PMstyle 2026年3月~6月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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2012年11月30日 (金)

【PMスタイル考】第58話:イノベーションの視座

Life◆技術ライフサイクル

フューチャーセンターのムーブメントを見ていると、イノベーションの立ち位置がどんどん変わってきていることを実感させられます。

一昔前はイノベーションというと、技術イノベーションを意味していました。もちろん、今でも技術のイノベーションというのはあるわけですが、ビジネスチャンスとして注目されるのが技術のイノベーションからほかに移っています。

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2012年11月 9日 (金)

【PMスタイル考】第57話:感情労働としてのマネジメント

Emotion◆感情労働とは

感情労働が注目を浴びるようになってきました。「感情労働シンドローム」を書いたエッセイストの岸本裕紀子さんは、感情労働を

人を相手にしたシチュエーションで、業務上適切な感情を演出することが求められる仕事

だと定義されています。このような仕事では、気持ちの管理・抑制にポイントを置いた精神的な労働が求められます。感情労働に関する研究は、1970年代に米国で始まり、その対象になったのは、キャビンアテンダントでした。その後、看護師などに対象が広がりました。また、サービス業も感情労働の対象だと考えられるようになってきました。

このような定義をすると、多くの仕事は感情労働とみなすことができます。実際に、この本では、教師とか、営業、NPOなどの仕事を感情労働として、その特性を分析しています。

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2012年10月23日 (火)

【PMスタイル考】第56話:コントロールを手放す

◆オープンリーダーシップとは

Open_leadership周囲にもfacebookを使う人が増えてきて、ソーシャルネットワーク花盛りという感じですが、ソーシャルネットワーク時代に注目されているリーダーシップに「オープンリーダーシップ」があります。

オープンリーダーシップという概念そのものは、そんなに新しいものではないと思われます。リーダーシップの原典の一つであるマクレガーのいうY理論「人間は本来進んで働きたがる生き物で、自己実現のために自ら行動し、進んで問題解決をする」にきわめて近いものです。

もう少し正確にいえば、現実の世界では、「人間は本来なまけたがる生き物で、責任をとりたがらず、放っておくと仕事をしなくなる」というX理論とY理論をケースバイケースで使い分けています。ところが、インターネットやソーシャルネットワークの発達でX理論による統制はだんだん難しくなってきており、Y理論が常に求められるような世界になっています。このような世界に求められるリーダーシップを、改めてシャーリーン・リーが「オープンリーダーシップ」と呼んだのが注目されるようになったようです。

その意味で、オープンリーダーシップはY理論に基づくリーダーシップの再定義であるといえます。

さて、シャーリーン・リーはオープンリーダーシップを以下のように定義しています。

「オープンリーダーシップとは、謙虚に、かつ自信を持ってコントロールを手放すと同時に、相手から献身と責任感を引き出す能力を持つリーダーのあり方」

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2012年10月 9日 (火)

【PMスタイル考】第55話:スタイルについて考える

Style1◆プロジェクトマネジメントとスキル

PMスタイルは、プロジェクトマネジメントのスタイルという意味です。プロジェクトマネジメントと一般的なマネジメントの違いの一つは、プロジェクトマネジメントはかなり体系的に手法が確立されている点です。

現代のプロジェクトマネジメント(モダンプロジェクトマネジメント)が拠り所にしているのは、オペレーションズリサーチです。オペレーションズリサーチは、数学的・統計的モデル、アルゴリズムの利用などによって、さまざまな計画に際して最も効率的になるよう決定する科学的技法です。たとえば、スケジュール作成で使われているPERT手法はオペレーションズリサーチの代表的な手法です。

PMBOK(R)のツールと技法を見てみると、このようなOR手法が多く取り入れられており、それらの手法を使ったマネジメントプロセスを体系化し、プロジェクトマネジメントの体系としています。

