PMstyle 2025年9月~12月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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2012年6月11日 (月)

【PMスタイル考】第47話:プロジェクトリーダーとしての「権威」を高めるためには

Kenni◆プロジェクトリーダーには権限が少ない?

プロジェクトリーダーに関してよく問題になることに、権限の問題があります。多いのは、プロジェクトリーダーには与えられる権限が少ないのではないかという不満です。

プロジェクトは本来、権限で動かすものではありません。大規模なプロジェクトになればなるほど、難しいと言われるのはこの点においてです。では、プロジェクトは何で動かすのか。

大きく分けると2つあると思われます。一つは、「権威」です。もう一つは、「対人関係」です。

この点をまず、念頭においてこの話を少し整理してみたいと思います。プロジェクトは権限で動かすものではないといいましたが、正確にいえば、権限だけでは不十分、言い換えると、プロジェクトを動かすのに十分な権限は与えられないということです。プロジェクトリーダーを組織職と明確に関係づけている、たとえば、プロジェクトリーダーは主任級以上といった場合には、組織職に見合うプロジェクトリーダーに権限を与えることがあります。しかし、これは便宜的な話であって、組織職の権限だけではプロジェクトがうまくできそうもないので、プロジェクトリーダーを決めてプロジェクトで業務を遂行するわけですので、本末転倒です。

プロジェクトリーダーの権限ということでいえば、プロジェクト憲章をつくるプロセスで上位組織と「権限闘争」を行い、獲得するのが本来の姿です。つまり、プロジェクトリーダーの権限は、プロジェクトによって異なるということです。プロジェクトリーダーが事業部長並みの権限を持つプロジェクトがあってもおかしくありませんし、まったく権限がなくてもおかしくありません。あくまでも、プロジェクトの属性に応じて、組織として判断し、決定すべきことです。

ただ、プロジェクトリーダーにそんな大きな権限を持たせることは現実的ではありません。そこで、冒頭のような不満がでてくるわけです。

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2012年6月 4日 (月)

【告知コラム】創造的問題解決とは何か

CspPMstyleプロデューサーの好川哲人です。こんにちは。

創造的問題解決ってなんですかという質問を受けることがあります。そんなに難しいことではありません。

みなさんが島に住む住人から、橋をかけてくれと頼まれたとします。あなたは、この依頼をゼネコンにつなぎました。ところが、予算的に折り合いません。そこで、島の住民に「なぜ、橋が必要なのか」と訊ねました。すると、「本土に渡りたいから」という答えでした。

ここで考えなくてはならないことは、いかに安く橋を架けるか「だけ」ではありません。実は、この段階で橋を架けるという枠組みは外れています。

連絡船の就航でもいいですし、トンネルを掘ってもいいわけです(もっと高い?!)。ドラエモンのタケコプターでもいいかもしれません。いくらでもアイデアは出てくるでしょう。

さらに、住民に聞きます。なぜ、本土に渡りたいのですか?すると、「本土の方が稼ぎがいいから」という答えが返ってきました。ここで、さらに可能性が広がります。

そうです。本土に渡らなくてもいいかもしれません。たとえば、準備した予算で島全体をリゾート地にしてしまい、島にリゾート客を呼べば、もっと稼ぎを増やすことができるかもしれません。答えは無限にあるといってもよいでしょう。

創造的問題解決とは、このように考える枠組みを広げることによって、問題の本質を探し、本質に対して解決策を打つことです。

今、プロジェクトが困っているのは、橋をかけてくれと頼まれて、どうやって安く橋を架けるかだけを考えているからです。

創造的問題解決をすることによって、枠組みを変え、顧客も自分たちも満足できる答えを見つけ出すことができます。

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2012年5月31日 (木)

【プロデューサーの本棚】ホールシステムアプローチ

4532317290香取 一昭、大川 恒「ホールシステム・アプローチ―1000人以上でもとことん話し合える方法」、日本経済新聞出版社(2011)

ちょっと古い本だが、仕事の関係で、本棚から引っ張り出してきて読んだので、紹介。

香取さん、大川さんというホールシステムアプローチのエバンジェリストの書いた概説本。まず、対話(ダイアログ)に関するかなり深いレベルでの解説がある。この本の中では、この部分が一番読みごたえがあるし、実際にホールシステムアプローチを実践している組織でも、あまりできていないこともあるので、真剣に読むといいだろう。

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2012年5月30日 (水)

「プロジェティスタへの旅」をご一緒しませんか?

Creative3ビジネスパーソンは2つに分けることができます。ビジネスを創れる人と、創られたビジネスを遂行する人です。前者をリーダーといい、後者をマネジャーと呼びます。

今、日本で求められている人材は前者です。中でも、インベンティブなリーダーが求められています。インベンティブな(創意工夫に富んだ)マインドを持ち、イノベーションを起こしていけるリーダーを、「プロジェティスタ」と言います。

今ほど、「プロジェティスタ」が求められている時代はないでしょう。スティーブ・ジョブズが他界して半年になりますが、いまだに、ジョブズへの賞賛がやむことはありません。

3年前に3年前に有志で「プロジェティスタ研究会」を始めたときに、最初に議論したのが、歴史上の「プロジェティスタ」っぽい人は誰かということでした。

多かったのは、ジョブズや織田信長でした。2人とも、いま、日本で最も求められている人材です。彼らになることはできなくても、彼らのようになることはできるはずです。どうすれば、彼らのようになれるかを知りたい。「プロジェティスタへの旅」がプロジェティスタ研究会の目標でした。

