【コンセプチュアルスキル講座気まぐれコラム(15)】 全体が意味することは何かを考え、ものごとをシンプルにする
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日本の製品は過度な機能開発から抜け出せないとよく言われる。
機能製品のデザインをすると、機能Aが欲しい、Bも必要だ、Cも欲しい、、、という風にんどん、アイデアが生まれてきて、コストの制約があるので、優先度を決めようという話になることが多い。
なぜ、こんなことが起こるのだろうか。
◆演繹と帰納
論理的にものごとを考えるには、良く知られているように2パターンある。演繹法と帰納法である。演繹法は、前提があり、そこに事実を加えて推論をかさねていく。たとえば、
野菜は栄養がある。にんじんは野菜だ。だから、にんじんは栄養がある。
といった推論を行う。
これに対して、帰納法は前提を立てるのが難しい場合の推論で、多くの事実から類似点をまとめ上げることで、結論を引き出す。たとえば、
リンゴは甘かった。なしは甘かった。ブドウは甘かった。だから果実は甘い。
といった推論を行う。
◆帰納的な推論の落とし穴
ここで、帰納的な推論には落とし穴がある。それは、A+B+C+・・というように単に足しただけの結論を出すことだ。たとえば、フューチャーフォンの改善のための評価で、
・ネット機能の使い勝手が悪い
・文章の入力が不便だ
・画面が小さい
・・・
といった事実があったとすると、これらを列挙しただけの結論を出す。
◆開発におけるアイデアの取り扱い
製品開発で求められるのは新しいアイデアを出すことであるので、いくら事実を並べても新しい製品は生まれない。必要なのは、このような事実すべてが意味をすることは何か、言い換えると要するに何なのかという話なのだ。
たとえば、事実すべての意味するものを「ネット機器としては使い勝手に不満がある」ということだと考えたとする。
そして、その問題解決として、テンキーの改良や画面の改良ではなく、ネット機器として電話以上に価値のあるものになるという方向性でできたのがスマートフォンだ。
◆全体として何を意味しているのかが問題だ
このように、個々に出てきた問題ではなく、要するにネット機器としては不満があるということだと考え、そこに問題を統合し、統合した問題を解決する方向で新しいことを考える。これが重要なのだ。
ところが現実の開発では、個別の問題に対して、解決方法を考え、機能として製品やシステムに付加していく。これによって複雑極まりない製品や使えないシステムが生まれてくる。
シンプルな製品やシステムを作るには、問題の全体性を捉えなくてはならない。このために必要なのがコンセプチュアルスキルである。
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