PMstyle 2025年7月~10月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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2014年2月 6日 (木)

【PMスタイル考】第78話:計画について考える

Keikaku6◆不確実な環境下における計画の役割

アジャイルプロジェクトマネジメントやアジャイル開発という言葉がどこの企業に行っても聞こえてくるようになってきました。は顧客価値創造によるイノベーションが実現できるというのが理由のようです。

なぜ、アジャイルが顧客の価値創造につながるのかと聞いてみると、割と多くの人がいう理由が2つあります。一つは、顧客と一緒にものを創り上げていくこと。もう一つはその点に深く関係するのですが、全体の計画ができないという理由です。

今回は不確実な環境下で計画をどのように行うのかという問題を考えてみたいと思います。もちろん、状況を見ながら次の計画を繰り返していくアジャイルはその一つの方法であることは間違いありません。そこにも関係してくる話です。



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2014年1月15日 (水)

【PMスタイル考】第77話:イノベーティブなチームをつくる

Term6◆日本にはチームはないという意見に対する反応

2014年第1回のPMスタイル考です。実は2013年年度の第1回(4月5日)にもチームについて書きました。

【PMスタイル考】第66話:チームになろうよう

この記事を書いたきっかけは、2012年の後半に齋藤ウィリアム浩幸さんという起業家が

齋藤ウィリアム浩幸「ザ・チーム (日本の一番大きな問題を解く) 」、日経BP社
(2012)

という本の中で、「日本にはチームがないのでシステムが作れない」という問題提起をされたことで、その通りだと思っているので書いた記事です。

この議論を仕掛けると、それは見当外れだという意見をよく聞きました。日本にもチームはあり、チームワークは欧米に比べると高いのではないかと言われている人と結構出会いました。

改めて日本にはチームがないという齊藤さんの指摘の適切さを認識することになったわけですが、チームワークが欧米より高いと言っている人は、斉藤さんとはチームというものに対する認識が違うのだろうと思います。



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2014年1月14日 (火)

【PMスタイル考】第76話:良い製品とは何か

Seihin4◆計画的廃品化

今年最後のPMスタイル考になります。

今年はスマートフォンが普及した年でもありました。アップル社のiPhoneが日本の3つの大手キャリアで利用できるようになり、メディアが盛んに通信品質の比較を行いました。その結果は奇怪で、品質がよいとはどういうことなのかという疑問がわいてきます。

日本には安全神話と同じく、品質神話のようなものがあります。それは工場から出荷されるものは完璧なものであるとか、製品は壊れないといったものです。安全神話が神話に過ぎなかったように、品質神話も神話にすぎません。このことを象徴するのが計画的廃品化です。

今年、若くして亡くなったコラムニストの天野 祐吉さんの遺作となったコラム集

成長から成熟へ さよなら経済大国 (集英社新書)」、集英社(2013)

の最初に計画的廃品化という話が出てきます。

計画的廃品化とは、計画的に製品の価値をなくしてしまうことを意味しています。製品の価値(寿命)が永遠であればあっという間に市場は飽和してしまい、また、新しい技術による恩恵を受けることもできなくなります。だから、製品は計画的に廃品されるべきだという考えです。

前者の象徴とも思えるのが電球です。電球はエジソンが発明して以来、百数十年経っている技術で、封入する気体こそ変わっていますが、機能や技術は変わっていません。その電球は、電球は数十年前に業界をあげて1000時間で切れるように寿命が設定されたそうです(今は3000時間だと言われています)。これは市場を飽和させないためです。

ここ何年かでLEDライトが急速に普及してきて、4万時間の寿命で、電球の数十倍持つと言って得だと売っています。一見、すばらしい技術の進化のように思えますが、ひょっとするとこれは、すべて計画的された廃品化なのかもしれません。売値とユーザーの価値と電球(蛍光灯)との比較で寿命を決めているような気がしなくもありません。蛍光灯が1万時間といわれますので、蛍光灯の4倍になっているわけですが、価格もだいたいそんなところですね。

ところがLEDと電球が違うのは、技術的な成熟度です。LEDは故障が絶えず、また、照らし方にも課題があり、まだまだ、技術的に改良の余地があります。4万時間も寿命があるとそれらの課題を解決する技術発展の恩恵を受けることが難しくなります。

そこで出てくるのが計画的廃品化という話なわけです。


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2013年12月13日 (金)