震災の影響で動けなくなり、研究会は自然解散のような形になりましたが、新たに、オンラインのSIGを創り、プロジェティスタへの旅をリスタートしようと思っています。

当面のキーワードは、アジャイル、リーン、デザイン思考、「小さく賭ける」など。

興味のある方はこちらをご覧ください。

【プロジェティスタ】オンラインのSIGを作ります。

2012年5月29日 (火)

【PMスタイル考】第46話:失敗を認めるマネジメント

Sippai2◆イノベーションと不確実性

イノベーションへの関心が高まる中で、デザイン思考とか、アジャイル開発とか、リーン製品開発などのマネジメント手法が注目されています。現場で活用している人たちはそれなりの手ごたえを感じていると思いますが、組織としてみれば、なかなか、これらの手法は受け入れられない。プロジェクトマネジメントが、現場は乗り気ではない中で、組織として推進していったのと対照的です。

この違いを説明するキーワードは、不確実性です。それは、プロジェクトマネジメントは不確実を計画段階の事前検討で解消しようとします。不確実性があることは、できるだけやらないようにするわけです。これに対して、イノベーションで使われるマネジメント手法は不確実性の解消を実行しながら行います。

実行しながら、不確実性の解消を行うというのは、どういうことでしょうか?平たくいえば、分からなければやってみて決めるということです。ここに非常に重要な問題が潜んでいます。

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2012年5月18日 (金)

【プロデューサーの本棚】デザイン思考と経営戦略

4757122942奥出直人「デザイン思考と経営戦略」、エヌティティ出版(2012)

デザイン思考の道具箱」の奥出直人先生の新著。デザイン思考を経営とどのように結びつけるかを議論した一冊。

問題意識として、デザイン思考のワークショップを2年くらい続けて、イノベーションに値するアウトプットを出しても、経営的な意思決定ができず、無駄に終わってしまうことが多いという経験があるそうだ。

書籍の作りとして、1章は戦略経営の基本的な説明をし、デザイン思考をうまく戦略経営の中に取り込んでいる、GEやP&Gとの比較で、多くの企業がデザイン思考をなぜ、うまく活用できないのかを指摘している。

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2012年5月14日 (月)

【告知】PMstyle会員の皆様の声でできたセミナーです。

CvPMstyleプロデューサーの好川哲人です。

4月23日~25日にかけて、対人関係スキルの講座テーマに関するアンケートを行いました。また、4月16日~24日にかけて同テーマのメルマガ連載記事のテーマ関するアンケートを行いました。

【報告】インターパーソナルスキルに関するアンケートの結果

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2012年5月10日 (木)

【PMスタイル考】第45話:「リーン」という思想

Lean◆広まっていくリーン

日本でもやっと、リーン製品開発を解説した本が出てきました。トヨタ生産方式から発展したリーン生産方式は製造業だけではなく、他の分野へも広く普及してきました。特にサービス業など、目に見えない生産活動に広まってきたのは特筆に値します。また、ソフトウエアの分野のように、リーン方式の開発手法を確立し、体系化している分野もあります。

これに対して、リーン製品開発は日本の企業ではほとんど行われておらず、これから普及していくのだろうと思います。

また、最近では、「リーンスタートアップ」という考え方が登場しています。事業や製品の立ち上げをリーンにしようという考え方です。

ということで、今回のPMスタイルは、「リーン」という思想について考えてみたいと思います。

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【PMスタイル考】第44話:プロジェクトマネジメントの持論について考える

Jiron3プロジェクトとして仕事をする機会が増えています。プロジェクトマネジメントの書籍はたくさんありますが、やっかいなことに、こうすればうまく行くという方法はありません。そんな中で、注目されるのが「持論」です。

◆改めて「持論」を定義する

辞書を引くと、持論とは「かねてから主張している自分の意見・説」とあります。このように定義すると実践的に根拠のない説も持論だということになってしまう可能性がありますが、本来の意味は実践知です。

日本のリーダーシップ研究の第一人者である神戸大学大学院経営学研究科の金井壽宏教授は、「リーダーシップ入門」(日経文庫)の中で、リーダーシップの持論を、

「実践から生まれ、実践を導いている理論」

と定義されていますが、まあ、このあたりが妥当なのだろうと思います。ここでは

経験から生まれ、行動を導いている方法論

を持論と呼ぶことにしましょう。

もう少し、持論のイメージを明確にするために例を挙げておきます。

プロジェクトマネジャーのAさんは、過去の経験から、「計画どおりにプロジェクトを進めていくには、計画を作るときには可能な限りステークホルダを巻き込んだ、裏付けのある計画を作ることが重要だ」と考えています。そして、毎回、計画を作る前に重視するステークホルダを決め、コンタクトし、計画の方針を相談しています。それが功を奏し、Aさんが担当するプロジェクトは毎回、問題が少なく、スムーズに進んでいます。

このように経験から生まれ、行動を導いている方法論が持論なのです。

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2012年5月 7日 (月)

【スポンサーシップ論】第4回 実行フェーズにおいてスポンサーがすべきこと

Sponsorship前回は、プロジェクトスポンサーが、立上げ、計画フェーズにおいてどのようなアクションをとるべきかを述べた。今回は、続きで、実行フェーズのアクションである。


◆実行フェーズにおけるスポンサーのアクション

実行フェーズにおけるプロジェクトスポンサーのアクションは、以下の6つのカテゴリーに分類できる。

(1)リソース支援
(2)進捗レビュー
(3)動機づけ
(4)ミーティングの改善
(5)課題解決
(6)チームの直接的支援

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