このような背景があり、プロジェクトマネジメントは、一連のプロセス、あるいは、スキルの集合体のようなイメージを持つ人が多いようです。まず、この点について考えてみましょう。

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2012年9月25日 (火)

【PMスタイル考】第54話:フューチャーセンターとプロジェクト

◆さまざまな対話手法
Mirai1
「フューチャーセンター」なるものがブームになりつつあります。

この5年くらいで見ると、ファシリテーションのブームで対話に対する関心が高まり、より大規模な対話をしたいというニーズが強くなり、ホールシステムアプローチが注目されるようになりました。ホールシステムアプローチの代表はワールドカフェで、そのほかにもオープンスペーステクノロジー(OST)、AI、フューチャーサーチなど、続々と新しい手法が活用されるようになってきました。

これらの手法が組織開発を主たる目的にしているのに対して、イノベーションを目的とする対話手法も登場してきました。それが、フューチャーセンターです。

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2012年9月18日 (火)

【PMスタイル考】第53話:プロジェクトのコンセプトとデザイン

Concept3◆デザインという言葉の意味

デザインという言葉が市民権を得てきました。デザインという言葉は、典型的なカタカナ英語の一つで、従来、分野によってその意味するところが微妙に異なる言葉でした。

美術工芸品・工業製品などの世界では、形・色・模様など、いわゆる「意匠」という意味でデザインという言葉は使われています。図案という言い方をすることもあります。一般的にもこの意味がもっとも通りがよいのかもしれません。

技術の世界では、機能、方式、構成などの「設計」の意味で使われます。この場合、意匠と比べると、抽象度の高い使い方になります。この世界では、デザインという言葉より、設計という言葉の方が通りがいいようで、設計というと、機能の設計を意味することが多いように思います。

デザインという言葉は、何かを決めること、つまり、意思決定ですが、工夫をめぐらすというニュアンスが強くあるように思います。工業製品で使う意匠という言葉は、意も匠もそういうニュアンスの言葉で、含蓄があります。モノの形を決めるというのは、単に形状を決めているだけではありません。たとえば、カトラリー(洋食器のうちナイフ、フォーク、スプーンなどの金物類)を考えてみるとよく分かります。デザインは形と機能を決めます。そして、形は性能を構成しています。賛否はあるようですが、先割れスプーンなどはその典型だといえるでしょう。

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2012年9月11日 (火)

【PMスタイル考】第52話:イノベーションを活性化する組織のリスクマネジメント

Risk1◆リスクの構造

組織のリスクマネジメントに取り組んでいる企業の多くは、プロジェクトのリスクマネジメントの支援をすることを中心的な役割にしています。簡単にいえば、リスク計画のレビューや、リスクチェックリストの提供などです。これは適切なマネジメントなのでしょうか。今回はこの問題を考えてみます。

リスクの構造というのは

根本原因 → 脅威 → (リスク) → 損失

という構造になっています。よく使われる漏電による火事の例でいえば

根本原因:漏電
脅威:漏電部分の近くに引火物がある
リスク:引火物が火事を起こす(確率)
損失:火事

という構図でとらえます。

プロジェクトリスクマネジメントでは対応策は、回避、緩和、受容などを取ります。受容はなにもせずに火事が起こってから対応するための準備だけをしておくことです。たとえば、火事が発生したときに消火手順を決めておくといったことです。緩和は火事が起こってもそのダメージが小さくなるように対応することで、たとえば、消火器を準備しておくなどの対応策が考えられます。

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2012年8月15日 (水)

【PMスタイル考】第51話:技術によるイノベーションは終わったのか?

