対する評価を変えようという話をよく聞くようになってきた。実際に、そのような取り組みをして、ずいぶん失敗に寛容だなあと感じる組織もある。先日、ある知人から聞いた話だが、そのような取り組みの成果が出ていないという相談を受けた。曰く「失敗を許容するようなプロジェクト制度と評価制度を創ったのに、失敗が増えないし、イノベーションも生まれない」。
 
結構、同じような話を聞く。
 
なぜだろうかと考えたときに、失敗に寛大になるのは精神論で、必然がないと考えているリーダーが多いのだ。これは、失敗に対する「望ましくないこと」だという認識が変わっていないためだと思われる。
 
実はこの話は精神論ではない。そういう世の中になる節目にあるし、それを理解し、取り込んでいくことがVUCA時代に対応する必須条件でもある。
 
今回のPMスタイル考はこの話題を取り上げてみたい。

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2020年3月10日 (火)

【PMスタイル考】第166話 VUCAはP-D-Rでマネジメントする

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◆リーダーの苦悩
 
6年前のPMスタイル考で、P-D-Rの記事を書いた。
 
 
これは、2014年に実施した公開セミナー
 
 
で話をしようと思って、事前に紹介しておきたいと思って書いた記事だ。この当時は、プロジェクト管理の分野かどうかはともかく、P-D-Rは2~3年のうちにPDCAに代わる考え方として日本でも普及してくると思っていた。
 
P-D-R Prep-Do-Review の略であり、バーバードビジネススクールのリンダ・ヒル教授が2011年に発表したものである(以下、PDRと表記する)。ちなみにリンダ・ヒル教授は日本では
 
ハーバード流 逆転のリーダーシップ」(日本経済新聞出版社、2015)
 
などのリーダーシップ論で知られているが、その研究の中で多くのリーダーは時間不足に悩まされていることに気がついた。上司としての仕事、例えば、目標達成への働きかけ、人材育成、チーム・ビルディング、ネットワークの構築と維持などをいつ行うのか、そしてその時間をどのように捻出するかは多くのリーダーの共通の悩みだった。
 
この問題に対して、リーダーたちは日常業務と管理業務を区別し、優先順位付け、権限移譲などといった手法で解決をしようとするのだが、なかなかうまく行かないのが実情である。

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2020年2月26日 (水)

【PMスタイル考】第165話 成果物はプロジェクトの目的ではなく、目的実現の手段である

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◆プロジェクトを目的だと考える人は意外と多い
 
前回、「プロジェクトは工場かアートか」という問題提起で記事を書いたところ、プロジェクトは目的なのかという意見を頂いた。今回のPMスタイル考はこの問題について議論したい。
 
 
プロジェクトを目的だと考えている人は意外と多い。分からなくはないが、結論をいえばそうではない。
プロジェクトは「成果物」を生み出すことによって、あるいは、「目標」を達成することによって、「何か」実現するために行う。「何か」がプロジェクトの目的であり、その実現の仕方は自由である。どのような目標を設定してもよいし、また、マネジメントもPMBOK(R)でもいいし、P2Mでもいい。極論するとマネジメントをしなくてもいい。
 

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2020年2月12日 (水)

【PMスタイル考】第164話 プロジェクトは工場かアートか

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◆プロジェクト区分
 
これまでいろいろと試行錯誤してきた問題に、プロジェクトの性格つけがある。プロジェクトの性格の区分は、区分によってプロジェクトマネジメントの考え方や手法が変わってくるので、プロジェクトマネジメントの前提であり、ポイントだともいえるが、VUCA時代に適した区分はなかなか悩ましい問題である。
 
例えば、2011年に上梓した著書
 
プロジェクトマネジメントの基本」(日本実業出版社)
 
では
 
・業務革新プロジェクト
・機能別革新プロジェクト
・経営企画プロジェクト
 
と区分しているし、また、メルマガ等でよく使っているのは
 
・イノベーションプロジェクト
・改善プロジェクト
 
という区分である。VUCA時代を迎えて、これ以外にも何種類か区分の方法を試みているが、一長一短でこれというのがなかったのだが、最近、若宮和男さんが書かれた
 
 
を読んでいて、ひょっとするとプロジェクト区分の決定版になるのではと思ったのが、
 
・工場
・アート
 
という区分だ。この本ではプロジェクトについてこのような区分をしているわけではなく、もう少し大きく、パラダイムとしてこのような区分ができると主張している。これは、
「工場パラダイムは「おなじ」が価値になり、アートパラダイムは「ちがい」が価値になる」
という考え方だ。
 

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2020年1月28日 (火)

【PMスタイル考】第163話 OKRにおける目標と目的

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◆MBOの限界
 
この数年、Googleやfacebookなど、シリコンバレーの成長企業が取り入れていることで話題になっている「OKR」について調べる機会があって、ウェブと調べたり、何冊か本を読んだりした。今回のPMスタイル考は、OKRの目的と目標、そしてパーパスとの関係について考えてみたい。
 
