2019年 よかった本ベスト10
遅くなりましたが、本年の第1回目の投稿になります。本年もよろしくお願いします。
FB版のビジネス書の杜ではすでに発表していますが、昨年、読んだ本の中で、よかった10冊です。
できるだけ、2019年に出版された本の中から選ぼうとしたのですが、1位に選んだ「センスメイキング」は2018年11月に出版された本です。最初に読んだのも実は2018年なのですが、2019年にもっとも多く繰り返し読んだ本でしたので、この本を選びました。
なお、ベスト3のうち、1位と3位は、ブログでは取り上げていないので、FB版に書いた紹介文を再掲しました。2位はブログ記事へのリンクになっています。
【1】クリスチャン・マスビアウ(斎藤栄一郎訳)「センスメイキング」、プレジデント社(2018)
<紹介文>
本書でいうセンスメイキングとは、
本書でいうセンスメイキングとは、
アルゴリズム思考の対極にある概念であり、自身の文化の土台になっている先入観や前提を捨て去り、対象世界の文化を調べ、全方位的に理解し、洞察力を育むこと
である。一言でいえば、「本当に重要なものを見極める力」だとしている。
センスメイキングに、5ステップとか、絶対成功できる秘訣といったものはない。その代わりに、本書では洞察に近づく原則として
1.個人ではなく文化を
2.単なる「薄いデータ」ではなく、「厚いデータ」を
3.「動物園」ではなく「サバンナ」を
4.「生産」ではなく「創造性」を
5.「GPS]ではなく、「北極星」を
の5つを取り上げ、各項目について事例を通じて、センスメイキングがどのような背景で、どのように行われているかを丁寧に紹介している。その事例が考えさせられるものばかりである、読むだけで意識が変わるのではないかと思う。
「これまで役に立つソリューションの提供を重視してきたが、これからは意味を創造するセンスメイキングが重要になってくる。」これが本書の主張だが、読めば、その主張が十分に理解できるし、ソリューションアプローチの限界も見えてくる。
是非、読んでみてほしい!最後になるが、この本を読む際には、ソリューションですべてが解決できるとか、技術で物事を解決することこそ本流だといった先入観や前提を捨てて読むといいだろう。
【2】John Rossman(渡会圭子訳)「アマゾンのように考える 仕事を無敵にする思考と行動50のアイデア」、SBクリエイティブ(2019)
【3】岩下 智「「面白い! 」のつくり方」、CCCメディアハウス(2019)
<紹介文>
著者の岩下智さんは、電通のアートディレクターで、広告以外にも、アプリ開発、プロダクトデザイン、ゲームデザインなど、さまざまな活動をされている。その岩下さんが仕事だけではなく、生活経験なども含めて、「面白い」とはどういうことかを分析し、面白くするにはどうしたらよいかを心構えと方法の双方から示した一冊。
著者の岩下智さんは、電通のアートディレクターで、広告以外にも、アプリ開発、プロダクトデザイン、ゲームデザインなど、さまざまな活動をされている。その岩下さんが仕事だけではなく、生活経験なども含めて、「面白い」とはどういうことかを分析し、面白くするにはどうしたらよいかを心構えと方法の双方から示した一冊。
出張などで関西以外の地域のローカル番組をみることがちょこちょこあるが、関西のテレビ局のローカル番組は圧倒的に面白い。これは関西の人なら共感してもらえると思うが、ただ、その面白さは「笑い」である。
しかし、「面白い=笑える」ではない。例えば、ビジネスの企画で「面白い」と感じることがあるが、これはどういう意味か。
この本は、「面白さ」には本質的な部分があると考えた上で、その本質をいかに体系化できるかを考えると同時に、実生活やビジネスにどのように応用すればよいかを述べている。
この本を読んでまず、感動したのは、面白さの体系を見事に整理していること。結果だけ紹介すれば、面白さは
・「笑える面白さ」
ギャグ、ダジャレ、ユーモア、皮肉
・「趣のある面白さ」
じわじわくる、よくできている、未知、シュール
・「共感による面白さ」
パロディ、時事ネタ・内輪ネタ、お約束、連想
・「差別的な面白さ」
ギャップ、誇張、比較、タブー
の4つの方向のマップの上に表すことができる。そして、「面白い!」とつくるには、この地図を念頭において、自分が得意とするツボがどこにあるかを発見し、事例からその法則性を抽象化し、表現すればよい。つまり。
(1)「余裕」を持つ
(2)「よそ見」をする
(3)「観察」する
(4)「面白さの法則」を見つける
(5)「表現」する
の5つのステップを踏めばよいとし、さまざまな例を挙げて解説している。
特に興味深いのは、われわれは「面白い!」ことをするのは最後はセンスだと思う傾向があるが、そうではないと主張している点。確かに、この本を読むとセンスは判断の積み重ねだという岩下さんの主張はある程度納得できる。
本書を読みながら、試しに自分自身の分析をやってみたが、納得できる結果だった。面白い!ことをしたいと思っている人には、ぜひ、本書を読んで取り組んでみてほしい。
【4】ウォルター・アイザックソン(井口 耕二訳)「イノベーターズ1 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史」、講談社(2019)
【5】山口周「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式」、ダイヤモンド社(2019)
【6】藤井 保文、尾原 和啓「アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る」、日経BP (2019)
【7】Joseph L. Badaracco(山形 浩生訳)「マネージング・イン・ザ・グレー ビジネスの難問を解く5つの質問」、丸善出版(2019)
【8】チャールズ・オライリーマイケル・タッシュマン(入山 章栄監訳・解説、冨山和彦解説、渡部 典子訳)「両利きの経営」、東洋経済新報社(2019)
【9】モートン・ハンセン(楠木 建漢訳/解説)「効率を超える力 GREAT@WORK」、三笠書房 (2019)
【10】グレース・ボニー(月谷真紀訳)「自分で「始めた」女たち 「好き」を仕事にするための最良のアドバイス&インスピレーション」、海と月社(2019)
コメント