【PMスタイル考】第75話:女性的リーダーシップの時代

4833420678◆「男性的価値感はもう通用しない」

最近、米国で話題になっている一冊の本が翻訳されました。「テルマエ・ロマエ」で知られるグローバルな漫画家ヤマザキマリさんの素敵な表紙の「女神的リーダーシップ」という本で、原題は「THE ATHENA DOCTRINE」というタイトルです。

ATHENAはアテネの守護神で、知恵・芸術・学芸・戦争などの女神です。ATHENAのドクトリン、つまり教義という意味のタイトルです。この本は、世界中のGDPの65%を占める13か国でその人口構成を反映する6万4千人という大規模な調査を行い、生まれた発見を書いた本です。そこには日本や米国も含まれていますし、フランスやイギリス、中国やブラジルなども入っています。

その結果は衝撃的で

「男性的価値感はもう通用しない」

というものです。数字でいえば、

「男性が女性のような発想をしたら世界が好ましい方向に変わる」

と考えている人が、全体で66%、日本だけに限れば79%に上るというものです。この結論は125のリーダーの資質をグローバルサンプルの半数である3万2千人に女性的、男性的、どちらでもないに分けて貰い、次にその属性を示さずに、残りの半数に重要性を聞き、それを突き合わせて出てきた結果です。

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2013年12月12日 (木)

【PMスタイル考】第74話:継続的イノベーションの時代のマネジメント

Program_campus◆イノベーションは意思を以って起こす

イノベーションは自然に起こるものではありませんし、誰か、優秀な社員が起こしてくれるものでもありません。

イノベーションは意志を以って起こしていくものです。今回のPMスタイル考はイノベーションの話をしたいと思います。

今、イノベーションが注目されているのには戦略的な理由があります。10年前なら技術イノベーションを求めて研究開発を行い、うまく行けばその成果を使った事業戦略を立てて5~10年単位で事業展開ができていました。今でもイノベーションにはこのイメージが残っていますが、戦略を組み立てる「ネタ」になるものでした。



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2013年11月10日 (日)

【PMスタイル考】第73話:多様性について考える

Tayo◆形だけの多様性は邪魔になる?

今回はイノベーションのニーズの高まりとともに関心の高まっている多様性について考えてみたいと思います。

組織が創造性を持つには多様性が必要だと言われるようになってきました。ところが、一方で、よい仕事をするには決まったメンバーで行うことが望ましいと言う意見も根強くあります。この矛盾は仕事の性格の問題によって引き起こされる場合もあります。つまり、高い成果品質を求められる仕事では多様性は必要なく、新規性の高い成果を求められる仕事では多様性は重要であるということなのかもしれません。

ただ、一概にそれだけとは言えない部分もあります。それは「多様性」という言葉のイメージの問題です。仕事がら、多様性のあるプロジェクトに関わることがありますが、そこで実現されているのは、いろいろな専門家を集めてくるとか、外国人や女性を入れるといった多様性です。

こういった多様性を山口 周さんは「属性」の多様性と呼んでいますが、日本人は属性の多様性を実現すれば、多様な考えが生まれ、多様な行動に結びつくと考えている節があります。これは第71話で取り上げた問題の一つでしょう。

これが正しくないことは転職した人を見ているとすぐにわかります。転職して1年もすれば、おそらく外部者には分からないくらい組織に同化してしまいます。実に興味深いのは、外国人でもある程度この傾向がみられることです。

このような現実を見ると、属性を多様化してもそれから創造は生まれないことは明らかですし、このような多様性はどのような性格の仕事においても邪魔になるのではないかと思います。


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2013年10月 8日 (火)

【PMスタイル考】第72話:プロダクトマネジメント考

Market◆3つのマーケティングスタイル

意外なことに、PMスタイル考にこれまでプロダクトマネジメントの話題を取り上げたことがありませんでした。今期はプロダクトマネジメントに取り組んでいきますので、また、いろいろな形で話題にできると思いますが、まずはPMスタイル的な視点から。

日本では、比較的古くから、製品開発マネジメントとか、製品開発論という概念があります。僕の技術士としての講義の中にもこの「製品開発マネジメント」というテーマがあります。これとプロダクトマネジメントの違いから話を進めていきたいと思います。

その前に、マーケティングの話をさせてください。マーケティングには時代の流れとともに変わってきた3つのスタイルがあります。

その昔、企業は自分たちの考えで製品を企画し、製品を作り、市場に投入するという活動をしていました。いわゆる、プロダクトアウトと言われる方法です。モノが足らない時代には必要なものは分かっていましたし、品質の良いものを作って市場投入すれば売れました。

