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2005年4月18日 (月)

意志力革命

4270000635 ハイケ・ブルック、スマントラ・ゴシャール(野田智義訳)「意志力革命~目的達成への行動プログラム」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★★

この種の本としては、非常に体系的、かつ、論理的である。まず、これが第一印象。そして、読み出すと、引き込まれる。現実を踏まえた問題提起とその問題に対する具体的な解決法が述べられている。

「あくせくしながらも結果として何もしていない」状態から、自らの意志を駆使し、目的意識を伴う行動をとって有意義な結果をもたらすことが出来るようにしていく。そんなことができればいいなと思う人には必読書。

組織(経営)が目的達成するために個人が行動をするという視点から、マネージャー、リーダー、個人がどのような取り組みをすればよいかをそれぞれの視点からプログラムとして具体的に書かれている。

この構図は、プロジェクト、母体組織、メンバーで、プロジェクトの目的を達成するにはどうすればよいかという問題にそのまま適用できそうである。

成功企業十数社の具体的な事例をもとに書かれている。このような事例が提示されていること自体、ちょっとした驚きであるし、この本の魅力でもある。

個人が成長し、組織が変わらないと、個人がジレンマに陥る。その点を無視した組織の中で活動する個人の成長論というのは現実性に乏しい。この本のすばらしさは、そこの連鎖を十分に意識している点にある。

難点は、かなり、抽象度の高い記述になっている。かなり、本気で読まないと難しい。そのような本気が報われる本でもある。

あとがきもよい。この本の著者のひとりであるスマントラ・ゴシャールは、訳者の野田氏によると、稀有の経営学者だそうで、この本を世に出してすぐに他界したそうだ。野田氏は「異才」という表現を使っているが、まさにその言葉を彷彿させる本である。

そのスマントラ・ゴシャール博士の活動について、エピソードを交えて詳しい解説がされている。この解説を読むと、本書の読解の助けになるだろう。

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2005年2月28日 (月)

イノベーションのジレンマ

4798100234.09.LZZZZZZZクレイトン・クリステンセン「イノベーションのジレンマ 増補改訂版」、翔泳社(2001)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

 イノベーションマネジメントの分野では歴史的名著になった感のある本である.本書を読むと,イノベーションというのが,単に技術開発だけでは成り立たないことを容易に理解することができる.

 本書では,新しい技術の誕生により,優良企業の中で戦略的なジレンマが起こり,優良であるがゆえに小さな市場においそれと出て行くことができず,気が付いたらその市場が大きくなっており自社製品の市場を侵食しているという現象を,事例に基づき,そのメカニズムを徹底的に分析している.このような現象を引き起こす技術を著者は破壊的技術と呼んでいる.本書の中で中心的に取り上げられている破壊的技術はハードディスク技術,,掘削技術の2つである.この2つの事例については非常に詳細に書かれており,読み物としても面白い.例えば,ハードディスクでは,8インチから5.25インチ,そして3.5インチへの推移と,そのハードディスクを主に使うメインフレーム,ミニコンピュータ,パーソナルコンピュータの推移を関係付けて,ハードディスクメーカがそれぞれの時期にどのように振舞ったかを分析してある.主張自体,非常に明快で,かつ示唆に富んでいる.

 技術イノベーションを中心にして,経営革新を図ろうとしている企業の経営者,ベンチャー企業の経営者,これらの支援をするコンサルタントの方にはぜひお奨めしたい一冊である.

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2005年2月15日 (火)

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか

4478300593.09.LZZZZZZZ P.F.ドラッカー「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか」、ダイヤモンド社(2000)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

ドラッカーの小論文を 自己実現という観点からまとめた1冊である。

横串のテーマで見ると改めてドラッカーの知見の深さに感動するし、また、体験談をベースに書かれている部分は、ドラッカーの生き方そのものに感動を覚える。

しかし、本としてみれば少し物足りない気がする。 その物足りなさは、一つ一つの論文が深いにもかかわらず、前後に並んでいる論文との関連性が薄いという編集上の問題である。また、少し全体的に散漫な気もした。すでにドラッカーの本を何冊か読んでいる人にとって、ドラッカーの価値を高める一冊にはなりにくいだろう。

ただし、タイトルにあるように「はじめて読むドラッカー」というコンセプトなので、このコンセプトであればまあ、納得できるレベルである。

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