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2019年11月14日 (木)

【PMスタイル考】第159話:マネジメントをコンセプチュアルにしよう

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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◆管理とマネジメントの違い
 
プロジェクトマネジメントが日本でも注目されるようになってきた2000年くらいには、それまでやっていた「プロジェクト管理とプロジェクトマネジメントはどう違うのか」という質問をよく受けたが、今でも管理とマネジメントはどう違うのかと聞かれることがある。英語では管理とマネジメントは、controlとmanagementであるが、辞書を引くとmanagementの日本語には管理という言葉があてられていることから混乱するのだろう。
 
当時からずっと言っていることが一つある。それは
 
「管理は見える化して何とかすること。マネジメントは管理に加えて見えないものを何とかすること」
 
だ。

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2019年10月28日 (月)

【PMスタイル考】第158話:プロジェクトの成果と成果物

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◆PMBOK(R)における成果と成果物

 今回のPMスタイル考は、プロジェクトの成果と成果物はなにかという議論をしてみたい。プロジェクトマネジメントの本質に関わる議論である。
 
まず、PMBOK(R)から見ていこう。PMBOK(R)では成果物は「Deliverable」の訳であり、ガイドの第6版では用語集では
 
「プロセス、フェーズ、またはプロジェクトを完遂するために生成することが求められる固有で検証可能はプロダクト、所産、またはサービス遂行能力」
 
と定義されている。
 
一方、成果は「outcomes」の訳であるが、用語集に示される明確な定義はない。また、ガイド中でもその意味は曖昧な部分があるが、意味合いを推察してみよう。
 
まず、成果の例としては
 
・ギザのピラミッド
・ポリオワクチン
・オリンピック
・子供向けの本の出版
・民間ジェット機の開発
・人類の月面着陸
 
といったものが例示されている。ここで注意すべきことは、ギザのピラミッドやポリオワクチンはモノであるが、オリンピックや出版、開発、月面着陸などはものではなくコトであることだ。これらを併せて所産と称している。
 
PMBOK(R)ガイドの中でプロジェクト成果に関連する記述を洗いだしてみると、本記事の最後に掲載している<参考:プロジェクト成果に関する記述>のようなものがある。これを見ていると気づくことは、成果という言葉は非常に広義に使われており、プロジェクトの成果だけではなく、プロジェクト中での各フェーズや各プロセスのアウトプットも成果だと表現しているようだ。
 
 
 

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2019年9月26日 (木)

【PMスタイル考】第157話:パーパス・ドリブンのプロジェクトマネジメント

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◆目的工学の誕生
 
日本でいち早く、パーパスの重要性を提唱したのは、多摩大学の紺野登教授が代表を務められる目的工学研究所だ。紺野先生によると、目的工学とは
 
「イノベーション・新規事業のためのプロジェクトマネジメントの1つの手法であり、従来の工学では所与である目的をエンジニアリングするのが目的工学だ」
 
とのことだ。通常のプロジェクトでは、技術ありきで、目的を考えないからこのような提言をしているそうだ。
 
そして、目的工学研究所はそのための基盤になる組織で
 
「目的に基づく経営、目的を媒介にしたイノベーション プロジェクトマネジメントなどを対象に「目的工学」を研究・実践する」
 
ことを目的としている。その活動方針や目的(パーパス)は2013年に出版された
 
紺野 登、目的工学研究所「利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか」、ダイヤモンド社(2013)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478010080/opc-22/ref=nosim
 
に述べられている。ちなみに、この本はパーパスについて的確に述べられており、日本のパーパスマネジメントの原点ともいえる本である。
 
 

◆注目されはじめたパーパス

それから5年後の今年、ダイヤモンドハーバードビジネスレビューの2019年3月号で「パーパス」が特集として取り上げられた。目的工学の提唱ののち、イノベーション以外でもも経営戦略やブランディングの中でパーパスが注目されるようにはなってきたが、ハーバードビジネスレビューの特集になったのはかなり唐突感があった。
 
