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2020年4月24日 (金)

【PMスタイル考】第168話 プロジェクトにおけるパーパスの探し方

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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Purpose11

◆はじめに
 
第157話で「パーパス・ドリブンのプロジェクトマネジメント」という記事を書き、その中でパーパス(存在意義)について概要を説明した。
 
【PMスタイル考】第157話:パーパス・ドリブンのプロジェクトマネジメント
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2019/09/post-7444.html
 
パーパスの話をすると、雰囲気は分かるがどんなメリットがあるのかということをきかれることが多い。また、プロジェクトマネジメントにおいてパーパスと目的はどう異なるのかという疑問を投げられることも多い。
 
今回のPMスタイル考はこのあたりを明確にしながら、もう少し、パーパスについて掘り下げて考えてみたい。
 

◆プロジェクトにおけるパーパスと目的の違い
 
まず、プロジェクトにおけるパーパスと目的はどう違うのかということを明確にしたい。プロジェクトにおいては、成果と成果物があり、
 
成果:目的(パーパス)の実現で得られる
成果物:目標の達成で得られる
 
という関係があることは、第158話で述べた通りだ。
 
【PMスタイル考】第158話:プロジェクトの成果と成果物
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2019/10/post-f682.html
 
目的にしろ、パーパスにしろ、プロジェクトからみれば、成果の実現のための基準になるものである。これを前提にして、プロジェクトの目的とパーパスの違いは
 
目的:事業にとってのプロジェクトの存在意義
パーパス:経営にとってのプロジェクトの存在意義
 
だと考えられる。
 
簡単にいえば、プロジェクトの目的は事業管理者(いわゆるプロジェクトの上位管理者)が事業上、なぜそのプロジェクトをやるのかを考えて決める。つまり、事業にとっての存在意義がプロジェクトの目的だ。プロジェクトのベネフィットそのものだといってもよいだろう。
 
これに対して、プロジェクトのパーパスは、経営にとっての存在意義である。言い換えれば、経営層や管理者にとっての存在意義はもちろんだが、プロジェクトリーダー、メンバー、顧客など、すべてのステークホルダーにとっての存在意義なのだ。これは、ベネフィットを超えるものである。
 

◆ベネフィットだけではプロジェクトが成り立たない時代
 
ベネフィットだけに推進されるプロジェクトはだんだん、成り立たなくなっている。これからはますます、そうなっていくだろう。
 
第161話で2020年はセンスメイキング元年になるだろうという趣旨の記事を書いたが、これから「役に立つ」は求められなくなる。その代わりに「意味がある」が求められるようになっていくということだ。
 
【PMスタイル考】第161話:「役に立つ」から「意味がある」へ
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2020/01/post-f031.html
 
これをプロジェクトの世界で考えてみると、ベネフィットを求めてプロジェクトを実施する時代は終わり、意味を求めてプロジェクトをやる時代になってきたということだ。言い換えると、すべてのステークホルダーがプロジェクトをやる意味があると考えることがプロジェクトの成功のためには不可欠だ。
 
プロジェクトに意味を持たせるためには、すべてのステークホルダーがそのプロジェクトの成果の意義を見出せる必要がある。これまでは会社は収益を追いかけ、従業員はより高い報酬を求める。そしてそれを管理職が調整するというやり方をしていたが、そんな時代は終焉しつつある。
 
これから必要なのは、すべてのステークホルダーがプロジェクトの成果に意味を見出せることであり、これこそがパーパスなのだ。
 

◆レベッカ・ヘンダーソン教授の指摘
 
これが、パーパスを導入することになんの意味があるのかという疑問に対する答えだといってもよい。プロジェクトの目的は収益向上のためだが、パーパスは収益向上を目的とするものではない。プロジェクト成果を意味のあるものにしていくために不可欠なのだ。
 
ただし、ここで気をつける必要があるのは、パーパスには2種類があることだ。この指摘をしたのは、ハーバード・ビジネススクールのレベッカ・ヘンダーソン教授である。ヘンダーソン教授は著書「Reimagining Capitalism in a World on Fire」において、パーパスには
 
