PMstyle 2025年7月~10月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

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2017年3月27日 (月)

【PMスタイル考】第121話:コンセプチュアル・プロジェクト・デザイン

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Design2◆コンセプチュアル・デザイン

年末年始に読んだ本で改めて重要性を感じたことがあったので、今回のPMスタイル考はその話題を考えてみたい。

読んだ本は、「ドッグファイト」という小説で、アマゾンをモデル化したグローバルな通販企業 とクロネコらしき日本の物流企業「コンゴウ」の戦いを描いている。戦場は、生鮮食料品の同日配送を扱うシステムを構築をするプロジェクト。このプロジェクトを巡り、さまざまな駆け引きが交差し、話は進んでいくのだが、ストーリーを知りたい人は本を読んで欲しい。

この中で、「スイフト」社のプロジェクトの進め方として、「コンセプチュアルデザイン」という概念が出てくる。これは、プロジェクトの目指す成果物とオペレーションを明確にし、それをドキュメント化したもので、プロジェクトのコアメンバーが共有すべきプロジェクトのバイブルという位置づけのものである。

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2017年1月10日 (火)

【PMスタイル考】第120話:全体が意味することは何なのか

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Sansui

◆全体像が見えない、、、

今回のPMスタイル考は、分かったようで、よく分からない「全体像」をテーマにしてみたい。

全体最適と部分最適の議論を始め、全体像を捉えることの重要性が指摘されることが多いし、実際に全体像が見えていないことで企画や提案が受け入れられないことは少なくない。ところが全体像を適切に捉えることはできないことが多い。そもそも、全体像を捉えるとはどういうことかを理解できていない人も少なくない。

たとえば、上司に提案したり、顧客に提案したりする際に、別段、間違ったことは言っていないのだが、受け入れられない、表現を変えてみてもうまく行かないといった場合によくあるのは全体像を捉えていない提案になっていることだ。

最近ではビックデータや人工知能などで、すべての部分(ファクト)を見ることで全体が分かるという考え方も出てきたが、これもちょっと違和感がある。

全体像を捉えるというイメージは、ファクトA、B、Cがあったときに「要するに何なのか」、「全体が意味することは何なのか」と考え、Dではなく、Xという答えを生み出すことである。

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2016年12月16日 (金)

【PMスタイル考】第119話:コンセプトを作る

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Concept20

◆はじめに
PMスタイル考も今回で119話になるが、これまでコンセプトの話をしていないことに気がついた。コンセプト作成についてはちょうど今、日経Sysytemsで1年間の連載を行っているほか、コンセプチュアルスキル講座でコンセプト企画のセミナーもやっているのにちょっと意外だ。

というわけで、今回のテーマはコンセプトを作る。


◆なぜ、今、コンセプトなのか

日本人はモノ作りはうまいが、コンセプトを作ることが下手だといわれる。その通りだと思うが、モノ作りに比べるとコンセプトを作ることに対して関心がないようにも思える。抽象的な思考を好まず、あくまでもモノという具体的な対象で考えることを好む。

モノについていえば、これもありだと思う。ところが、複数のモノを併せてシステムを作らないとならない場合や、サービスのように本質的に概念的なものを作らないとならない場合にはコンセプトを作ることが不可欠である。ITの分野でイノベーションが生まれないという問題があるが、これもシステムやサービスにおいてコンセプトが作れないところに原因がある。

これが最近、コンセプトに関心が高まってきた理由である。私たちが開催している講座にきてくれる人の多くはエンジニアなのだが、エンジニアの場合、コンセプトって何ですかという質問にちゃんと答えられない人も少なくない。



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2016年11月18日 (金)

【PMスタイル考】第118話:責任を設計する

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Sekinin1

◆プロジェクトの進め方

今のプロジェクトマネジメントで教科書通りにできていないことの一つは、権限と責任の決め方です。プロジェクトマネジメントでは

(1)タスクを決める
(2)タスクを遂行する組織と責任を決める
(3)責任を果たせるように権限を決める

というのが普通の考え方ですし、多くのプロジェクトマネジャーはそのように認識していると思います。

ところが現実にはそうなっていないケースの方が圧倒的に多いように思います。まず決めているのはプロジェクト体制であることが多いようです。つまり、まず、権限を決めているのです。

そのように進めると、小さなタスクを実施するにも、意思決定をするに当たって政治的な要素が入ってきます。それを権限委譲してなんとかスムーズに進めようとしますが、政治の上の話になりますので、なかなかうまく行きません。どうしても、権限を持つ人が介入してきます。

ということで、今回のPMスタイル考は、責任と権限について考えてみたいと思います。

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2016年10月27日 (木)

【PMスタイル考】第117話:価値を中心にプロジェクトを考える

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Value

◆プロジェクトマネジメントの変化

プロジェクトマネジメントのスタートはオペレーションマネジメントだった。テーラーの時代にはオペレーションは繰り返し同じことをやる定型なものだったが、徐々に非定型になってきて、マネジメントをするには初期に計画が必要になってきた。加えて、非定型の中に不確実な要素が加わり、不確実性のマネジメントが必要になってきた。