OKRとは、
 
Objectives and Key Results
 
の略称で、新しい目標管理の方法と位置付けられている。目標管理というとMBOと呼ばれるものが広く普及しており、大手企業であれば導入している企業が多い。MBOは、Management By Objectiveの略で、共通の目的を達成するための仕組みで、従業員が自律的に目標を設定することを基本としている。
 
しかし、実際にはあまりうまく行っていないケースが多い。
 
典型的なケースは、以下のように目標が形骸化しているケースだ。部下は期の初めに、その場しのぎの目標を立てる。上司は多くの部下の目標をみる必要があるので、精査せずに承認する。こういう設定をするので、目標の内容が曖昧だったり、不適切だったりする。半期が過ぎて人事評価としてフィードバックの要請があり、上司は部下の目標を覚えていないし、部下も目標設定したときとは状況が変わっており、目標が現実に合っていないことに気がつくというものだ。
 
MBOのObjectiveは目標であり、MBOを直訳すると、目標によるマネジメントということになる。実際、MBOの制度は目標によるマネジメントを目指しているわけだが、現実は形骸化をはじめとして、うまく行っていないケースが多い。なぜだろうか。
 

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2020年1月14日 (火)

【PMスタイル考】第162話:ワンチーム~本質は文化の構築

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◆ワンチームとは
 
昨年の流行語大賞は「ワンチーム」だった。このテーマはラグビーワールドカップで大活躍したジャパンが、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ就任後はじめての欧州遠征のチームを編成したときに、15年W杯代表が12人で、初代表は17人であり、新旧メンバーが混在する中で「一体感のある組織を目指そう」と選手らも加わって決めたものだという。
 
流行語大賞を受賞していからは、テレビ番組はもちろん、ビジネスの場でもこの言葉をよく耳にするようになってきた。これに対して、当事者のジャパンの選手たちは違和感もあるようだ。例えば、日本代表の堀江翔太選手は
 
「言葉を使えばワンチームになれるというわけではない。どういうふうにワンチームにするかが大事。中身をしっかり考えて使ってほしい」
 
というコメントをしている。今回のPMスタイル考は久しぶりにチームについて議論してみたい。
 
 

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2020年1月 6日 (月)

【PMスタイル考】第161話:「役に立つ」から「意味がある」へ

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Imi3

◆センスメイキング元年
 
2019年の第1号でセンスメイキングの話をした。
 
【PMスタイル考】第143話:ソリューションからセンスメイキングへ
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2019/01/post-8d6e.html
 
この記事では、クリスチャン・マスビアウが「センスメイキング」という著書で主張している、問題解決には問題を解決すること自体が「役に立つ」活動と、漠然とした課題に対して活動の「意味付け」をすることによって課題解決を図る方法があるという指摘を取り上げた。前者はソリューションと呼ばれ、後者がセンスメイキングであるが、マスビアウはこれからの時代は圧倒的に後者、すなわち、「意味付け」の方が重視されていくだろうとしている。
 
クリスチャン・マスビアウ(斎藤栄一郎訳)「センスメイキング」、プレジデント社(2018)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833423065/opc-22/ref=nosim
 
2019年は1年、「役に立つ」から「意味あある」へという流れで、いろいろな記事を書いてきたが、2020年を迎えるに当たって整理しておきたい。

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2019年12月13日 (金)

【PMスタイル考】第160話:今の時代はスキルは5年で失われる、あなたならどうしますか?~コンセプチュアルに学習しよう

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Gakusyu

◆「応援される人間」になる
 
ネットニュースを見ていたら「今の時代はスキルは5年で失われる」ということを書いた記事を目にして、確かにそうだなと思った。
 
「スキルを極めても、技術革新で必要なくなることもある。今の時代、スキルは5年で失われる」
https://r25.jp/article/752115683827833856
 
この前提で、今後重要性が増すのが「応援される人間」になること、すなわち、「あの人と働きたい」「あの人が手掛けているサービスを使いたい」と思われるような存在になることが大切だとしている。
一つの例として、すし職人を上げている。

「高性能な寿司ロボットと、30年修行した寿司職人、どっちが握った寿司を食べたいか」と聞かれたら、ほとんどの人が後者を選ぶだろう。つまり、「寿司を握る」という機能は同じでも、修業を重ねた歩み、つまりは時間に意味を感じるからだ」という。
 
この議論自体は、ホリエモンが「寿司職人が何年も修行するのはバカ」という発言をしたのに対して、いろいろな人が反論した中によく出てきた主張で、どちらが正しいとも言えない議論だと思うが、今回考えてみたいのは、その前提になっているスキルが5年でなくなるとすれば、本当に「応援される人間」が有効なのかという問題だ。

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