【PMスタイル考】第53話:プロジェクトのコンセプトとデザイン
◆デザインという言葉の意味
デザインという言葉が市民権を得てきました。デザインという言葉は、典型的なカタカナ英語の一つで、従来、分野によってその意味するところが微妙に異なる言葉でした。
美術工芸品・工業製品などの世界では、形・色・模様など、いわゆる「意匠」という意味でデザインという言葉は使われています。図案という言い方をすることもあります。一般的にもこの意味がもっとも通りがよいのかもしれません。
技術の世界では、機能、方式、構成などの「設計」の意味で使われます。この場合、意匠と比べると、抽象度の高い使い方になります。この世界では、デザインという言葉より、設計という言葉の方が通りがいいようで、設計というと、機能の設計を意味することが多いように思います。
デザインという言葉は、何かを決めること、つまり、意思決定ですが、工夫をめぐらすというニュアンスが強くあるように思います。工業製品で使う意匠という言葉は、意も匠もそういうニュアンスの言葉で、含蓄があります。モノの形を決めるというのは、単に形状を決めているだけではありません。たとえば、カトラリー(洋食器のうちナイフ、フォーク、スプーンなどの金物類)を考えてみるとよく分かります。デザインは形と機能を決めます。そして、形は性能を構成しています。賛否はあるようですが、先割れスプーンなどはその典型だといえるでしょう。
デザインという言葉が市民権を得てきました。デザインという言葉は、典型的なカタカナ英語の一つで、従来、分野によってその意味するところが微妙に異なる言葉でした。
美術工芸品・工業製品などの世界では、形・色・模様など、いわゆる「意匠」という意味でデザインという言葉は使われています。図案という言い方をすることもあります。一般的にもこの意味がもっとも通りがよいのかもしれません。
技術の世界では、機能、方式、構成などの「設計」の意味で使われます。この場合、意匠と比べると、抽象度の高い使い方になります。この世界では、デザインという言葉より、設計という言葉の方が通りがいいようで、設計というと、機能の設計を意味することが多いように思います。
デザインという言葉は、何かを決めること、つまり、意思決定ですが、工夫をめぐらすというニュアンスが強くあるように思います。工業製品で使う意匠という言葉は、意も匠もそういうニュアンスの言葉で、含蓄があります。モノの形を決めるというのは、単に形状を決めているだけではありません。たとえば、カトラリー(洋食器のうちナイフ、フォーク、スプーンなどの金物類)を考えてみるとよく分かります。デザインは形と機能を決めます。そして、形は性能を構成しています。賛否はあるようですが、先割れスプーンなどはその典型だといえるでしょう。
◆コンセプトのデザイン
そのように考えると、デザインというのはもっといろいろなものを対象にした言葉だと考えることができます。仕組みのデザイン、制度のデザイン、組織のデザインなどなど。実際に英語の本を読んでいると、designという言葉はやたらと出てきます。
その中の一つに「コンセプト」があります。コンセプトのデザインです。製品を開発する際に、製品コンセプトのデザインを行うといった使い方をします。デザインというよく分からない言葉にコンセプトというこれまたよく分からない言葉を重ねていますので、真面目に定義しようとすると、まず、まとまらない言葉でしょう。実際には、製品の目的、ターゲットユーザ、形、機能などを決める作業です。
◆デザイン思考
最近になってデザインという言葉が市民権を得てきた理由の一つに、「デザイン思考」の普及があります。デザイン思考のデザインという言葉は、もともとは意匠的な意味で、デザイン思考は、デザイナーの思考過程をさまざまな業務に取り入れようという思考方法です。世界でもっとも有名なデザインのコンサルティングファームであるIDEOという米国の会社が提唱したものです。それが、やがて、一般的な思考法になりました。IDEOが提唱している方法はシンプルで、問題を理解し、問題を観察する。そして、観察の中から、ソリューションを見つけ、それを形にしてみて、評価し、改良する。ソリューションとして十分なものになれば、実現する。というものです。
このプロセスの中で、重要なのは、
(1)フィールドで観察する
(2)自由なアイデアを作り出す
(3)プロトタイプを作って考える
という一連の流れです。デザイン思考を使うことによって、これまでデザインの対象としては考えてなかったものが、デザインの発想で生み出すことができるようになるわけです。たとえば、組織などはその代表だといえるでしょう。
◆プロジェクトのコンセプト
さて、コンセプトもデザインもプロジェクトにとってはとても大切な概念です。プロジェクトのコンセプトを決める、プロジェクトとデザインする、プロジェクトのコンセプトをデザインするなどと言います。
では、プロジェクトのコンセプトとはなんでしょうか?製品になぞらえて考えると、プロジェクトの目的や成果物などが相当します。もう少し、広く考えてみると、プロジェクトには5W2Hというのがあります。
What
Why
Who
Where
When
How
How Much
です。この中で、コンセプトに当たるのがWhatです。通常、Whatに含まれるのは
テーマ名、対象と目的、目標、成果など
です。プロジェクトによっては、コンセプトの中に、Whyが含まれるものもあります。Whyは
プロジェクトの背景や実施理由、解決したい問題、要求など
です。本来はコンセプトの背景になるものですが、ITのような別の人(プロジェクト)のためにプロジェクトを行うようなケースは、Whyそのものがコンセプトになる場合もあります。
◆プロジェクトのコンセプトをデザインする
コンセプトはこのようなものだとして、コンセプトをデザインするとはどういうことなのでしょうか?単純に考えるとこれらを決めることにほかなりません。問題は決め方です。ここで、出てくるのがデザイン思考です。プロジェクトというのはいうまでもなく、問題や課題がある場合に取り組み、ソリューションを実現するものです。
一般的にいえば、プロジェクトのコンセプトデザインは、一つのフェーズとして行われます。このフェーズの中で、まず、デザイン思考によって、Whatを決めていきます。ここで、プロトタイピングをすることもありますし、他にもいろいろな可視化の方法はあります。もっとも分かり易いのは、エリック・リースが「リーンスタートアップ」で提示した「MVP(実用最小限の製品)」という考え方です。コンセプトデザインの中では、MVPを作り、コンセプトを固めていきます。
ここをしっかりとおこなうことがプロジェクト成功の秘訣です。特に、プロジェクトで解決したい問題に対して、しっかりと自分の目や耳で観察することがよいソリューションの発見につながります。
そして、コンセプトが固まったら、5W2Hの他の項目を決めていきます。5W2Hがすべて決まったら、プロジェクトデザインは完了です。
このようにプロジェクトを立ち上げるときには、コンセプトとデザインを意識することによって、プロジェクトを成功に導くことができるようになります。
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