Design1◆技術によるイノベーション

イノベーションブームの中で、技術によるイノベーションの時代は終わった。コンセプトの時代だと盛んに言われるようになっています。そして、イノベーションの対象はビジネスモデルに変わってきたと言われます。今回はこの問題について考えています。

まず、技術によるイノベーションとはなんだったのかについて考えてみましょう。この30年間くらいを考えて、もっともイノベーションが起こった分野の一つは、情報技術です。僕が仕事を始めたころに、空調がきいた部屋一杯に置かれていたコンピュータが、パソコン一つになり、さらにはネットワークでつながっているわけですので、大変な革新です。

これは技術の進歩によってもたらされたイノベーションです。プロセッサーの高速化、半導体の集積密度の向上、記憶デバイスの大容量化、ファームウェア技術の進化、基本ソフトウエアの進化など、あらゆる分野の技術のイノベーションがもたらした結果です。

このような産業の成長の中で、いわゆるITのハイテク企業では、新技術開発=イノベーションという構図ができてしまった。そして、その中で技術の競争の方向が変わるときに、イノベーションのジレンマが起こる。そして、新しい土俵で新しいプレイヤーによる技術イノベーションが始まる。これを繰り返してきました。

そして、今、盛んに言われているのは、技術ではイノベーションを起こせないということです。つまり、新しい技術がイノベーションになるという構図は終わったということです。

よく例に挙げられるのはアップルのiPodです。iPodは技術を組み合わせることによって非常に革新性の高い商品を作り上げたと言われています。彼らにとって、技術は自分たちのゴールを実現するための商品を組み立てる道具に過ぎないわけです。

ただし、ゴールの実現にもっとも大きな影響を持つ(広い意味での)ユーザインタフェースについては徹底的にこだわるわけです。ここでいうユーザインタフェースとは、単に画面や(物理的な)ボタンの場所などだけではなく、ユーザが持ったときの感覚や、持ち運びができるかどうかなど広範にわたる、いわゆる「デザイン」です。

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2012年7月26日 (木)

【PMスタイル考】第50話:プロジェクトリーダーとして何をもたらしたいのか

◆プロジェクトリーダーは割にあわない

MokutekiPMスタイルプラスも今回で50回になります。小さな節目ですので、今回は少し大きな問題として、リーダーのあり方を考えてみたいと思います。

プロジェクトリーダーを引き受けると、割に合わないという話があります。

権限がない割には苦労が多く、成果を上げるのが当たり前だとされ、報われず、プロジェクトが終わったら疲れ果てている。

このような先輩の苦労を見ている部下たちは、自分はプロジェクトリーダーなどやりたくないと思うようになるとも言われます。なぜ、そのように考えてしまうのでしょうか?

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2012年7月13日 (金)

【PMスタイル考】第49話:シンプルであるために

◆iPhoneやiPadはなぜシンプルなのか

Simple2シンプルというスタイルについてずっと書きたいと思っていましたが、難しいので躊躇していました。ケン・シーガルのThink Simpleという本を読んでいたら、何となく、考えがまとまってきたので、一度、チャレンジしてみたいと思います。

ケン・シーガルの本とは関係なく、シンプルというと真っ先に頭に浮かんでくるのは、スティーブ・ジョブズであり、アップルであり、iシリーズです。iPhoneやiPadはどうしてシンプルなのでしょうか?

この問題を考えるには、なぜ、ものごとが複雑になるかを考えてみる必要がありそうです。なぜ、複雑になるのか?

iPhoneが誕生したときに、話題になったのはボタンが一つしかないということでした。これは、ユーザがマニュアルを見なくても使えるということへのこだわりでした。ハードのボタンが2つあれば、まず、その機能を理解しなくては使えません。本当はボタンをつけたくなかったのではないかと疑りたくなります。

ここで注意したいことは、ボタンが一つだからシンプルになったのではないことです。たとえば、マウスのように、ボタンを1回押したら○○の操作で、2回押したら△△の操作でと、状態を持たせることもできるわけです。

シンプルである理由は、ユーザがマニュアルを見なくても使えるという方針にこだわったことです。蟻の一穴という言葉がありますが、シンプルはまさにこれで、例外を認めた瞬間にシンプルではなくなります。

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