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2020年2月14日 (金)

「アート」と「ビジネス」や「マネジメント」の関係づけを考えた本(改訂版)

 
 
◆ドラッカーはなぜ日本画をコレクションしていたのだろう
 

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アートとビジネス、あるいはマネジメントとの関係というと、ピーター・ドラッカーに始まる。ドラッカーは
 
マネジメントはリベラルアートである
 
と断言し、研究上の位置づけははっきりしないが、研究者としての初期に有名な「日本画コレクション」をしており、なんらかの関係性を考えていたことは容易に想像できる。著者がアートに注目しているのも、実はドラッカーの存在がある。
 
このあたりの話は、以下の本を読んでみるといいだろう。
 
 
 
 
◆アートとビジネスを関係づけた山口周さん
 
ドラッカーから50年以上経過した今、アートとビジネスの関係性が注目されるようになってきた。ブームを引き起こしたのは、山口周さんの
 
 
だろう。
 
この本は、タイトルの通り、なぜエリートは美意識を鍛えるかということを述べたものであるが、その背景にあるのはVUCA(「Volatility」(変動が激しく不安定)、「Uncertainty」(不確実性が高く)、「Complexity」(複雑で)、「Ambiguity」(曖昧な))の時代である。VUCA時代においては、「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた経営(サイエンス重視)ではビジネスの舵取りをすることはできないという認識がある。これに対処するには直感(アート重視)であり、、直感を鍛えるためにエリートは美意識を鍛えるというものだ。
 
余談になるが、同じ年に、アートだけではなく、テクノロジーとの両立に起点を置いたビジネスの本も出版されている。
 
 
この本では、日本の企業を対象にして、クリエイティブな発想と高い技術力の源泉、また従来の常識を打ち破り、独自の組織体制、規定、評価制度による経営にはアートがあることをケース分析した本である。この本も素晴らしい本だ。
 
ブームを作った山口さんのような視座の本は実は初めてではない。例えば、奥村さんが書いた
 
 
という本がある。
 
この本は、気楽に美術鑑賞することで、生活を健康に、美術の知識や鑑賞の方法を知ることで、仕事や実生活を創造的することを例を示しながら述べている。アート関係の本を読むなら、ぜひ、この本を読んでみてほしい。
 
さて、山口さんの本を皮切りにアートとビジネスやマネジメントの関係を論じた本が多く出版されている。キーワードはVUCAだろう。
 
まだ、定型的な分類はないが、大雑把に分けるとすれば、
 
・VUCA時代のビジネスやマネジメントに必要な感性を身につける
・アートの考え方をVUCA時代のビジネスやマネジメントに応用する
 
の2つに分けることができる。
 
 

◆VUCA時代のビジネスやマネジメントに必要な感性を身につけるための本
 

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まず最初の感性を身につけるという目的では
 
ニール・ヒンディ(長谷川雅彬監修、小巻靖子訳)「世界のビジネスリーダーがいまアートから学んでいること」、クロスメディア・パブリッシング(2018)
 
 
小山田育、渡邊 デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」、クロスメディア・パブリッシング(2019)
 
などがある。
 
 
 
 
 

◆アートの考え方をVUCA時代のビジネスやマネジメントに応用する
 

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2番目のアート思考を学ぶという目的では
 
増村岳史「ビジネスの限界はアートで超えろ! 」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2018)
 
秋元雄史「アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法」、プレジデント社 (2019)
 
電通美術回路 (著, 編集)「アート・イン・ビジネス -- ビジネスに効くアートの力」、有斐閣(2019)
 
髙橋芳郎「アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」」、サンライズパブリッシング(2019) 
 
 
エイミー・ウィテカー(電通 京都ビジネスアクセラレーションセンター(監修)、 不二 淑子訳)「アートシンキング 未知の領域が生まれるビジネス思考術 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション) 」、ハーパーコリンズ・ ジャパン(2020)
 
この中から、今回の記事の文脈で一番お勧めしたい本は「アート・イン・ビジネス -- ビジネスに効くアートの力」である。この本は、電通のクリエイターやコピーライターが、事例を紹介し、ビジネスにどのようにアート的視点を持ち込んでいるかを述べた本だ。事例も面白い。
 
 
 
 
 
◆そのほかの分野
 
また、今回は取り上げなかったが、ビジネスとの関係としてはアートそのものをビジネスにするという話がある。この分野の本は何冊か出ているようだが、あまり読んでいない。最近読んだ本が面白ったので、紹介しておこう。
 
山口桂「美意識の値段」、集英社(2020)
 
この本がすごく面白かったので、少しこの分野の本を読んでみようかと思った。
 
最後に、アート(思考)とデザイン思考の関係について触れておく。
 
よく言われるのは、「アートは問い(課題提起)でデザインは答え(課題解決)」というものだが、これもまた、今のところ明確な線引きがあるわけではない。今回はデザインについては取り上げなかったが、例えば、奥山清行さんなどはデザインとして課題提起を行っている。興味がある人は、例えば、この本を読んでみてほしい。
 
奥山清行「ビジネスの武器としての「デザイン」」、祥伝社(2019)

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