さらに、現場のオペレーションから、経営のオペレーションまで対象にするようになってきた。つまり、予め計画された価値を実現することから、価値を企画し、価値を実現することまで、すなわち価値創造がプロジェクトの範囲になってきた。

プロジェクトマネジメントに求められる役割もこのような変化に併せて変わってきた。初期においてはオペレーションをいかに失敗せずに行えるかがプロジェクトマネジメントの役割だったが、今では価値を創造することがプロジェクトマネジメントの役割になってきた。詳しくは、

好川哲人「プロジェクトマネジメントの基本」、日本実業出版社(2011)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01BC58H2E/opc-22/ref=nosim

を読んで欲しい。

ところが、プロジェクトマネジメントはなかなか、価値創造に結びつかない。今回のPMサプリはこの問題について考えてみたい。

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2016年10月14日 (金)

【PMスタイル考】第116話:説明をデザインする

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◆説明とは何か

PMスタイルはWHYを中心に書いているが、今回のPMスタイル考はちょっと新しい試みでHOWを中心にして見ようと思っている。そこで「説明のデザイン」という行動テーマを取り上げてみたい。平たくいえば、説明をどのようにするのかという話をしたいと思う。

まず、説明とは何かというところから始めたい。説明という言葉は意外と定義しにく言葉だが、たとえば、

・事実の原因や背景、結果を明確にするようにその事実をまとめて述べること
・事実を明確にして、概念をわかりやすくすること
・なぜに答えること

といった定義があるようだ。ただ、これだけでははっきりしないので、説明と似ているが説明ではない概念を集めてみるとたとえば以下のようなものがある。

描写:行為、人物、出来事をそのまま述べること
定義:正確で字義的あ意味を述べること
指示:何かをするように指図、または命令をすること
詳述:詳細な情報を提供すること
報告:出来事について口頭で述べたり文章でまとめたりすること
例証:アイデアなどを明確にするのに役立つ例

日常会話の中で説明という言葉を使うときには報告とか、描写などが混ざっているこ
とも少なくないと思うが、厳密にいえばこれらは別物である。



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2016年10月 3日 (月)

【PMスタイル考】第115話:PDCAからOODAへ

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Ooda

◆不確実な環境で計画をどうするか

今ではITプロジェクトではすっかり定着してきた感があるアジャイルだが、アジャイルかウォーターフォールかという議論がずいぶんされてきた。この議論の本質は計画をどう考えるかという点にある。

たとえば、事業環境の変動によりプロジェクトの不確実性が非常に高いとする。このときに、どのような対応をするだろうか。大きく分けると、計画や管理を厳しくするか、計画や管理を緩くするかのいずれかである。

従来のプロジェクトマネジメントでは、前者を選択することが多い。例えば、計画を緻密にし、進捗報告のサイクルを短くして、変化に対応する。一方で、リスクの抽出を綿密に行い、変化をできるだけ早く捉えるようにするといった方法を取る。

一方で、計画ができないと考え、計画や管理を緩くすることも考えられる。アジャイルプロジェクトマネジメントはこの考え方を前提にしている。

計画を重視すべきかどうかの違いは、変化が想定できるものか、できないものかにある。想定できる変化であれば、計画を緻密にし、リスクマネジメントを強化すれば対応できる可能性が高いが、変化が想定できなればそもそも計画的なアプローチは極めて難しい。無計画だと言われるのは実がこういうケースが多い。



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2016年9月20日 (火)

【コンセプチュアルスキル講座気まぐれコラム(15)】 全体が意味することは何かを考え、ものごとをシンプルにする

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Kirin◆過度な機能開発

日本の製品は過度な機能開発から抜け出せないとよく言われる。

機能製品のデザインをすると、機能Aが欲しい、Bも必要だ、Cも欲しい、、、という風にんどん、アイデアが生まれてきて、コストの制約があるので、優先度を決めようという話になることが多い。

なぜ、こんなことが起こるのだろうか。



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2016年9月16日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考】第31話:コンセプチュアルな対人行動

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Communication2

◆コンセプチュアルでない対人行動の問題点

最後に対人行動について考えます。この行動はコンセプチュアル思考力の高い人とそうでない人で大きくは以下のような違いがあるます。

・高い コミュニケーションを構造的に捉え、構造を活用した対人影響を与える

・低い 人間関係に注意が集中し、結果として相手に影響を与えることができない

ここでは、特にコミュニケーションについて考えてみたいと思います。コンセプチュアルスキルが低いとコミュニケーションにおいて以下のような問題が起こりがちです。

(1)聴くことを重視し、相手に影響を与える流れが作れない
(3)人間関係の構築に注意が集中し、与えたい影響を与えられない
(3)話を聴くが、そのまましかるべき人に伝えるだけである

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2016年9月 2日 (金)

【コンセプチュアルスキル講座気まぐれコラム(14)】 生産性を向上させるには、目に見えない問題を解決すると効果的

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◆コンセプチュアルスキルで生産性向上

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コンセプチュアルスキルが生産性を向上する理由は大きく分けると2つあります。

ひとつはよく言われることで、コンセプチュアルスキルにより取り組むべき課題を本質という視点から選ぶことができ、余計なことをやらないで済むことです。

そして、もう一つは目に見えない問題を解決できることです。今回は、後者について考えてみたいと思います。



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