「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2019年 3 月号
 (PURPOSE(パーパス)会社は何のために存在するのか/あなたはなぜそこで働くのか)」
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07MPK2J87/opc-22/ref=nosim
 
パーパスは、企業のビジョンやミッションを定義するための根幹となる概念である。欧米の先進企業では、パーパスを明確に打ち出し、それを軸にしてコンセプト、戦略、社員の行動様式まですべてを統一するようになってきた。これは、「パーパス・ブランディング」と呼ばれるアプローチで、DHBRの特集でもBIOTOPE代表の佐宗邦威さんの
 
「パーパス・ブランディングを実践するために組織の存在意義をデザインする」
 
というタイトルの記事が掲載されており、分かりやすく実践法を解説している。この記事の中でもいくつかの企業のパーパスが紹介されている。
 
例えば、テスラ社の
 
「持続可能なエネルギーへのシフトを世界中で加速させる」
 
やメルカリの
 
「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」
 
といったものがパーパスの例として挙げられている。世界でいち早くパーパスを定めたとされるのはP&Gで、
 
「自社製品に最高のクオリティーと価値を与え、世界中の顧客のニーズを満たす」
 
といったものだ。
 

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2019年9月18日 (水)

【PMスタイル考】第156話:VUCAの本質とリーダーシップ

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◆はじめに

PMスタイル考の154話で
【PMスタイル考】第154話:VUCA化するビジネスやプロジェクトをマネジメントする
 https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2019/07/vuvca-a142.html
という記事を書いた。

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この記事でも書いているように、VUCAは
「Volatility」(変動性:変化が激しく不安定)
「Uncertainty」(不確実性:問題や出来事の予測がつかない)
「Complexity」(複雑性:多数の原因や因子が絡み合っていること)
「Ambiguity」(曖昧性:出出来事の因果関係が不明瞭で前例もない)
の頭文字をとった言葉(概念)で、この5年くらい、ビジネスの世界でもこういう現象が目立つようになってきている。VUCAを一言でいえば、
「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状態」
だといえる。
今回のPMスタイル考は、このような状況においてだんだん増えてきている「VUCA時代をいかに生き抜くか」という議論を調査し、少し整理してみたい。

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2019年8月16日 (金)

【PMスタイル考】第155話:プロジェクトリーダーの意思決定は総合的にしか評価できない

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◆リーダーの役割はメンバーのできないことやメンバーがやらないことをやること

今回のPMスタイル考は、古くて新しい問題である、プロジェクトリーダーの意思決定の問題を考えてみたい。なぜ、こういう記事を書こうと思ったかというと、あるプロジェクトリーダーと話をしていて、「2つの意見のどちらが正しいか判断できないときには、専門的な議論になるので、メンバーに話し合いをさせて決めてもらう」といったくだりがあり、違和感を感じたからだ。

この記事でもっとも言いたいことを最初に書いておくと、リーダーの役割は「メンバーのできないことやメンバーがやらないことをやること」だ。

ここで専門家であるメンバーが判断できないことをあまり詳しくない自分が判断できないと思うリーダーが少なからずいると思う。このように感じる理由は、どういう事情があるにせよ、メンバーの実務の詳細に口をはさんでいるからだ。

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2019年7月26日 (金)

【PMスタイル考】第154話:VUCA化するビジネスやプロジェクトをマネジメントする

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◆はじめに

PMスタイル考の148話、149話で、主観や直観の重要性を議論した。

【PMスタイル考】第148話:直感や主観こそがイノベーションを生み出す
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2019/04/post-9cd5.html

【PMスタイル考】第149話:プロジェクトマネジメントにおける主観や直観の活かし方
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2019/04/post-1008.html

この記事の中ではあまり明示的に書いていないが、主観や直観の重要性の背景にあるのが、社会やビジネス、プロジェクトの「VUCA化」である。

そういう認識で、今年は「VUCA」の話を頻繁に議論しているが、時々、「VUCAって結局、なんですか」とか「時代がVUCAという認識は妥当なのですか」といった根本的な質問を頂くことがある。