(1)従業員の間に仲間意識を育み、家族的な雰囲気を醸成するために用いられるパーパス
(2)従業員一人ひとりが「なぜ」この仕事に取り組むのかという意義を示し、組織のミッションと合致させるために用いられるパーパス
 
の2種類があるとしている。そして、興味深いのは、(1)のようにパーパスを活用している組織は収益は、(2)のようにパーパスを活用している企業が結果として競合を上回る収益を上げているという研究結果だ。
 
その理由としてヘンダーソン教授は
 
「常に改善を重ね、従業員に敬意を持って誠実に向き合い、協力してチームを運営し、単に定量的な評価基準ではなく、真の意味での成果に基づいた評価を推進している」
 
という指摘をしている。
 

◆意味を実現するパーパス
 
意味を求めるためには、どちらのパーパスの用い方でもよいように考える人もいるかもしれない。特に日本の企業はパーパスという意識はなくても、暗黙のパーパスを持ち、(1)の使い方をしている企業が少なくない。
 
しかし、(1)でステークホルダーが納得する成果が得られたと考えるのは家族的な雰囲気による錯覚であり、それぞれのステークホルダーが意味を感じるものにはなりにくいだろう。特に、収益がパーパスである上位管理者が意味を感じることはないだろう。
 
そこで、パーパスは(2)の使い方を前提にしたものを策定していく必要がある。これはパーパスは分かりやすいという理由で、表面的で定量的なものであってはならないということを意味する。本質的な成果は何かを見極め、その実現がプロジェクトの意味を与えるようなパーパスを決める必要がある。
 
意味のある成果を求めてプロジェクトに取り組むには表面的な成果になるようなパーパスではだめだ。そもそも、経営層とメンバーが表面的なプロジェクトの存在意義で合致することはないだろう。そこを統合しなくてはならのだ。
そのためには、それぞれのステークホルダーが考えるプロジェクトの意義は要求に過ぎない・要求に対して、なぜ、そのように考えるのかという本質を考え、統合できるところまで深堀りし、統合していかなくてはならない。
 

◆パーパスの例
 
例えば、特定の顧客のために情報システムを開発するプロジェクトを考えてみよう。プロジェクトの目的は、収益を上げる、あるいは顧客満足を高め、信頼関係を構築するである。これは、なぜ、このプロジェクトをやるのかの明確な答えになる。
 
しかし、これは事業にとってのプロジェクトの存在意義であり、パーパスにはなりにくい。プロジェクトリーダーはどこの企業も実現していないような新しい仕組みを創るシステムを提供したいと考えていた。メンバーの一人は、新しい技術を使いたいと考えていたし、別のメンバーは顧客の想いを大切にしたいと考えていた。顧客の責任者は今回のIT投資で新たな市場へアプローチしたいと考えていた。
 
パーパスはこのようなステークホルダーにとってのプロジェクトの意味を統合して創る。そのために、それぞれの考えるプロジェクトの意味に対して、WHYで掘り下げていき、共通点を探していく。例えば、
 
・新しい仕組み作り
 → 競合ができないビジネスプロセスを実現する
  → 顧客が競合に勝つ(※)
・新しい技術を使う
 → 顧客に新しいものを提供したい(※)
  → 世の中に自分の技術をアピールしたい
・新たな市場を開拓したい
 → 売上げを増大したい(※)
・顧客満足を高めたい(※)
 → 顧客の信頼関係を強くしたい
  → 今後の売り上げを増やしたい
 
といった掘り下げを行ったとしよう。これらの結果を踏まえ、(※)の部分で統合し、例えば、
 
「顧客のビジネスを成功させる」
 
をパーパスを設定することができる。
 
このように、各ステークホルダーにとってのプロジェクトの存在意義を掘り下げていき、統合できるポイントを見極めて、本質としてパーパスにしていく。このようなパーパスを持つことによって、意味のあるプロジェクト成果を生み出すことができる。
 
 

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3.成果と成果物を明確にし、プロジェクト目的と目標を決める
<第2日>
4.シナリオからプロジェクトコンセプトを創る
5.成果を実現する本質要求を見極める
6.成果物を実現する本質目標を決定する
7.環境変動時のプロジェクトマネジメントの対応
8.VUCA時代に求められるプログラム&プロジェクトマネジメント
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