しかし、必需品がいきわたるとモノが売れなくなりました。そこで、企業は市場ニーズを綿密に調査して、製品を企画するように変わっていきました。これはマーケットインと呼ばれる方法です。この方法が今でももっとも一般的な方法になっています。

プロダクトアウトの時代は、コストと品質(機能)で勝負していたため、価格競争になると同時に、過剰品質と言われるような問題が起こっていました。マーケットインでは、顧客の声に過剰適応するようなケースが増えてきました。簡単にいえば、顧客が必要だといえばそのような企業をつけてしまうわけです。

家電のように日本製品にはガラパゴスというありがたくない呼び名がついている分野がありますが、原因は企業の機能への拘りと、顧客の声への過剰適応があると思われます。

このような背景もあって、本当の意味でのプロダクトアウトをやろういう企業が出てきました。たとえば、アップルです。アップルは顧客の声を聞いて製品を開発しているわけではありません。

自分たちで考えて作っています。ただ、ただのプロダクトアウトと根本的に違うのは、視点をユーザにおいて、何が必要かを洞察していることです。

プロダクトアウトというのはもともと、何を作れば儲かるのかという視点から徹底的に考えていました。日本が品質の高い製品をどんどん世に出せたのは、この点において不良品を減らせば儲かると思ったからです。そのために、工程内の不良の削減に取り組み、結果として歩留まりが上がり、利益率が向上しました。そして、日本製品は品質がいいということでリピーターが増え、競争力につながっていったわけです。

新しい考え方のプロダクトアウトは、マーケットアウトと呼ばれます。アップルのこの10年の躍進を見ていれば分かるように、音楽鑑賞やコミュニケーションの新しいスタイルを提案し、それをユーザに売込んでいったわけです。つまり、製品を出すだけではなく、市場そのものを作り出しているわけです。



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2013年10月 7日 (月)

【PMスタイル考】第71話:守破離の壁

Shuhari_2◆守破離

日本の企業は欧米からさまざまな手法を取り入れています。この是非に対する議論はあると思いますが、それは

「借りる」をやめる(プロジェクトの補助線ブログより)

を読んでもらうとして、この記事では少し違う視点からこの問題を考えてみたいと思います。それは、手法適用の「質」の問題です。

日本人は守破離という考え方があるように、型から入ることを得意にしています。まず、型を覚え、次にそれを磨いていく。そして、やがては型を破り、自分のものにしていくというプロセスを通じて質を上げていきます。

実際に技術においては守破離の実践で、欧米の技術を取り入れ、それを磨き、独自性のある技術に進化させ、それによって欧米ではできない製品を提供してきました。これが日本の成長の原動力になってきたことは間違いありません。



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2013年8月 6日 (火)

【PMスタイル考】第70話:「セールス」について考える

Sales1◆クイズ

(1)コミュニケーション
(2)ネゴシエーション
(3)リーダーシップ
(4)セールス

の4つのうち、性質が違うものはどれでしょう?

多くの人が(4)と答えられたのではないでしょうか?そして(4)と答えた理由は、(1)~(3)が人間行動を示すのに対して、(4)は業務を示すというものだったのではないかと思います。セールスというのは、そういうイメージの言葉であり行為でした。英語でsalesというとおもに車の販売を意味します。

ところが、いま、その概念が変わろうとしています。



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2013年7月22日 (月)

【PMスタイル考】第69話:女性活用問題について考える

Jyosei ◆ダイバーシティーは変わったか?

今回のPMスタイル考はダイバーシティの問題をすこし違った視点から考えてみたいと思います。アベノミクスの成長戦略の中に女性活用が示されていて、ダイバーシティーの問題がまた、議論されるようになってきました。

前に話題になっていたのはITバブルがはじけてから、リーマンショックのあたりまでだと思います。まあ、社会に閉塞感が出てくると女性活用という話は出てくるようですね。まあ、いろいろな意味で、元気を出すには使い易いテーマなのだと思います。

PMstyleの会員向けニュースレター「PMstyleプラス」でも、2007年に当時PMI(R)の東京支部の事務局長を務められていた永谷裕子さんにお願いして、「ITプロジェクトでのDiversity」という連載をしていました。この記事、今、読んでも面白いし、さすがに外資系の経験が長い方なので考えがよく整理されており、お薦めです。

ITプロジェクトでのDiversity

それから5年以上たちますが、変わったような変わっていないような微妙な感じです。見えるところで変わったなと思うのは、ダイバーシティー研修をやる企業が増えてきたことくらいでしょうか。

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