そこで、一度、VUCAについて整理し、VUCA時代のビジネスやプロジェクトのマネジメント方法を考えてみたいと思う。

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2019年7月11日 (木)

【PMスタイル考】第153話:ビジョンを明確にし、問題を創る

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◆ナレッジワーカーの仕事

ナレッジワーカーという人材の概念がある。ナレッジ(知識)とワーカー(労働者)を組み合わせた造語で、日本語では知識労働者とも呼ばれる。40年以上前に、ピーター・ドラッカーが提唱した概念だとされている。

ドラッカーがナレッジワーカーと呼んでいるのは、知識による経済活動を根本から支える高度な専門知識をもつ労働者のことだ。一般的な認識としては、専門知識を使って問題解決をすることによって、新しい価値を生み出すことにもっとも大きな役割であり、さまざまな分野で知識を使った問題解決する仕事をしてきた。あるいは、問題状況において課題を見つけ出し、解決することを仕事としてきた。

しかし、ここにきてナレッジワーカーの仕事が変わり始めているように見える。役割が変わってきたといってもよいような大きな変化が起ころうとしている。今回のPMスタイル考はこの話をしてみたい。

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2019年6月26日 (水)

【PMスタイル考】第152話:戦略的に働き方を決める

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◆働き方改革でビジネスのサイクルが鈍る

今回のPMスタイル考は働き方の問題をテーマに取り上げてみたい。

働き方改革が言われるように、もう2~3年になる。確かに、残業が減ったといった声はあるが、生産性が上がったという声はあまり聞こえない。むしろ、よく耳にするのは、残業は減ったがビジネスのサイクルが遅くなったという話だ。要するに、生産性が向上していないわけだ。

プロジェクトマネジメントでも最近よく聞くのは、顧客やステークホルダーとの納期交渉をするに当たって、ステークホルダーを満足させつつ、納期をできるだけ遅くしてもらうにはどうしたらよいだろうかといった話だ。

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2019年5月31日 (金)

【PMスタイル考】第151話:コンセプチュアルスキルがマネジメントのクオリティを向上させる

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◆習熟度、コンピテンシー、ヒューマンスキル、センスといった説明

マネジャーとして同等な知識を持っている人のマネジメント行動が大きく違うことは珍しいことではない。なぜだろうか?

マネジャーとしての知識というのは非常に多様なので、プロジェクトマネジャーに限定して議論しよう。こちらは知識は明確だ。米国、欧州、日本など、地域によっていくつかの流儀はあるが、体系は違うが内容はほとんど同じだ。たとえば、PMBOK(R)を知っている人、もっと限定すればPMP(R)の資格を持っている人と限定してもよいが、プロジェクトマネジャーとしての行動は異なるし、当然のことながら成果も違っている。

この違いを表すのにさまざまな説明がされている。たとえば、習熟度、リーダーシップ、コンピテンシー、ヒューマンスキル、センスなどほんとうにさまざまだ。それぞれの範囲も曖昧なのである要素の概念は合間であるが、いずれも妥当な要素であるし、ある程度違いの説明にもなっている。

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2019年4月26日 (金)

【PMスタイル考】第150話:プロジェクト型の仕事は、新しいモノ/サービスを創造する

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◆プロジェクトに分権化される時代

PMスタイル考も今回で150回になる。今回のPMスタイルはプロジェクトに関してマクロなことを考えてみたい。テーマはプロジェクトやプロジェクトマネジメントはこれからどうなっていくかだ。

平成の30年間でさまざまな仕事が分権化され、プロジェクトとして切り分けて実施されるようになってきた。この傾向はこれからも続いていくだろう。特に、プロジェクトスタイルの本家である米国では、この20年くらいの間でフリーエージェントに代表される「ギグエコノミー」が本格的になり、ギグエコノミーでプロジェクトが実施されることが一般的になりつつある。

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